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2013年4月

2013年4月30日 (火)

古楽フェスティヴァル閉幕

9_230日、昨日まで3日間に渡り開催の古楽フェスティヴァル<山梨>、メインのコンクールも入賞者が決まり最後は恒例のパーティで多くの方と楽しい時間を過ごし無事閉幕。今回は2部門共に上位入賞が少なくちょっと寂しい結果となるもレベルの高い参加者も多かったようです。来年の明細はまだ未定との事ですが黄金連休中に開催の予定だとの事。開催予告は公式HPで発表されるでしょう。

6今回の私の担当は本選前の受賞記念コンサート。国内外の古楽コンクールでの活躍目覚ましい実力派揃いのこのグループ、やはり密度の濃い演奏でコンクールの覇者らしい格の違いを見せつけてくれました。初期イタリア物のプログラムとの事でイタリアンチェンバロ2台にポジティフオルガンの計3台をミーントーンに調律。今回同時に演奏する事が多いので3台のピッチを合わせるのが大変(この日は異常乾燥な上に満員のお客様のお陰で狭い会場の温度も急上昇・・・)、さらに曲間で調律変更(Dis→Es)を依頼されるも、何しろ3台もの楽器全部の調律直しとなり通常なら結構時間掛かるはずが、皆様が私の仕事終えるのを息を殺して(?)待っているという状況の中緊張しながらのナントカ短時間で作業完了(弦が切れないかが心配でした)。終わってみると普通のコンサートの数倍疲れた気が・・・・。

19今回もコンクール、コンサート、展示会など目当てで古楽ファンや演奏家が全国から甲府にお越しになったようで活気ある開催となった様子。毎度ながら精力的に開催を牽引する荒川先生と長年に渡り多大なるサポートを続けてこられた印伝屋様のご尽力に感謝!

2013年4月29日 (月)

甲府古楽コンクール本選速報!

第26回国際古楽コンクール<山梨> 本選 

   2013年4月29日       (甲府市社会教育センターホール)

★声楽部門  

第一位 無し

第二位 岡村知由紀(S) 

第三位 渡邉有希子 (S)

奨励賞 Jacqueline Shoda Iwasaki(S) 

 ■ 本選出場者 (5人)  チェンバロとフォルテピアノを伴奏に使用

Jacqueline Shoda Iwasaki(S) (伴奏 寺村朋子 岩淵恵美子)

三部 恵梨 (S) (伴奏 山名朋子 岩淵恵美子)

渡邊 有希子 (S) (伴奏 大村千秋)

久保 法之 (CT) (伴奏 山縣万里)

岡村 知由紀 (S) (伴奏 野澤知子)

★旋律楽器部門

第一位 無し

第二位 無し

第三位 吉崎恭佳 (Ft)

奨励賞 永谷陽子 (Fg) 

     Young, Mi Park (Ob) 

  ■ 本選出場者 (6人) チェンバロを伴奏に使用

永谷陽子 (Fg) (伴奏 伊藤一人)

Young, Mi Park (Ob) (伴奏 大村千秋)

釣 巴留香 (Ft) (伴奏 藤田哲子)

岩井 春菜 (Ft) (伴奏 福間彩)

吉崎恭佳 (Ft) (伴奏 福間彩)

野崎剛右 (R) (伴奏 宮崎賀乃子)

公式HPはこちら

★審査委員:

有村祐輔(声楽部門委員長) 植野真知子 大竹尚之(旋律楽器部門委員長)  戸田 薫  ツェーガー・ファンダステーネ

★応募部門

    *声楽 23名

     ソプラノ 19、カウンター・テノール2、テノール 1、バリトン1

   *バロック時代の旋律楽器 24名

     管楽器 17名 (リコーダー 8、フルート 4、オーボエ 3、ツィンク 1、ファゴット 1)
     弦楽器 7名 (ヴァイオリン 5、ヴィオラ・ダ・ガンバ 2)

 性別
 1) 声楽-男性4名、女性 19名

 2) 旋律楽器-男性 5名 女性 19名

 年代
   1) 声楽      20歳代-8名、30歳代-9名、40歳代-4名、50歳以上 2名
   2) 旋律楽器  20歳代-14名 30歳代-6名、40歳代-1名、50歳以上 3名

 居住地(両部門合わせて)
    東京都-24名、神奈川-7名、韓国-3名、大阪・兵庫-各2名、茨城・新潟・埼玉・福岡・広島・アメリカ・ベルギー・フランス・ドイツ-各1名 (計47名)

2013年4月28日 (日)

甲府古楽コンクール予選速報!

