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30日、まもなくスタートする浪速の新しいホールでのフォルテピアノの連続シリーズの開幕戦に出陣予定のワルターの御機嫌伺い。本来なら今年は生誕250周年で賑やかになるはずだったベートーヴェンのフォルテピアノ企画、結局コロナ騒動のお陰で私はこの1回のみ。この連続シリーズはフォルテピアノが4台も登場する豪華なラインナップながら注目は最近修復を終え蘇った銘器グラーフ!新しいホール(300席)の音響も楽しみであります。
28日、阿蘭陀から到着のチェンバロを受け取りに空港へ。空輸の木箱は時に雑な梱包でトラブル招く事もあるも今日のは環境変化防止の為楽器をビニールで密閉した上に巧く固定してあり満点の出来。
チェンバロお届け先は去年まで押し寄せていた外人消えてもGOTOナンチャラと遠足か修学旅行?の集団で意外に混雑していた某観光地へ。
ランチは御当地名物の生姜醤油で食べるおでんが人気という老舗食堂へ。飯+汁+おでん+オカズ追加が定番という「古き良き飯屋」のスタイルがまだ健在、勘定時にはソロバンが登場すると言うマニアには堪らないお店、一時期は大繁盛だったのが(広い駐車場が証拠か)コロナのお陰が昼時も空席目立つ寂れ振りがチト心配。
出来たてホヤホヤのジャーマン2段。まだ完全な阿蘭陀訛りの明瞭で力強い音色が素晴らしい!最初の半年の楽器管理に成功するとこの欧州訛りがしっかりと楽器に染み込み豪快な鳴りに育つのですよ。
22日、現在取り掛かっているのが「20世紀前半日本のヴィオラダガンバ導入史」研究。古い資料を掘り起こしていると中々興味深い文に遭遇。昭和8年の月刊誌のドルメッチ一家のガンバ演奏の日本盤レコード評「何かしらゆらゆらと揺らめく蝋燭の灯を見るような趣きがある」と上品に褒めているかと思えば「ヴィオラダガムバはどちらかといふとアマチュアの樂器でこれに名演奏等といふものを期待すべきものではないから特に下手でない限り普通に演奏して居ればそれ以上巧拙を問題にすることはない~」と酷い腐し様の文まで・・・。しかしこんな文を書くにはそれなりの元ネタを海外から仕入れていたのでしょうね。この時期日本でも古楽への関心高かったようです。
20日、今日も日本古楽史ネタを。戦前の音楽雑誌を読んでいるとランドフスカやドルメッチなどの古楽スターの記事の多い事!評論家もバッハのブランデンのレコードが出始めると欧米の録音に向かって「バッハなのに何故チェンバロを使わない」「5番はランドフスカやドルメッチに弾かせろ」などと中々煩い・・・。さる日本のレコード会社はブランデン6番の宣伝に「この録音のガンバは誰々が弾いてます」と驚く程マニアックな説明入れてますし。これはやはり昭和8年前後は我国の第1次古楽ブームと呼ぶべきでは・・・と思う次第。
戦前の音楽雑誌から古楽関連の記事を検証してますが同時に11月23日の蓄音器レクチャーに向けて輸入ピアノの広告も検証中。戦前独逸を中心に欧州から実に多くのピアノメーカーが競って輸入されていた様子。意外にもスタインウェイやベーゼンドルファーなど現代の有名処よりもエラールとブリュートナーなど今ではマイナーなメーカーの方が派手に宣伝していたようですね。演奏家が個性が違うピアノを自由に選択出来ていた幸せな時代だったのかも・・・。
18日、久々に日本古楽史ネタを。19世紀末からの欧米での古楽復興運動は大正期には雑誌記事として日本に伝わって来ておりランドフスカのチェンバロ演奏なども同時期に輸入盤レコードでいち早く聴いていた愛好家もいた様子。昭和に入り日本にレコード会社が次々と設立されるとすぐにランドフスカの国内盤が発売、日本でのチェンバロなど古楽への関心の高さが伺えます。しかし驚くのはオリジナルのフォルテピアノ(1790年製との事)の演奏盤が昭和4年に早くも日本で発売されていたそうな・・・。そして今まで2種類の盤が発売されていたと判明していたのですが今日偶然もう1種類合計3種類ものフォルテピアノ盤が発売されていた事を発見。その後オリジナルチェンバロ(1737年製フレンチ)の盤4種類やヴィオラダガンバの盤を連発するなど昭和初期の日本ポリドール蓄音器商会の超マニアックな古楽好きには驚くばかり・・・。
15日、先日紹介しました11月13日京都の音大での蓄音器レクチャー(お陰様で好評の様で残席2枚だそうです)に続き11月23日(月・祝)東京でも蓄音器レクチャー開催決定! 京都では「ショパン特集」との事でショパン直系の弟子達の歴史的名演を聴いて頂く予定。意外にも今時の音大生が蓄音器や古いショパン演奏に興味持ってくれたようで参加多く嬉しい限り。
東京のレクチャー のお題は「戦前日本のピアノ事情を探る」~コンサートピアノはスタインウェイだけでは無かった!~。今やコンサートのピアノはスタインウェイかヤマハばかりですが戦前はブリュートナー、ベヒシュタイン、イバッハ、エラール、プレイエルなど演奏家が自分の好みの音色のピアノを選んで弾いていました。演奏家同士が自分で選んだピアノの音色の個性で競い合っていた時代だったとも言えます。戦前どんなピアノが輸入され人気を得ていたかを蓄音器による名演と共にじっくり解説いたします。まだ各所に秘蔵されている歴史的銘器の興味深いエピソードなども紹介予定。1930年英国製の大型蓄音器の迫力あるアナログサウンドを是非ご堪能あれ!
