ベルリン楽器博物館
ベルリンフィルの本拠地隣にあるベルリン楽器博物館を訪問。ここは世界有数の所蔵楽器陣を誇りチェンバロ。クラヴィコード、フォルテピアノのコレクションの充実振りが素晴らしい博物館です。また多くの楽器を演奏可能な状態に修復し維持しており許可が出れば試奏もさせてもらえます。
まずは鍵盤装飾美しいHassのクラヴィコードがお出迎え。今回各博物館見て回るもHassの楽器の作りの美しさと緻密さには圧倒されっぱなしでありました。
次にGジルバーマンの2段チェンバロへ。これは演奏可能で試奏もさせてもらいましたが明瞭で少し甘めの音色が素晴らしい。
次はハンブルクのフライシャーの1段鍵盤チェンバロを拝見。これも演奏可能。本来8+8+4fの楽器だったのを現在は8f1本外しているとの事。今後元に戻すか8f1本のままで行くか慎重に検討しているところだそうな。
次は18世紀フレンチのステランへ。こちらも演奏可能。全盛期のフレンチタイプの魅力を存分に教えてくれる銘器。
この博物館はオリジナル楽器だけでなく現代の製作家による忠実な復元楽器も展示中。約90年前からレコード録音に使われていた1618年製ルッカース1段などは装飾も含めて忠実な再現を試みておりました。オリジナルは昔は演奏可能だった様ですが今は演奏不可か?しかしここのルッカースコレクションは素晴らしい!
次はユニークなデランの縦型チェンバロ。これも演奏可能。奏者の目の前で楽器が鳴るので煩い位。かなりの高さになるので日本の住宅には全く不向きか。
Oesterleinという18世紀末ドイツの製作家の2段チェンバロ。これも演奏可能。現代の復元楽器に引けを取らない明瞭でシャープな音色には驚くばかり。オリジナルは枯れた音色だけでは無いと言う事が良く判る一例。
ハインリッヒ・ジルバーマン1776年作のフォルテピアノ。このモデルの復元楽器の悩みの種のボディの反りが同じ様に起こっているのが興味深い。やはりこの設計の弱点だったのかも。
ドレスデンのHorn1793年作のクラヴィコード。こちらも演奏可能。クリアで甘い音色が素晴らしい。
ウィーン式フォルテピアノ陣のコーナーではシュタイン1775年やワルター1810年などの銘器が揃っておりましたが演奏可能かは不明。パリのタスカンのフォルテピアノも演奏不能ながら展示。
19世紀前半のフォルテピアノ陣もブロードマン、ブロードウッド、グラーフなどが展示。
ここの博物館で一番評価したいのは19世紀末からの古楽復興の立役者たるモダンチェンバロの充実したコレクション。殆ど忘れられている先駆者達の苦労の変遷が良く判る貴重な展示であります。
まず貴重なのは1889年パリ万博に出品された復元楽器第1号の2段フレンチモデル。トマシーニという修復家の作で135年前に早くも完全なるヒストリカル仕様を製作しているのには驚きます。
同じくパリ万博に出品されたと思われるフランスのピアノメーカープレイエル社の豪華な外装の2段チェンバロ。こちらは16fは無いものの早くもペダルが装着されてます。
こちらはプレイエル社1927年製のランドフスカモデルのコンサート楽器。16fも装着されペダルも多数有り。しかしその音色は驚くばかりに甘く魅力的。同行のチェンバリスト達はこれなら是非コンサートで弾いてみたいと騒いでおられました。ただオリジナル通りの革のツメのタッチはかなり重めか。この楽器は演奏可能で存分に試奏させてもらいました。
ここのチェンバロクレクションで一番有名なのがこのバッハ所有だったと伝わる2段鍵盤。現在は弦も外され演奏不能ながら約百年前には演奏出来た様で私はこの楽器の入ったあアンサンブル演奏のレコード持ってます。20世紀に16fが流行った源流がこの楽器と言えるのでは。
バッハチェンバロの隣にはその影響を受けた20世紀の楽器が展示されてます。オリジナルの状態を復元した楽器や名工Skowroneckの最初期のフルコピーの楽器など有り。
またモダンチェンバロ全盛期の様々なタイプもコレクションしているのが素晴らしい。チェンバロの歴史を学ぶには最適な博物館であります。
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