1_3甲府古楽コンクール予選の速報です。

旋律楽器部門は6人が本選に出場

2声楽部門は5人が本選に出場

古楽コンクール予選

1028日、早朝から諏訪湖を散策。湖畔は連休でどこも早くから賑わってましたが少し外れのお気に入りの空中茶室は誰も来ておらず独占状態。このユニークな建築群は何度見てもそのアバンギャルドさに痺れます・・・。

72今日は甲府古楽コンクールの予選。声楽部門は少々年季の入ったホールが会場(本選会場でもあります)。残響少ない空間ながら歌い方で結構聴こえ方違うもんです。

75_2旋律楽器の予選は少々狭い部屋で開催。こちらは全く響かないように思うもやはり響きの作り方が判っている演奏家は悪条件でもそれなりにナントカしている様子。経験が無いと中々困ってしまう条件ながら場数を踏んでいる演奏家はやはりタフですね。夜遅くに本選出場者が発表との事。

2013年4月27日 (土)

連休は信州からスタート

1_227日、今日から黄金連休のコンサート連戦開始。初日の長野での公演は朝一番入りなので朝4時半に東京を出発、恐れていた行楽客の渋滞はまだ始まってなかったもののやはり事故渋滞などありヒヤリ・・・。しかしナントカ早めに到着したので諏訪湖を早朝ドライブ。湖畔ではまだ遅咲きの桜の花見が出来ました。

4会場にチェンバロオルガン3台を搬入し早速サウンドチェック。気になっていた兄弟イタリアンの音量バランス、やはり兄の貫禄かチビの方が圧倒的な鳴りと判りフタ取りで調整、しかしデカの方もリハの途中から負けじと鳴りだし結構良い勝負のような気が・・・。

5初訪問だった今日の会場、バブル時代の建築だけあって贅沢な作りで音響も素晴らしい!録音に良いのではと思ったのですが稼働率が高く録音にはあまり使えないとの事で残念。非常に古楽向けの響きだと思ったのですが・・・。今日の公演、実力派揃いのアンサンブルの演奏も快調でお客様の反応も上々、終演後は舞台上で臨時の楽器見学会となりお客様も興味津々で古楽器に触れていただけました。しかし舞台上は湿度30%、外は20%という真冬並みの厳しい乾燥の中での3台の調律、ピッチを維持するだけでも苦労しているのにミーントーン特有の曲間での調律替えも盛り沢山で冷や汗の連続でした。

14終演後は自分へのご褒美として湖畔の鰻屋へ。まだ良心的な値段と量と味のお店ながら連休なのにお客は少なく寂しい限り。庶民の鰻離れは深刻なようですね。夜は湖畔の大型温泉宿に超割安価格で一泊。部屋に通されるとベッドしかないタコ部屋のような狭い一室、まあ豪華な温泉風呂入り放題なので仕方無いんでしょうが・・・.

2013年4月26日 (金)

明日から開催

1726日、明日から開催の古楽フェスティヴァル<山梨>、今年も甲府の中心街の複数の会場でコンクール、コンサート、楽器展示などが4月27日(土)~29日(月・祭)の3日間に渡り繰り広げられる予定。コンクールは「歌」と「旋律楽器」の2部門、歌に初めてフォルテピアノ伴奏が加わるのが楽しみです。私は最終日の朝の受賞コンサートに兄弟のイタリアンチェンバロとオルガンの計3台を提供の予定。濃厚な(?)ミーントーンの世界を存分に堪能して頂けると思います。乞うご期待!私は明日はこちらでの公演に参加の予定。もしお越し頂けるならこちらも是非!

