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29日、間も無く出陣の楽器陣の御機嫌伺いの1日。まずはモーツァルトオペラに指揮者弾き振りで登板予定のフォルテピアノの最終調整。日本でもチェンバロでは無くフォルテピアノを使う機会が少しづつ増加中ながら海外でのフォルテピアノ人気は相当な勢いの様子。来年来日の某有名海外オペラもフォルテピアノを使う予定だとか。
次は仏蘭西の重鎮デュオのラモー公演(12月6日東京 8日武蔵野)へ提供予定のチェンバロ2台の調整。個性派2人のチェンバロの掛け合いも聴き物ながら、フレンチとジャーマンという違うタイプ、鳥の羽とデルリンという違うツメの素材など2台の音色や鳴りの違いを名手の演奏で存分に味わえる貴重な機会でもあります。乞うご期待!
28日、さるお宅の楽器拝見で湘南方面に出動。珍しく電車で向かうも定刻に現地入り(直通電車もあり意外に近かった)。しかし車移動の際の時間に余裕を見る癖は抜けず早めに到着したので古都の観光名所巡りで時間調整。大仏見るより観光客相手のぼったくり商法の土産物屋や食堂を観察している方が面白かった・・・。
今日拝見した国産楽器(2段チェンバロとクラヴィコード)の製作家はベテランの方ながら初めて作品を拝見(長年この業界におりますがまだまだ知らない製作家おられるのですね)。堅牢さと独自の工夫が合わさった中々面白い楽器でありました。特に片手のワンタッチで鍵盤カプラーの操作が簡単に出来る便利な機構には感心。
久々の遠方までの電車移動となれば鉄チャンの血が騒ぎ、狭い住宅街を擦り抜けるのどかな江ノ電や前から乗りたかったぶら下がりモノレール(意外に揺れるんですね)に乗車。古都の旅情を味わいながらの電車旅でありました。
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ランチは某人気ホール御近所で以前より目を付けていた地元民御用達の老舗海鮮食堂で鮪丼。このお店魚はどれも新鮮で旨いのですが昼から一杯やりたくなる雰囲気が濃厚に漂うちょっと困ったお店でもありました。帰りに近くの魚屋を覗くとこれまた魚が安い!思わず大人買いしてしまい大量の買物袋ぶら下げ帰る羽目に・・・。
27日、日本古楽界の最長老の方から最初期の頃のお話を聞く為、またその頃の古楽器演奏のレコードを聴いて頂く為携帯蓄音器を携えお宅を訪問。戦前から世界的な演奏家と広く交友をお持ちだった一家の様々なエピソードは初めて伺う貴重な話ばかり。中でも関西から約5年遅れるものの昭和17年(戦時中!)東京で初めてコンサートでチェンバロを弾いた日本人についての証言が飛び出して仰天。今まで正直当時のご時世がコンサートどころでは無いはずで資料にはチェンバロ使用とあるものの実はピアノの代用だったのではと疑ってましたがその東京初のチェンバロ奏者の背景と使用楽器もほぼ判明し大収穫。しかしお話伺う中で戦前日本に知られざるチェンバロがまだあった可能性も出てきてしまいこちらは新たな謎が出現してしまった次第。今後の謎解きが楽しみであります。
26日、まもなく開催の仏蘭西チェンバロ界の重鎮二人のデュオ公演(東京 武蔵野)に出動予定のチェンバロの御機嫌伺いの1日、今日は2台の内鳥の羽のツメ使用のフレンチを調整。環境変化に敏感でツメの削り方も難しく、またチェンバロに合う鳥の羽の入手が困難となっているので鳥の羽チェンバロをコンサートで聴く機会は殆ど無くなって来てますが、そのシャープで明瞭な音色は(そして奏者にとっては敏捷なタッチは)デルリンのツメでは絶対出せない実に魅力的な物であります。今回もう1台のチェンバロ(ジャーマン)はデルリンのツメなので、この2公演はチェンバロ界のトップ二人の華麗なる共演と共に「鳥の羽vsデルリン」の贅沢な聴き比べも出来る貴重な機会でもあります。2公演共まだチケットあるようですのでどうぞお聴き逃しなく!
