鳥の羽にはありがたい!
30日、師走に出陣予定のチェンバロ2台の御機嫌伺い。ゴールドベルヒ變奏曲公演 に出動のジャーマン、奏者のリクエストが中々珍しい調律法(昔雅明氏の録音でやって以来か?)。果たしてどんな響きになるか楽しみであります。洋館での大御所2人によるフレンチプログラム公演に出動の鳥の羽フレンチ、いつもはこの時期の乾燥で鳥の羽のヴォイシングが安定せず苦労するはずが寒くなれど今だ湿度下がらないのが幸いして鳴りっぷりは上々であります。今回は久々のヴェルサイユピッチ!
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30日、師走に出陣予定のチェンバロ2台の御機嫌伺い。ゴールドベルヒ變奏曲公演 に出動のジャーマン、奏者のリクエストが中々珍しい調律法(昔雅明氏の録音でやって以来か?)。果たしてどんな響きになるか楽しみであります。洋館での大御所2人によるフレンチプログラム公演に出動の鳥の羽フレンチ、いつもはこの時期の乾燥で鳥の羽のヴォイシングが安定せず苦労するはずが寒くなれど今だ湿度下がらないのが幸いして鳴りっぷりは上々であります。今回は久々のヴェルサイユピッチ!
28日、楽器見学の1日。早朝より気温氷点下という極寒の軽井沢に向かいフランスでの豊富な修復経験を元に帰国後フランスピアノ専門で活躍する修復工房を初訪問、まずは修理を終えたばかりのショパン時代のプレイエルピアニーノを拝見。このモデルだけでも4台も修復されたとの事で貴重な経験談を御教授頂きアリガタシ。
工房にはこれまた修復間も無しというフランスの銘器ガボー社の小型グランド も。1945年製と戦争期の製造ながら材木は上質の物を使用しており(材料のストックが充分あったのだとか)小振りな割に鳴りもゴージャス、何よりも仏蘭西近代風の洒落たデザインが素晴らしい!興味深い修復中の様子はこちらをご覧あれ。
もう1台仏蘭西ピアノ黄金期とも言える1860年製のプレイエルグランド(ショパン時代に近いモデル)も・・・。こちらはまだこれから修復する予定だとか。完成が楽しみ。
軽井沢の次は山を降りて高崎へ。途中山中の古びた旅籠兼食堂に立ち寄り御当地名物のマス料理と蕎麦の定食。自前の養殖池から獲れたてというニジマスの蒲焼素朴な味ながら中々美味。
山を降りて次はさるピアニストの個人スタジオを訪問。仏米独日の希少な歴史的フルコン4台がずらりと勢揃いする壮観のコレクションに仰天。ここでも仏蘭西の銘器ガボーに遭遇。有名なErard,Pleyelに隠れて地味な存在ながら実はフランス3大メーカーで最後まで製造続けたのはガボーでした(Pleyelは別会社として復活していましたが)
最後は海外ピアノを豊富に在庫の大手ピアノ店を訪問。数十台のピアノを拝見するも実は本当のお目当ては絶滅寸前というオリジナルの革のツメのままのノイペルト社のモダンチェンバロ。やはり革のツメはデルリンとは違うクリアながら暖かみのある魅力的な音色でしたね。お隣にはワルターモデルのフォルテピアノも・・・。
27日、寒さも本格化し間も無く冬本番到来、明日急に雪国(?)へ行く事になり慌てて車雪タイヤに交換へ。車の次は我が身、冷えた体を暖めるには辛いカレーが一番!と神保町の超人気店へ。
行列嫌いの私もこの御贔屓店は長時間でも素直に並んで我慢。真っ黒なル―と豪快なカツの組合わせの名物カツカレー相変わらず絶品、独特のまろやかさと辛さが同居する絶妙な味はここならでは。大行列も納得であります。
江戸川区のベテラン製作家の工房にお邪魔するとチェンバロの横にマニア垂涎の貴重なヴィンテージ大型録音機が鎮座しており仰天(他にも多数お持ちの様子)。こんな凄い録音機材ゴロゴロしているチェンバロ工房は世界広しと言えこちらだけでしょうね。
最後は個人宅にチェンバロお届け。一軒家への大型楽器搬入なので段差などで苦労するかと思いきや台車で部屋まで運び入れる事が出来実にスムーズで大助かり。
22日、先月Cルセ氏と共に全国を廻った鳥の羽フレンチ、次回の登板の為A=410から392へピッチ変更へ。鍵盤移動の都合で結局5Hzものピッチ上げとなり断弦しないように(この楽器切れ易い!)慎重に調律を繰り返し何とか安定。しかし下げる時は簡単に安定するも上げる時はかなり回数重ねても落ち着かない・・・。結局5回も調律する羽目に。
今回も名手の残り香を存分に味わいながら調律するも連日マレやフォルクレ(ソロ素晴らしかった!)でタップリ弾き込んでくれた上に少し低いピッチはチェンバロに取っても居心地良かったようで1カ月も放置していたのに今だに明瞭で豪快な鳴りっぷりには持ち主もビックリでありました。オリジナル楽器や鳥の羽に精通する名手ならではの技なのでしょうね。
鳥の羽フレンチ、次回の登板は日本古楽界の重鎮デュオ有田正広・有田千代子コンサート(12月13日池袋明日館)。今回は17~18世紀フレンチプログラム、音響素晴らしい重要文化財の洋館での日本の名手達の演奏楽しみであります。日本で唯一オリジナルチェンバロに精通している奏者の楽器の鳴らしっぷりにもご注目あれ!