2013年4月25日 (木)

最高音は白鍵ですが・・・

325日、まもなく改造後の初デビューを控える1958年製のチビイタリアン、順調にリハで兄弟楽器と共演(競演?)中。兄弟で250cmと170cmという圧倒的な身長差があるもののチビの方が鳴りは優勢な様子で2台の音量バランス取れるかちょっと心配な程。チビイタリアンは今回の公演のために鍵盤移動出来るように改造(要は鍵盤ひとつ切断)したのですが、お陰でA=440では最高音がCisのシャープキーという不思議な景色になってます。呼び名はピアノと同じ白鍵ではあるのですが・・・。

2013年4月24日 (水)

讃岐風製麺所

224日、スタジオではこのグループのリハーサルで連日大賑わい。イタリアンチェンバロ2台とオルガン、それにガンバによる分厚い通奏低音は迫力満点!フルメンバーによる演奏は長野、山梨、東京の3公演。中でも長野公演が一番盛り沢山のプログラムだとか。乞うご期待!

3リハを抜け出し昼は神保町でまたもや本邦古楽史の資料探索。今日も興味深い掘出物を発掘出来大喜び(いずれ発表します)。その後江戸川区の楽器工房に立ち寄るとちょうどドッグ入りの珍しいPedalクラヴィコードを拝見。この工房の作品はどれも他では作らないようなユニークな楽器ばかりで勉強になります。

5_2楽器拝見の後はご近所にある噂の讃岐風製麺所タイプの饂飩屋でランチ。街外れの不便な場所ながら饂飩も揚げ物も本格的で値段はほぼ讃岐価格というお店で終日繁盛している様子。美味そうなメニューが並び困りましたが今日は肉饂飩定食を注文。これはまた再訪しなくては・・・。

6_2最後は個人宅で小型チェンバロの厳しい階段降ろし作業。通常のサイズなら絶対通らない狭い階段も特注サイズの小さな楽器なのでギリギリ通過出来てホッ。

2013年4月23日 (火)

楽器も演奏家も鮨詰め

123日、只でさえ楽器が溢れているスタジオで二組のリハに五台の鍵盤楽器を提供。勿論五台同時には入らないので時間差で楽器を用意する羽目に・・・。弾いている奏者を横目に楽器を分解し次の楽器に差し替え組み立て・・・そして調律(チェンバロ二台とオルガンの計三台の調律を合わさないといけないので大変!)とハードな一日。

3楽器も盛り沢山ながら狭い空間に五人も詰め込んで演奏するというのも難題でしたが(今回のため楽器を何台か西のスタジオに避難してました)ギリギリ皆が演奏出来る状態で収める事が出来ヤレヤレ。

2013年4月22日 (月)

被害検分

222日、西で昨日に続き現代ピアノの御機嫌伺い。実は先日の淡路島震度6の地震後西のスタジオには自分では見に行っていなかったので今日初めて被害状況を検分、スタジオは今回の震源近くながら地盤が固いお陰か(18年前の震災にも生き残った古い建物なのですが)何一つ物も倒れておらず楽器も微動だにしていなかった事が判りホッ。楽器の日頃の置き方も揺れ対策に効果あったようでナニヨリでした。早朝の検分で被害無しと判明、ご褒美に朝からご近所の卸売市場の食堂でマグロ丼を注文。味は良かったもののお店が少し観光客ずれしているようでちょっぴり減点かも(高額メニューばかり勧めるのはヤメテ!) 午後胸を撫で下ろし東へ移動。

2013年4月21日 (日)

西で花見

421日、今日は現代ピアノの御機嫌伺いで神戸の山間部を訪問。桜の花見の時期は遠に過ぎたものの牡丹桜という遅咲きの花が満開で見事。今日の神戸は雨と晴れ間が交互に来る気まぐれなお天気で暖かいのか寒いのか良く判らない1日。

2移動の途中で見かけた春の訪れを感じる看板。こちらは苺の名所でしたね。仕事の後訪問先のご近所の昔お世話になったピアノ工房を訪問、四方山話に花が咲き長居してしまいました。業界昔話が出来るお相手もドンドン少なくなり自分が齢を取った事を改めて実感した次第。