24日、御江戸から演奏家をお連れしてみちのくのお馴染みのホールにあるチェンバロ・ポジティフオルガンの弾き込みの1日。ホール御自慢の16f付きヒストリカルチェンバロを弾いた演奏家から「ある曲では今まで普通のチェンバロでは良く判らなかったがこのチェンバロで弾くとバッハの作曲の意図が明確に判るような気がする、やはりバッハはこんなチェンバロを弾いていたのでは・・・」という感想を頂き嬉しい限り。またモダンチェンバロの為の近代の作品との相性も中々良い事が判り大収穫。
今日お越しの演奏家は食道楽の方ばかり。今回も喜んで頂こうとホール近くの漁港の魚料理のお店にお連れしてランチ。ここはデカ盛りのお店か?と思う程のテンコ盛りの海鮮丼が大好評。魚料理だけかと思いきや実は揚げ物も美味い事が判りビックリでありました。これだけCP高いお店ながら昼時に行列出来ないのがアリガタシ(御江戸でしたら大行列必至でしょうね)。
3台の楽器の調律を終え演奏家の方の弾き込みが始まると私はお役御免。その隙に以前より全国の温泉マニアの間では有名だと聞いて行きたかったホールご近所の隠れ家的鉱泉を初訪問。新興住宅地の中にありながらまるでつげ漫画に出て来るような昭和の田舎の湯治場の様な雰囲気にまずは仰天。
中に入るとまず目につく宿泊部屋はコタツと扇風機と布団があるだけという正に昔の長期滞在の湯治者向けの和室(多分冷暖房は無しかも)。それでも出張で良くこの街に来ますと言うと是非ウチに泊まってくださいねとの事。昭和の雰囲気を味わうテーマパークと思えば最高の設備であります(温泉入り放題!)
温泉は中々良い成分ながら冷泉なので沸かしているとの事。お湯が熱ければ備え付けのバケツの水でうめる、ぬるければ呼び鈴を鳴らしてくれれば薪をくべて加熱するという実にシンプルなシステム。湯船は3人も入れば満員という小ささ、夕方女性専門タイムがあるとの事ながらその他は混浴との事、しかし余りの渋さに女性客は殆ど来ないと思われ今日も私が口開けの客のようで貸し切りでありました。いやこんな面白い秘湯がご近所にあるとは驚きでありました。ちょっとヤミツキになりそうな温泉かも。
21日、イタリアンチェンバロの御機嫌伺いの1日。冬到来近しと気温も下がり本格的な乾燥始まってますね。チェンバロ調律も温度湿度を慎重に想定しなければ安定しない時期であります。油断していると断弦、響板割れなども多発するので御用心。
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冬のトラブル対策の一番の武器はやはり加湿器。今日は楽器調整と共に加湿器が真っ当に稼働するか念入りにチェック。最近は長時間加湿出来る大タンクのタイプが殆ど無くなっており年季の入った機種を今だに使い続けております。新しい機種程使い難いというのも困ったものでありますが・・・。
移動中見かけた人懐っこい鴨。近付いても微動だにしない強者であります。見るならエサくれ!というところでしょうか?
20日、某ホール御近所にある御贔屓隠れ家蕎麦屋を久々に訪問。蕎麦は注文受けてから打つという拘り振りの上に天婦羅の揚げ方が絶品。ただ外のメニューサンプルを見て注文すると量が少なかったという事は多々あれどこのお店の天婦羅は逆にサンプルの倍の量が来ます・・・。また名物親父の客席乱入パフォーマンスも楽しみのひとつ、蕎麦を汁無しで食べる色々な方法を名(迷?)調子で語ってくれます。このホールに来る演奏家の多くがこの店目当てに来る(?)というのも納得の人気振り。
その後某資料館で鳥の羽の展示会があると知り拝見するもチェンバロのツメに使えるような大きな羽はやはり大型猛禽類が良いようですね。チェンバロ用に整形しやすい表面がフラットなタイプは余り無い事も判明し勉強になりました。
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途中山間部の街道を走っていると鄙びた湯治場温泉を見つけ勇んで入湯(今温泉がマイブームです)。湯温の違う2つの湯船があるだけのシンプルな温泉で透明な湯ながら硫黄の香り漂いお肌スベスベ、ゆっくり浸かれて心底暖まる実に快適な源泉掛け流し。街から近いのにこんな秘湯があるとはビックリでした。
18日、みちのくのお馴染みのホールでの公演のチェンバロ調律で早朝御江戸脱出し北上。会場入り前に恒例の(?)ご近所の御贔屓漁港食堂で豪華な朝食。大振りのネタの上に海老丸ごとドーン、味噌汁にも蟹脚丸ごとドーンという大盤振る舞いの海鮮丼(安い!)に今日も大満足。