今日は鳥の羽フレンチに続きキットをベースに日本で作られたというフレンチ2段がドッグ入り。早速総分解し内部まで点検するもキットだけあって部品や設計の安定度が抜群で中々堅牢な作りに感心。
19日、イタリアン2台提供していた伊国バロックオペラも終了し楽器総入れ替えの為久々に西のスタジオへ。この秋だけでウチの楽器10台も次々とステージに登板したお陰で保管場所に四苦八苦・・・。西のスタジオはもう楽器で満杯状態であります。スタジオ冬は終日暖房加湿して快適な環境を維持しているためか歓迎せざる不法侵入者が今年も早々とお越しになっている様子、イタチかハクビジンか猫か不明ながら屋根裏でゴソゴソと物音が・・・。
ランチは久々に地元に戻ったのでとスタジオご近所(ちと遠い?)の路地裏の老舗お好み焼屋でスジ焼きを。こちらは今時珍しい薪で焼いているという貴重なお店。通常のガスとは熱量が違うのかフワトロの焼き具合ながら中までしっかり火が通っており美味!勿論コテで頂きました。
17日、イタリアンチェンバロ2台提供した日伊合同制作のAスカルラッティのバロックオペラ千秋楽は盛況の中無事終了。今回は指揮者、コンマス、主役歌手、演出、美術、衣装、照明等メインスタッフが伊太利勢だったのでまるで海外の古楽器オペラの引越公演のようでありました(舞台裏でも伊太利的な事件事故多数発生しておりましたが・・・)
今回のオペラの成功の立役者はチェンバロ弾き振りのGreco氏では?リハからその情熱的な指揮で日伊混成器楽&歌手陣を見事に伊太利風味でまとめ上げた力量と歌を巧みに盛り上げる情感溢れるチェンバロ伴奏には脱帽でありました。日本では滅多に味わえない濃厚なオペラに参加させて頂きアリガタシ!
15日、伊太利直送Aスカルラッティのバロックオペラ本番初日。オケと歌手と演出が一体となって濃厚な伊太利風味を醸し出す舞台素晴らしかった!伊国勢に負けない熱演の日本勢の歌手陣にも拍手を!(慣れないバロックピッチだったのに)明日は同じ舞台でSopとカウンターテナーによる歌曲コンサートが開催予定。乞うご期待! オペラの前に立ち寄った某所で日本古楽史の驚くべき重要資料を大量に発掘し大興奮。
13日、日伊合同制作のA・スカルラッティのバロックオペラ今日はGP。伊国指揮者のエネルギッシュな棒によって邦人古楽器オケもかなり伊太利化している様子、ダイナミックながら繊細なニュアンスも随所に織り込まれた演奏は聴き応え充分。舞台もいつもとは違う伊太利的な進行でもう日本では無いみたい・・・。GP後オペラと平行して開催のバロックコンサートのリハに参加。こちらもカウンターテナーが活躍する予定、乞うご期待!
リハ会場のお隣の音大を表敬訪問すると秘蔵の(?)モダンチェンバロを急遽拝見させて頂く事に。この楽器、モダンチェンバロのオリジナル仕様の革のツメのままで保管されていたという実に貴重な物。実は現存するモダンチェンバロは殆どオリジナルの革のツメから代用素材であるデルリンに交換されており製作当時の状態を維持している楽器が殆ど無いのですよ・・・。「西ドイツ製」というモダンチェンバロ末期の作ながらオリジナルの状態をそのまま保っている楽器に触れる事が出来大収穫、革のツメのチェンバロの音色実はデルリンよりも艶っぽく中々魅力的ですね。
10日、1週間前仏蘭西の獅子王のリサイタルで来たばかりの上野のホールへ今日は老舗バロックオケのブランデン全曲公演に同じジャーマンで出動。中々全曲連続で聴ける機会は無いようで大入りの人気振り(毎年恒例の開催となるようです)。この企画は毎回曲順が気になる所、今回は1→6→4→3→2→5番という順でチェンバロの移動も最小限で実にスムーズ。チェンバロが主役の5番で〆というのも中々粋でありました。実はお隣の大ホールではポーランドの歌劇場のモーツァルトオペラ公演があったようですがてっきりモダン楽器だと思っていたら古楽器での演奏だった様子(A=430との事) ピリオド楽器ショパンコンクールと言いポーランドも古楽に熱心ですね。
8日、日伊合同制作のA・スカルラッティのバロックオペラ のリハにイタリアンCem2台で参加。演出・振付・美術・照明・衣装と裏方大半と主力歌手、コンマス、そして指揮者を伊太利勢で固めた布陣は実に豪華、いつもの日本制作とは全く違う伊太利風味満点のオペラになりそう。今回始めてお相手するCem弾き振りの指揮者Greco氏の異常にテンション高い棒と鮮烈なCem演奏がまた凄い!オケピットの中で見え難いと思いますが一見の価値はありますぞ!日伊の歌手陣皆充実していましたがカウンターテナー中々良かった!