2013年4月20日 (土)

洋館コンサート

820日、都心の築八十年という素晴らしい洋館でのサロンコンサートにフレンチで出動。冬に戻ったかのような寒さの中、時間が無いと10℃にもならない部屋でチェンバロを調律し始めるといきなり連続して断弦・・・。やはり暖めてから調律すべきでしたね。寒さと雨でコンディションを心配するも本番は満員のお客様で気温は急上昇ながら雨と人息で湿度も上がりキワドイ所でバランスが取れたようで最後まで調律殆んど崩れずホッ。

16お伺いした会場は戦災をくぐり抜け最近まで住居として使われていたとの事で保存状態も良好で昭和初期の雰囲気をそのまま味わえる素敵な洋館でした。戦闘機と戦艦のステンドグラスなどは正に時代の象徴では・・・。

2013年4月19日 (金)

有楽町で逢いましょう・・・

119日、まもなく開催の黄金連休「有楽町音楽祭」。今年は仏蘭西近代特集なので古楽器は出番無しかと思いきや常連のベルギーの古楽器グループが今年も登場するとかで私もチェンバロ携え参加する事に。ラモーとクープランの作品をSop,Vn,Vg,Ft,Cemの7人編成で演奏、3日間毎日公演はある予定。

3今回はメイン会場の他にお隣のビル七階にある老舗ホールも使用との事で今日下見で訪問。もう都心のホールは殆んど行き尽くしたと思ってましたがまだ未体験の会場もあるもんです(下の階の某有名大型電気店はいつも来るのですが・・・)。フルコンピアノの搬入毎回超苦労するんです!とは聞いてましたが(梱包布団外してフタまで取って数ミリの隙間しか出来ない程EVギリギリだとか)チェンバロはナントカ搬入出来そうでホッ。

11しかしホールの搬入口が凄いところにあるのには仰天!この写真のどこかにあるんです。判るっかなあ・・・。下の大型電気店に運び込まれる凄い量の商品に混じって搬入も可能なそうですがそれも大変そう・・・。(他の機材搬入のスタッフも頭抱えてました) 果たして無事チェンバロを搬入出来るんでしょうかね。今からドキドキです(笑)。

2013年4月18日 (木)

身長差

218日、今日の東京は昨日銀世界の雪原や満開の桜を見たのが不思議になる程の陽気、地域による季節の進み具合の差には驚くばかり・・・。今日のリハにはオルガンと共にウチで一番大柄なフレンチと小柄なイタリアンの2台が登場、その身長差はなんと80cm!見た目は現物と1/2スケールの模型が並んでいるように見えるも声量はチビイタリアンの方が圧倒的にあるというのも面白いもんです。チェンバロの鳴りは響板の面積ではないんですね。

2013年4月17日 (水)

越後で銘器拝見

517日、20世紀初頭の仏国ピアノの銘器を拝見出来るとの事でまだ雪残る山越えで越後の国を訪問。まずは腹ごしらえとご当地名物カレーラーメンの人気店へ。お芋や野菜ゴロゴロの家庭風カレーの中に麺が埋没しているという不思議なラーメン、味は見たままの素朴な感じ・・・。

4それでも「このお店は絶対美味いはず」と思ってしまったのはこの看板のお陰でした。1軒だけではご当地の味の真髄は判らぬのでは・・・ともう1軒人気店をはしごするも印象変わらずでした。

25_2某所で人知れずヒッソリと保管されていたもう八十歳を超えるという老ピアノ、年季の入った外観とくたびれたメカは仕方無いものの全盛期の仏国ピアノ界の製品だけあって艶のある音色は流石でした。現地で色々調べて行く内にこのピアノに纏わる色々なエピソードが発掘出来日本洋楽史研究家としては大収穫の一日。