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今日はオランダ在住のベテランVn奏者率いるグループの全国ツァー初日。毎度凝ったプログラムを組んでお客様を楽しませるのが信条という事で今回も面白い選曲でありました。今回はVn+Ft+Vg+Cemのアンサンブルながら中には古楽には珍しいチェンバロとドラムのデュオの曲まで・・・(笑)。
このグループでの日本ツァーはもう18年目との事(メンバーの変遷多々あるようですが)。4人の誠実な演奏も素晴らしいものの独自の演奏会場を全国に確保しているのが本当にエライ!リーダーとはもう四半世紀のお付き合い、遥か昔の公演の事を実に鮮明に憶えておられる事に驚嘆。昔話から最近欧州古楽事情まで伺う事が出来アリガタシ。
16日、某オケのリハ会場に白フレンチを搬入。オケの機材搬入を待ってチェンバロ入れるというはずが待てどオケ車が来ない・・・。もしやホールを間違えたのか(過去何度か経験有り)と焦るもオケに少し変更あっただけで無事搬入出来ホッ。こちらは搬入と調律立ち合いを2人で担当する豪華リレー。
ホール御近所の大人気の武蔵野饂飩のお店でランチ。開店直後に向かうももう大行列。イラチの私が珍しく評判の饂飩食いたくて30分も行列待ち、確かに黒く縮れた太麺の野趣溢れる味と噛み応え、具沢山でメリハリある醤油味の出汁どれも中々美味。その繁盛振りに納得。
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夜はお馴染みの音響素晴らしい池袋の重要文化財の洋館でのフォルテピアノ公演に二百歳の老ピアノで出動。2年半の改修工事を経て久々の利用となるも今日は広い空間では無く小部屋での演奏。以前は古い建物だけに建具の隙間から外部の騒音が結構聴こえてきたものの工事後は各部新調し気密性が増したのか全く気にならず嬉しい限り。
何よりも以前の良好な音響の要因であった洋館特有の漆喰壁が新調され反響が随分シャープになった様子。お陰で以前の少しセピア色のような渋い響きが今度は実にクリアかつラウドに聴こえるようになったのでは・・・。以前以上に古楽向けの空間である事が確認出来大収穫。ウチの老ピアノも驚くほど豪快に鳴ってくれ内心驚愕でありました。密かに公開現場初使用だった電動秘密兵器、現場でも戦力になる事が判明したのも収穫。今度はこの洋館の広い空間で同じ二百歳の老ピアノでのショパンプログラム公演を開催予定。乞うご期待!
12日、さる演奏家のお宅で最近入手されたばかりという1892年パリ製のハルモニウムを念願叶って初めて拝見。コンサートでハルモニウム(吹き出し式足踏みオルガン)が必要な際も今まで普通のリードオルガンやポジティフオルガンでの代用ばかりでしたが(中には堂々とハルモニウムですと言って足踏みオルガンが登場する事も結構ありましたが)、今回ヨーロッパで秘蔵されていた有名メーカーの大型ハルモニウムの逸品に幸運な事に遭遇し丁寧な修復を経て入手されたとの事。音色を聞けば確かにリードオルガンとは全く違う豪快かつ繊細で実に多彩な表現力を持つ楽器であります(そのストップの多い事!)。これからはコンサートで積極的に使っていきたいとの事。日本でもやっと本当のハルモニウムの音色を聴ける時代が到来したようで実にメデタイ!
10日、近々来日する某演奏家の映像収録の会場下見の為某所へ。今回はホールでは無くいつもとは全く違った雰囲気の中でのチェンバロ演奏を撮りたいとの事で豪華な和風装飾で有名な会場で撮影予定。初めて拝見する昭和初期作という贅を尽くした内装は正に和風バロックというべき逸品尽くし。どんな映像になるか楽しみであります。
会場近くに盛りの良い蕎麦屋があると知りランチで訪問。入口に大中並のもり蕎麦のサンプルが並べてあるも大のそびえ立つ異様な盛りに恐れをなして中を注文(それでも普通の店の大の2倍?)。蕎麦好きの威信を掛けてやっと完食するもお隣の方は大を注文しあっと言う間に腹に収められておられ感心。蕎麦食いの強者が集うお店でありました。
8日、ドッグ入り中のチェンバロの御機嫌伺いの1日。各部に色々トラブル発生の予兆あったものの数週間乾燥した部屋で内部の湿気をしっかりと抜いたお陰で殆ど調整もせずに復調した様子(湿温度管理をしっかりやっていればチェンバロはそんなに調整変化するものでは無いのですよ)。今年は秋に入っても雨多く湿度高めでしたので例年に無く湿度トラブル多発していましたが、これからは気温も下がり乾燥トラブルに警戒要する時期に突入であります。加湿器の準備は出来てますか?
