ベルギー クリスマーネピアノ博物館ロイセレデ訪問
ベルギーのブルージュとゲントの間の郊外のロイセレデという小さな村にあるピアノ博物館を訪問。チェンバロやフォルテピアノメーカーとして有名なクリスマーネは実はヨーロッパ内でも有数の現代ピアノ販売店だとの事。
博物館は2ヵ所に分かれておりまずは本社ビルの中にある展示を拝見。3階建ての広大なビルの中には百台を超える歴史的楽器と現代ピアノが整然と展示されています。
早速歴史的ピアノのコーナーを見学すると自社製のコピーフォルテピアノ(シュタイン、ワルター等)が何台もあり弾き比べ出来ます。オリジナルフォルテピアノも多数所蔵されておりシュタイン系から始まるウイーン式とブロードウッドなどのイングリッシュ式がバランス良く展示。
中でもウィーンを代表する銘器グラーフが時代が違う3台同時に弾けるのが素晴らしい。別の場所に最初期1810年代のグラーフもあり計4台のオリジナルグラーフを所蔵。
19世紀中盤のピアノもウィーン系、フランス系、ドイツ系と広範囲のタイプを網羅する素晴らしいコレクションを多数展示。ショパン時代のプレイエルの復元楽器まで作られていたのには驚きましたが。
また展示場には素晴らしい音響のコンサートスペースも併設されておりすべてのピアノをすぐに舞台に設置し演奏が聴けるシステムが素晴らしい!
展示場の隣にある製造・修復工場も拝見するも大メーカーの工場かと見間違える程の広大な広さにビックリ。またフォルテピアノやチェンバロだけでなくオリジナルの現代ピアノも製造されておられました。
修復部門を拝見するとランドフスカモデルのプレイエルチェンバロやフリッツのオリジナルなどが修復中。どんな時代の楽器も丁寧に修復する姿勢には感嘆。
次に少し離れた古い屋敷を改造した博物館も見学。こちらには珍品と言われる様なユニークなオリジナルピアノが多数展示されておりました。
それでも歴史的価値が高いピアノも多数あり本社ビル共々見逃せないコレクション。チェンバロはこちらに多数所蔵されておりオリジナルチェンバロからモダンチェンバロ、そしてエレクトリックチェンバロなど珍しい物まで展示されてます。
状態良いオリジナルチェンバロが演奏可能な状態で保管され弾かせてもらえるのは実にアリガタイ。
こちらもコンサートスペースが併設されていました。歴史的遺産を大切に管理しながら次の世代に受け渡そうという強い姿勢には感心した次第。
しかし驚いたのは歴史的楽器の製造修復・現代ピアノの販売と共にオリジナル設計の現代ピアノの製造まで手掛けておられた事。バレンボイムが弾いた事で有名になった平行絃フルコンピアノ、聴いてみるとその音の分離の良さが際立つ事が判り魅力を再確認。それも実はもう相当数作られているそうでその意欲的な姿勢には改めて脱帽でした。
もう1台ラウンドした鍵盤の現代ピアノも製造されてましたね。どれだけ苦労して開発されたか少しは判るだけにその余裕ある運営姿勢に驚愕するしかないと実感。
ブリュッセルからは少し離れた場所にある博物館ですが歴史的ピアノと現代ピアノを同時に演奏し楽しむ事が出来る貴重な場所でありました。
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