45_2調査の後はご近所だと言う事で長年お付き合いのあるクラヴィコード製作家の工房を初訪問。都会では味わえないような豊かな自然に囲まれた素晴らしい環境は羨ましい限り。製作された楽器と共にこれまた珍しい歴史的ピアノコレクションも拝見させていただき大満足。往復600kmの長旅ながら凄い楽器に数多く出合え足取り軽く深夜帰京。

2013年4月16日 (火)

日本最初のチェンバロ調律師

Disques_4316日、先日の昭和初期の洋琴資料の発掘調査の中で一番驚いたのが昭和六~七年にチェンバロのコンサート調律を担当した調律師の報告書でした。昭和二年に早くもチェンバロ(?)を使ったラヂオ放送があったという記録もあるのですが(現在まだ実証出来ず調査中)、記録に残る確実な我国でのチェンバロ初演奏は昭和六年末から七年三月に掛けての維納から来日の三重奏団によってだと思われます。このグループが遠路はるばる持ち込んだNeupertの二段鍵盤(三本ペダル)のチェンバロを、コンサート調律を担当した調律師(多分日本人で初めてチェンバロを調律した方となるのでは?)が構造や特徴を細かく解説しております。この方はこの初体験の楽器がピアノのようにタッチによって音量変化がつかないと言う事に大変驚かれたようで、ペダルによる音量調整の方法に注目していた様子。ピアノしか知らないこの時代の方に音量変化無しでの音楽表現は考えられなかったのかもしれないですね。最後にこの表現力が乏しい(と感じている様子が伝わるのですが)楽器について、「古典曲をこれに依って奏すればこの時代の色彩を出し得ることがこの楽器の特長であらうが果たしてそれは現代のピアノに慣れたる人々の耳に如何に響くかは別の問題でなければならぬ。只吾人は今更に吾人が現代に於て保有する慮のピアノの発明の如何に重且つ大なりしてとを痛感するのである」と語っております。ここでも昨日の件と同様、チェンバロという古楽器の存在を尊重しつつも現実的な音楽的表現力への不満感が垣間見れる興味深い内容でありました。当時レコードでは一部の愛好家に熱狂的(?)に受け入れられていたチェンバロ等の古楽器演奏も、生の演奏(戦前にも少なからずあった様子)に対して意外に冷たかったのはこのような反応があったのかもしれません。世の中がキナ臭い時代になりつつある昭和一六~七年(もうコンサートが激減していたはず)、シュナイダー女史が各地でチェンバロコンサート(他にもパイプオルガンやクラヴィコードなども演奏したそうな)を開催しているはずなのですが文献資料に殆んど残っていないのが不思議ではありましたがこんな理由があったのかもしれません。

2013年4月15日 (月)

昭和九年のハアプシコード紹介

Photo15日、昨日に続き昭和初期の洋琴界の資料のご紹介。昭和九年(私が我国の第一次古楽ブームと呼ぶ時代ですね)の月間音楽誌に掲載されたという当時日本でもランドフスカ女史と並ぶ人気チェンバロ奏者だったM・シャンピオン女史の「現代のハアプシコード」という投稿記事。まずは古代のハープシコードの紹介から始まり、「一列、二列乃至は三列の鍵盤」「鍵盤は短く狭い」「八呎絃二組と四呎絃一組、例外として十六呎絃一組」とありこの16fについては「各国の博物館で研究したがかういう装置のものは唯一のものであると発見した」と説明。これはもしかするとBachチェンバロの事を指すのでは・・・と推測する次第。次に「四角の木製の巻きねぢ」を使用と説明しているもこれは日本の訳者の誤りでは?。また「現代のピッチより一音低い十八世紀のピッチ」としてバロックピッチへの言及あり(これはしかし半音では無く全音低いと言う事か)。全般的に古代のチェンバロの構造は損傷しやすく音色の変化は乏しく現代のピッチに上げる事は不可能とかなり否定的な説明に終始しております。比べて現代のチェンバロは鍵盤や弦などはピアノに近い構造、ペダルで演奏中の音色変化も自在、音量もあり音色も明瞭、現代のピッチも可能・・・など長所を並べ最後に現代のピアノのタッチであるとまで言っております。まだ生のチェンバロを見る機会は殆んど皆無(僅か一回のコンサートがあった程度か)レコードや文献でしかその存在に触れていない昭和九年の極東の日本人に、何故自分達は古代チェンバロを使わず現代チェンバロを使うかと言う事を丹念に説明し、またそのような内容の記事を一般音楽誌に掲載したという事は大変興味深いものです。推測するに当時のチェンバロ奏者は「ピアノでは無く作曲された当時の楽器・チェンバロで演奏するという優位性」と「現存するオリジナル楽器ではなく改造された現代チェンバロで演奏する事」の間での葛藤があったのかもと思ってしまいます。実は当時の欧米ではドルメッチ一派のオリジナル楽器原理主義とランドフスカ一派のモダン楽器推進派との抗争(?)があったのではとも推測しているのですが・・・。