7日、11月16日開催の洋館でのシューベルト公演、二百歳のオリジナルフォルテピアノが登場の予定。ここ最近登板が続き日欧の実力派達に存分に弾き込まれたお陰か今まで無かったような豪快な鳴りっぷりに変身しており、この楽器に一番精通している今回の奏者もビックリ。もうすっかり枯れた二百歳と思いきや環境次第でまだまだ楽器は成長するという事でしょうね。会場でどんな鳴りで聴こえるか楽しみであります。
今回のもうひとつの楽しみは2年半の工事を経てやっと再開した重要文化財の洋館の響きですね。この公演が私にとって久々のコンサートでの使用でして以前同様古楽器向きの音響が維持されている事を願っております。乞うご期待!
4日、地元での「救世主」公演リハ3日目は本番会場へ移動。往復1800kmの長旅から戻って来たオルガンはミーントーンから平均律に早く調律変更したかったものの大掛かりな合唱台設営のためトンテンカンと大騒音の中2台の調律する羽目に・・・。幸いチェンバロは会場変わっても殆ど調律ピッチ共に崩れておらず大助かり(流石堅牢な独逸製!)
昼はホールご近所にある一部のマニアに有名な「怪しい食堂」にランチで出撃。もう廃墟としか思えない外観(これでも暖簾が掛かっているのがお判りですか?)の上、中も超草臥れた内装の上すべてが古さの余り傾いているという有様でとても平成の世の店とは思えぬ異次元振りが凄いです。怪しさでは日本一では?
今日注文したのはきつねうどん、もしくはけつねうろんでは無く「しのだ」。これも調理場の奥で店主が作っているのが見えるのですが何やら謎の調理時間があり一体どんな風に作っているのかが不思議?しかしそれもマニアにとっては浮世離れしたこのお店の楽しみでもあるのですが。
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久々に地元に帰り最近御贔屓のご近所(少し遠い?)の酒蔵の酒で晩酌。こちらイベントが出来る古く大きな蔵をお持ちとの事でいつかはコンサートに使わせて頂きたいものであります。
3日、前日のリハ終了後チェンバロ・オルガン3台を積んで一気に900km移動。早朝現地入りするも早すぎたので(確信犯?)時間調整の為ホールご近所の温泉へ。街外れの無人露天風呂(200円!)貸し切り状態で贅沢な朝風呂。激熱と聞いていたこちらの湧湯も冷えた野外のお陰か適温でゆっくり浸かる事が出来実に快適。
朝風呂の後はご近所をドライブするもこんな素晴らしい洋館に出会い歴史ある街の散策収穫多し。実はこの街への高速道路が近日中に完成と聞くもナント開通が明日との事で利用出来ず。ホールの方も高速開通していれば遠方の方ももっとお越しになれたのに残念との事。
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今日は日欧混成グループの来日最終公演。今日も2台のイタリアンとオルガンをミーントーン調律。このホール実は十数年前に何度か来ているのですがどんな演奏家と来たのか思い出せず。ロビーに移動式の立派な能舞台があるユニークなホールであります。
2日、某会場での「救世主」リハ初日にオルガンと白フレンチで出動。連戦続きで楽器は御機嫌と思い込んでいるとチェンバロのカプラーが利かないトラブル発生。堅牢な独逸製なのでトラブル知らずのはずが連日の長距離移動で内部のネジが緩んで脱落した様子。そのネジを取ろうにも日本製の様に簡単に鍵盤取り出す事が出来ず結局ジャック全部抜いてからやっと鍵盤取り出す羽目に。堅牢と面倒は背中合わせという事を改めて実感した次第。今日のオケのコンマスがさるチェンバロ奏者の息子さんだと知りビックリ。
こちらのリハ会場、ご近所に美味い店多くランチ迷うのですが今日は味良し量多し値段良心的という地元民でごった返す洋食屋へ。開店と共に飛び込むもあっと言う間に満員の繁盛振りでありました(御飯も料理も盛りが良いだけにデカ盛り目当ての方結構多し)。
1日、出陣間近の楽器陣の入替の為4台の楽器を積んで深夜移動。勇んで出発するも1台のチェンバロの脚と譜面台を積み忘れた事を高速に乗ってから思い出し慌てて戻る羽目に・・・(汗)。西のスタジオでは久々に3台のイタリアンが勢揃い。楽器と共にカバー品評会(独、仏、米の競演)の様相でもあります。
午後には今一番旬のオルガン奏者が出演(指揮と演奏)と言う公演のポジティフオルガン調律へ出動。独逸のBachコンクールで日本人初の栄冠を勝ち取ったという関西出身の話題の奏者の演奏を初めて拝聴、そのタフさ振りに感心。
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最後は夏以来御機嫌斜めというチェンバロ、クラヴィコードの救護のためさるお宅へ出動。例年トラブルの原因の夏の湿気は例年通りながら今年は秋の湿気も楽器にダメージ与えているようですね。もう1年中除湿器を仕舞わずいつでも稼働出来る態勢にした方が安全かも・・・。
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