前説1 日本最初の本格的チェンバロ奏者
11日、8月29日開催の日本古楽史研究会例会でご紹介する予定の「日本チェンバロ界の礎を支えた5組の功績者達」、その前説第1回は「日本最初の本格的チェンバロ奏者」。約百年前日本にもチェンバロが入り始め演奏者も現れるようになったもののまだ最初期はアンサンブルや伴奏ばかり、その中本格的なチェンバロ演奏を我国で初めて聴かせてくれたのは昭和16年にチェンバロ携え来日した独逸のチェンバロ奏者エタ・ハーリッヒ=シュナイダーでした。1930年代にベルリンを拠点に欧州各地で活躍していた実力派の彼女が反ナチスとして祖国を追われ亡命に近い状態でシベリア経由で来日。しかし日本に着くなり各地で精力的にリサイタルを開催しラジオにも出演しレコード吹込も行ったようで、彼女の演奏で初めて本格的なチェンバロ演奏に触れた日本人は多かったと思います。最近彼女の初リサイタルに向けた宣伝活動の資料や演奏写真が多数発掘されましたので例会でも紹介の予定。その写真の多くにはナチスの旗が写っており反ナチスで祖国を追われた彼女が何故日本でそのような写真を残したか?という謎にも迫る予定です。ユダヤ人擁護の為(それだけでは無いのですが)ナチスに睨まれた彼女が日本では逆に有力ユダヤ人演奏家から一斉に反発を喰らったというのも複雑な背景があったようです。それ以外にもエタ・ハーリッヒ=シュナイダー研究の最新の成果も披露の予定。
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