2013年4月14日 (日)

昭和16年日本でのクラヴィコード

2214日、先日の昭和初期の我国の洋琴技術史の調査の中で発掘した興味深い資料をご紹介。昭和28年に東京で国産ピアノが50台以上も出品された大々的なピアノ展示会が開催されたとの事。戦災の痛手から復興したばかりのピアノ製造業界の意気込みが存分に伝わる展示会だったようで、国産ピアノ以外にもスタインウエーのスクエアピアノ(個人所有)やグランドピアノ(宮内庁出品)、米国製の自動オルガンやチェレスタなど多彩な楽器が展示された様子。中でも出品リストにクラヴイアコード(個人所有)があったのには驚きました。しかもその所有者(さる作曲家でした)は昭和16年11月のラヂオ放送でどうやらブロックフルートと一緒にクラヴィコードの演奏で出演していたようです。今まで本物のクラヴィコードの演奏をラヂオで放送したのか少々疑問だったのですがこれでほぼ戦前にもう日本人がクラヴィコードを演奏していた事は間違いないでしょう。昭和16年に独逸からチェンバロとクラヴィコードを携え来日したシュナイダー女史もこの年の10月に新潟でクラヴィコードリサイタルをしておりますので昭和16年は日本のクラヴィコード史にとっては画期的な年だったのですね。しかしこの日本人所有のクラヴィコードはいつ輸入されたのか、いったいどんな楽器だったかは今のところ全く不明、今後の調査をご期待ください。

2013年4月13日 (土)

地震

16_213日、明け方の関西の強い地震にはビックリでした(私は東京におりました)。震源が西のスタジオに比較的近い淡路島との事で被害を心配しましたが幸い保管している楽器陣は大丈夫なようでした。建物自体は年代物ながら18年前の大震災(震源地近くでしたので周辺の被害は大きい地域でした)でも生き残ったシブトイ作りなので今回も被害は無かった様子で一安心。やはり日本は地震大国、皆様も油断なさらないようにお気を付けください。

兵庫県淡路島で震度6

4月13日午前5時33分、関西で強い地震発生!兵庫県淡路島が震源との事(震度6)。 現在交通網も影響出ている様子。お気を付けください。

2013年4月12日 (金)

19世紀同士は相性良し

612日、スタジオは千客万来、今日のリハでは4台もの鍵盤楽器を使う賑やかな1日。初めて拝見する100年以上前の金属フルート(素晴らしく艶のある音色でした)、チェンバロと合わせる予定が面白いからと昨日出動したばかりの200歳のオリジナルフォルテピアノと合わせてみると19世紀の楽器同士のためかその相性の良さにビックリ(ピッチも少し低めでピッタリ合いました)。リハの合間にスタジオを抜け出し日本のピアノ技術者の総本山を訪問、洋琴に関する戦前からの貴重な資料を拝見させて頂き大興奮。その成果はまた後日発表しますのでお楽しみに。

2013年4月11日 (木)

五本ペダルを駆使して・・・

911日、初台のお馴染みの小ホールにオリジナルのフォルテピアノで出動。フォルテピアノデュオと歌手の三人によるシューベルティアーデ公演は、ピアノソロ、歌、連弾、詩の朗読と色々なネタが次々飛び出す楽しいプログラム。