13日、某所に保管中のペダル付き2段鍵盤クラヴィコードの試奏会初日(申し込み多い為何度か開催予定)。試奏トップバッターのマルチ鍵盤奏者T氏が半時間弾き込むと少し寝ぼけ気味だったクラヴィコードがパッチリと目覚めてきたのに感嘆!2段鍵盤の明快な音色の違いも楽しいものの16f付きのペダル鍵盤の迫力が圧巻! この珍しいクラヴィコードまだ試奏可能です。
連日の麺修行今日は東の郊外にある武蔵野うどんの人気店へ。具沢山のつけ汁と揚げたての野菜天婦羅も美味ながら武蔵野では珍しい純白の麺のモチモチ感が絶品!
試奏前に立ち寄った武州奥地の廻船問屋の豪邸跡の資料館。明治時代の贅を尽くした内装がそのまま残っており見応え有り。月1回して公開しない秘蔵の上階の部屋はもっと豪華だとか。
9日、上野の日本最古のコンサートホール訪問。本来ならこの秋ドイツの若手古楽グループや伊国の巨匠と日本人Vn奏者デュオ公演がここで開催されるはずがコロナのお陰で中止となり実に残念。しかしこのホールにある「日本最古のコンサートオルガン」が今年百歳になる事を祝い記念イベントが開催されるとの事。記念公演の他にも11月8日~12月2日には、百年前このオルガンを英国から購入した「紀州の音楽の殿様」の企画展も開催されるとの事。この殿様は日本初のオルガン付き私設コンサートホールを建てただけでなくいち早くヴィオラダガンバやチェンバロも日本に持ち込んだという古楽界の大恩人でもあります(古楽と殿様の関係はまだ謎多く現在鋭意調査中)。この殿様の桁外れな音楽人生は是非皆さんにも知って頂きたいものであります。
上野に来たならと久々に街外れにある御贔屓の海鮮食堂へ。京丹後の食材に拘るお店との事で新鮮な魚と地元米の組合わせ絶品の海鮮丼に大満足。しかし少し遅めの昼時に早貸切とはちと不安に・・・。コロナに負けずいつまでも美味い魚食わせてください!
8日、来月11月13日(金)に京都の音大で蓄音器のレクチャー(参加無料 要予約)を開催する事になりました。今回は「ショパン特集」。いつもならフォルテピアノを携えて当時の音色や演奏法を語るのですがこのレクチャーでは敢えて楽器を使わずショパンの演奏スタイルを色濃く引き継ぐ直系の弟子達やショパンの生演奏を聴いたという19世紀に活躍した巨匠ピアニストなど、現代のショパン演奏とは全く違う貴重な歴史的音源を解説付きで1930年英国製の大型蓄音器で聴いて頂く予定。
ショパンの直系の孫弟子として名を成したローゼンタールやコチャルスキー、ショパンの演奏を聴いたというプランテ、20世紀初頭ショパン弾きとして絶大な人気を誇ったパハマンなど滅多に聴けないピアノの名演が多数登場予定。ショパン自身の音色や演奏スタイルを検証する際現存する当時のピアノを弾く事も有効な手段ではありますがショパンが弾いた頃とかなり違う音色で修復された楽器も多く実は確実に信頼出来る方法では無いとも言えます。その点ショパンの演奏スタイルを色濃く引き継ぐ直系の弟子達の録音からはショパン自身が思い描いたピアノ作品の実像をかなり正確に知る事が出来るのではと思います。蓄音器による歴史的演奏がフォルテピアノ演奏にどこまで迫れるか是非お楽しみあれ!詳しくはこちらもご覧ください。
2日、最近私は鍵盤楽器技術者、歴史研究家、蓄音器&SPレコード蒐集家と色々肩書持つ身ながら今日は3番目の役で戦前より活躍されていたピアニストの遺品の古レコードの鑑定に出動。やはりピアノ盤が主というコレクション拝見すると師匠のクロイツァーよりもコルトーの盤の方が多いのが不思議・・・。お弟子の方も先生がコルトー好きとは知らなかったとの事。巨匠の名曲演奏の他にもお弟子の発表会の録音盤など珍盤多数出て来るもSPレコードだけあって欠けたりひび割れたりと演奏不能な盤多く残念。
鑑定後はまだ演奏可能な盤の嫁ぎ先を見つけに神保町へ。こちら先日閉店が大騒動となった老舗洋食屋の後継店を初訪問。店舗は変われど店頭には例の象は鎮座しているし調理場にはお馴染みの顔が並び名物の黒いカツカレーもほぼ同じ味でひと安心!変わった事と言えば以前は刻みキャベツをスプーンで食べる謎のスタイルだったのが箸でも食べれるようになった位か? ご近所の音楽専門古書店の老店主も古音盤専門店のスタッフも健在を確認、エタ・ハーリッヒ=シュナイダーの戦前の日本録音盤の復刻CDを見つけて購入。
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