訃報 ロベール・コーネン氏
昨夜ベルギーのチェンバリスト ロベール・コーネン氏の訃報が届きました。クイケン兄弟の鍵盤奏者として欧州古楽界では早くから大活躍されておられましたが長年多くの日本人を指導し、また晩年まで何度も日本に来られ素晴らしい演奏を聴かせてくれ、我々とは非常に縁の深い演奏家であり日本古楽界の大恩人とも言うべき偉大なる存在でありました。
幸い何度も日本のコンサートご一緒させていただきましたが、私にとっての一番の思い出は自宅で所有されていたDデュルケンのオリジナルチェンバロ(1755年製)を訪問する度に惜しげもなく自由に触らせて頂いた事。オリジナル楽器のその力強くも奥深い表現力と反面扱いの難しさをこの楽器で存分に知る事が出来私の大きな財産となりました。
晩年にはもう1台無銘の初期フレンチ2段のオリジナルも入手し、仏蘭西の名工Aアンセルム氏による修復が間も無く完成するので是非弾きに来いと会う度に言っておられました(仕事に拘る余りやたら時間が掛かる人だったので十年以上掛かっても完成していないようでしたが・・・)自宅には数台のチェンバロの他、古いエラールやフォルテピアノなどもあり楽器コレクションを拝見するのが楽しみでありました。
またパイプオルガンにも造詣が深くブリュッセルに行くとチェンバロだけでなく教会まで連れていき良いオルガンを自ら弾いて聴かせてくれたのも実に良い経験でありました。結局私は彼から愛用のポジティフオルガンを譲って頂き日本のコンサートでも今だ活躍しております。ベルギーの現場で名手によって培われてきた欧州的なオルガンの音色を日本で引き継ぐ事が出来た事は大きな喜びでもあります。
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