8ウチのオリジナルピアノでは初めての連弾、二人のダイナミックな演奏も素晴らしかったですがフォルテピアノ特有の五本のペダルを駆使した多彩な音色変化には脱帽でした(ペダル操作の難易度高そうでしたね)。

2013年4月10日 (水)

ヨーロッパの香り

Cem_110日、欧州から届いたクラヴサンをピックアップに都心の倉庫へ向かうもまずは腹ごしらえとご近所の噂の隠れ蕎麦屋を訪問。メガ盛りのラーメン屋は多数あれどメガ盛りの蕎麦屋は珍しい・・・。何しろ普通が他の3人前、最初「少し大盛」を注文するも「全部食べてくださいね!」と大将に念を押され(脅かされ?)恐れをなして普通に変更。しかし出て来た量を見て大将の警告に感謝でした(凄い量!)。丁寧な作りで味は素晴らしいものの食べきる事に集中してしまいゆっくり味わう事が出来ないのが玉に疵。それでも1人で厨房内で奮戦する大将の姿を見ているだけで楽しいお店でした。

Cem_3通関したばかりのクラヴサンを木箱から取り出しすぐに遠方のお客様のお宅まで車で飛ばしてお届け(ナント往復700km!)。フタを開けるまで日本の空気に触れていなかった楽器はまだヨーロッパの香りを存分に漂わせる魅力ある音色と鳴りを保っており感心した次第。

2013年4月 9日 (火)

シューベルティアーデ

69日、今日はまもなく開催の「シューベルティアーデ」公演のリハにお付き合い。今回の公演は正にシューベルト時代のオリジナルピアノ(Johann Georg Gröber (Insbruck 1820))を使い彼の歌曲、ピアノ連弾曲、ピアノソロ曲などを交えた多彩なプログラム。国際コンクールで優勝し国内外で活躍するフォルテピアノデュオと迫力ある低音美声で注目の実力派歌手の共演、是非お聴き逃し無く!

2013年4月 8日 (月)

花まつり

18日、花まつり(東洋Xmasとでも言う日でしょうか)。今日から新学期、新年度がスタートの所が多いせいか街のいたるところに初々しい方が溢れてましたね。昨夜3台のチェンバロを西から移動、今日早速東のスタジオで出番近い楽器から御機嫌伺いを開始。まだ少し肌寒いも乾燥が収まりチェンバロに取っては安心な時期がしばらく続くはず・・・。加湿器もやっとシーズン終了ですね。

2013年4月 7日 (日)

戦いすんで

Photo7日、Fluteコンクール本選が終わり昨夜遅くに結果発表、今日は表彰式と受賞者披露演奏会。昨日までは競争相手だったメンバーも戦いすんで皆さん和気藹々。裏方は順位について予想当たったの外れたのとこれまた賑やか(私は大凡予想通りでした)。トップを勝ち取った二人は共に個性が際立ち順当といったところか。伴奏で共演した方の中には他にもトップ獲れた実力者いたのではとの声もあり中々熾烈な戦いだった様子。国際コンクールというドラマチックな舞台を間近から観戦出来たのは良き経験となった次第。

2013年4月 6日 (土)

速報

2_5Kobe Fluteコンクール本選結果 速報です。

1位 JACOT, Sébastian (スイス) & CALDERINI, Mathilde (フランス)

3位 竹山 愛 (日本) & FERREIRA, Adriana (ポルトガル)

5位 ACSAI, Timea (ハンガリー)

6位 濱﨑 麻里子 (日本)

いよいよ本選

36日、まずは某大学の楽器御機嫌伺いに出動。こちらでは結構年代の経つ(数十歳?)独逸N社のクラヴィコードがまだ現役で活躍中。実は日本で最初のクラヴィコードだったかもしれないE・H・シュナイダー女史が戦前にドイツから持ち込んだ楽器はこのN社の楽器、今から見ると今日触った楽器と女史の楽器は年代で言うとたった30~40年しか違わない・・・、となるとほぼ同じモデルだった可能性もあるのでは・・・。日本で初めて聴けたクラヴィコードはこんな音色だったのかもと想像しながらの楽しい調律でした。