6日、仏蘭西勢のお相手の日々から一転、次は伊太利の指揮者/Cem奏者&歌手と日本の古楽勢合同のAスカルラッティのバロックオペラ(詳しくはこちら もご覧あれ)のリハに向けてイタリアンCem2台をセッティング。日本では珍しい本格的な歌劇場での公演だけに本番楽しみであります。
明日みちのく郡山のお寺での公演予定のリコーダー&Cemのデュオ のリハーサルにもお付き合い。Cemソロもあるとの事で先日までご一緒だった仏蘭西の獅子王と同じイタコンも弾くそうな・・・。日本古楽の中でも活きの良い実力派の演奏が無料で聴ける絶好の機会ながらネット上に情報が無いとの事でご紹介出来ず残念。
もうひとつ今夜本番というフォルテピアノ界の重鎮久々のリサイタルのリハをこっそり客席から拝見(残念ながら本番は聴けず)。仏蘭西の名工作のGrafモデルの銘器を久々に舞台で弾くとの事で自分の仕事放り出して駆け付けた次第。御近所ながら余り縁が無かった東京ドーム横の小ホール意外にもフォルテピアノとの相性良いのにはビックリ(普段は落語などが多い会場らしいのですが)。しかし好天に恵まれるも冬恒例の異常乾燥も連れ立って来たようで(御江戸の最低湿度19%だったそうな!)調律担当のI氏かなり苦労されていた様子。
4日、仏蘭西の獅子王の来日ツァー千秋楽は古楽系公演で抜群の動員力を誇る西の人気ホールへ。日本では珍しい舞台を360度取り囲む擂り鉢状の客席はどこからも奏者を至近距離で見る事が出来豊かな残響と共に実に古楽向けの会場、今回も話題のチェンバロ奏者2年振りの来演との事で早々にチケット完売だったそうな。
今日も粋な丁髷ヘヤーで登場した獅子王、リハでは相変わらずフタを閉めて弾いてましたが(その方が本番では良い演奏出来るとの事)楽器を限界まで鳴らす術を持つ鬼才が弾くとまるでフタ開けているのかと思う程の凄い音量なのには脱帽。昨日仏蘭西プログラムで弾いた為すっかりフレンチ化していた(?)ウチのジャーマンを今日のバッハ&スカルラッティプロに向けて元のキャラクターに戻す為か獅子王リハではいきなりゴールドベルグ変奏曲を弾き始め無人の会場で一人リサイタル状態、私は幸い役得で影でこっそり鬼才のバッハの名曲の演奏を聞き惚れた次第。昨日のアンコールでアリアを弾いたので続きを弾きたくなったのかも・・・。2年前の衝撃の初来日の演奏思い出しました。いや色んな頃で驚かせてくれる鬼才とのツァー実に面白かった!次回2021年12月の来日も楽しみであります。
3日、上野の老舗ホールで仏蘭西の若き獅子王の今回唯一のフレンチプログラム公演へジャーマンで出動。連日バッハ&スカルラッティプログラムで弾き慣れている楽器とは言えジャーマンモデルと仏蘭西物が合うのか心配するも流石若き鬼才はジャーマンの歯切れよくパンチの効いた音色を巧みに取り込んだ全く独自のフレンチバロックの世界を見事に描き出し感嘆!(私も調律で少し仏蘭西風味のテイストを付けるお手伝いをしましたが・・・) 普通のフレンチモデルだったらまた全く違う雰囲気になっていたのでは・・・?若いながらも楽器を鳴らす技は達人の域に達している彼ならではの離れ業、弘法筆を選ばずの世界でありました。終演後ダッシュで飛び出し西へ爆走、深夜神戸到着。いよいよ明日の関西公演で千秋楽、こちらもチケット早々に完売との事。今回聴き逃した方は2021年12月の次回来日までお待ちあれ!
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