12午後からはFluteコンクールいよいよ本選。満員のお客様のお陰で舞台は27℃と異常に暑く(まだ冷房入れられないとの事)チェンバロの調律に苦労するもナントカ6人の出場者の2時間を超える演奏の間無事任務を果たせてホッ(才能ある若手の将来が掛かっている大一番の舞台なのでチェンバロのピッチ低下や調律の狂いなどで足を引っ張るのだけは避けたかったのですよ)。発表まもなく。

2013年4月 5日 (金)

夜桜

2 5日、昨夜の3次予選を経てFluteコンクールのFinal出場者が決定。6人の中に日本人は2人、さて今回はどんな奏者が栄光を勝ち取るのか楽しみです。

1今日は明日の本選でのコンチェルトのリハーサル。今回も世界中のコンクールで競い合うツワモノばかりが残ったようでハイレベルの戦いか。明日の本選どうぞお楽しみに!舞台では若手の熱い鍔迫り合いが繰り広げられている中、舞台裏では同時進行で審査員による特別公演のリハーサル。表では若手のハイテンションの演奏が聴けるし裏では大御所達の貫禄の演奏が漏れ聴こえるという裏方ならではの役得の1日。

8_2夜は西のスタジオ周辺で夜桜見学。桜満開の公園は特別にライトアップなどぜず薄暗いせいか宴会はまばら(実は大賑わいを期待していたのですが・・・)。昔は「新吉野」と呼ばれる程の関西有数の花見の名所だった所も今や隠れた穴場という存在か。ここなら他に遠慮無くゆったりと宴会出来そうですね…来年は大宴会やりますぞ!

2013年4月 4日 (木)

桜満開

394日、今日から西でのチェンバロ仕事。まずは楽器入替えのため西のスタジオに寄ると周辺の桜は満開で正に見頃!東京より二週間は遅いようで(こちらが例年通りか)今年は東西で3週間もの間花見が出来たようなものでお得な年でした。

11スタジオ周辺は「新吉野」と呼ばれた程明治時代からの桜の名所と聞いていたので花見の時期はどれほど賑やかになるかと楽しみにしていたものの、派手な宴会は無く皆さん上品に桜を眺めておられる様子で中々シブイ花見の穴場かも・・・。来年は是非桜の下で花見宴会したいものです。

2昼からは国際Fluteコンクールのリハーサルのために白フレンチで出動。4年に1回の開催で著名な演奏家を多数産み出した権威あるコンクールとの事で世界中から若き実力者が結集、裏方も才能ある演奏家の将来を決める現場だけに緊張感は普段とは段違い。チェンバロも未来を託す演奏家の足を引っ張らないようにピッチや調律の安定に苦心しております。

2013年4月 3日 (水)

荒天の録音

63日、録音セッションのため郊外のホールにジャーマンで出動。朝からの強風のため桜すっかり散ってしまい行きと帰りでは色映えがすっかり変わってましたね。Vivaldiの作品の録音セッション、4月に入ればもう暖房無しで環境安定するかと期待するもまだ肌寒く湿度も外は大雨ながら乾燥気味・・・(お陰でピッチが下がり気味で苦労しました)。まだ冬の気配は遠のいてはいないようですね。

2013年4月 2日 (火)

サクラチル・・・

Photo2日、今日の雨で東京都心の桜も見納めでは・・・(郊外の桜はまだ見頃が続いているようですね)。3月でフォルテピアノの出番が一段落し楽器を総入れ替え。4月はチェンバロがメインながら6台もの楽器が交替で登場する予定、保管場所の確保に苦労しております。

2013年4月 1日 (月)

最後の衝動買い

Photo_24月1日、先日お会いしたばかりの外人演奏家から「出物のフォルテピアノあるけど興味有る?」と言われ情報を送ってもらうと予想以上のお買い得楽器だと判り思わず「私買います!」と手を上げてしまいました・・・(清水の舞台から二度飛び降りないといけない値段でしたが・・・) もう楽器の購入はこれで打ち止め(のはず・・・)、最後に理想の楽器に出会えて悔いは無し!

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