« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »
29日、伯林爆音アンサンブル名古屋公演。モダン楽器の名手達の演奏は1800席の広い空間でも全く問題無く聴こえるのでチェンバロはバランスを取るのに一苦労。「フタを外したいんだけど・・・」と言われてもフタが無くては全く聴こえないし・・・。何とか説得しフタ有りで本番へ。独逸ではフタ無しでも本当にバランス取れているんでしょうかね(チェンバロがもっと音量あるのかも・・・)
早朝東京を出て途中の渋滞を恐れて早めに名古屋入り。朝飯は御贔屓の卸売市場内の食堂で海鮮丼。750円で10種類以上のネタ山盛りの大盤振る舞い、個人的には満足度No1の海鮮丼。
昼はこれまた御贔屓の老舗鰻屋へ。昭和のままの店構えで店内は美味しそうな煙が充満。たまたま焼場の真ん前の席に座らされ風下だったせいで鰻の焼き上がりを待つ間に我が身も鰻風味の燻製状態となってしまい終日体から旨そうな匂いが漂う羽目に・・・。 大振りで美味な鰻を安価で出す老舗店なので東京なら行列のはずが名古屋は程良い繁盛振りが素晴らしい。
28日、荻窪のホールでの伯林のメンバーの公演に白フレンチで出動。独逸人なのに時間にルーズだったり(最近は伊太利人の方が時間厳守かも・・・)メンバー1人の体調不良騒動があったり(大した事が無くホッ)、ツァーも最初から波乱含みの様相ながら流石世界を股に掛ける売れっ子演奏家達、悪条件の中でも本番になると決めるところはビシッと決めておりました。しかし世界トップレベルのモダン楽器奏者は本当に音がデカイ!(いつもは音量有り過ぎ・・・と評判のウチの白フレンチでも押され気味かも)
ホール周辺は東京有数のラーメン激戦区なので空き時間に早速ホール傍の正統派東京風醤油味のワンタンメンで評判のお店へ。少し駅から離れているせいか繁盛の様子ながら行列が出来る程では無いのがありがたい。最近のコッテリ系のラーメン店ばかりの中でアッサリ醤油系の味は昔ながらと言いながらかえって新鮮。
26日、大分での「救世主」公演本番。この季節舞台上の厳しい環境変化を心配するも温度変化に敏感で手が掛かるオルガンは意外にも安定(勿論温度計を睨みつつ照明を小まめに調整しているのですが)、逆にいつもはタフなチェンバロがこの冬初の乾燥で少々御機嫌斜め・・・。まあ過乾燥の現場を何度かくぐり抜けると多少の修羅場も涼しい顔でいれるのでしょうがまだ冬は始まったばかりで楽器も冬支度出来てないのが原因か。久々に本番前にドライバーとメスを持って簡易手術をする羽目に。
海の幸豊かな九州に来たならば!とランチの新鮮な烏賊をこれまた色鮮やかな卵とまぶした「イカ重」旨し。 本当は夜も頑張りたい所ながら昨夜は長旅で疲れでご近所で「団子汁」を頂いたのみ・・・(ホテルの周辺が飲み屋街で目の毒だったのですが)
25日、前日都心でのリハ終了後すぐに西へ移動、夕焼け富士や朝焼け関門海峡を眺めつつ大分まで1300kmを一気にドライブ。さすが11月末となると南国とはいえ大分は結構寒い!
地元の合唱団の「救世主」公演のリハに久々のオルガンチェンバロ2段積みで参加。ソリストはどなたかと思いきや地元出身の売れっ子女性歌手2人を始めお馴染みのメンバーでお互いビックリ。いつもは夏の音楽祭でお顔を合わすHさんとは今年は中止だったため久々にお会いし業界噂話など情報交換。どうやら来年の某音楽祭はあのルーファス氏が3年振りに参加かもとの事。その弾けっぷりで度肝を抜いた相方氏もまたやってくるのかもね・・・とヒソヒソ話(宴会ファンの方どうやら来年は期待出来そうですぞ)
23日、所要で行った八王子で電車待ちにひやかしたCDショップで「立川談志死去」の報を知りビックリ(発表1時間後にもう 追悼コーナーが設置されていたのにも驚きましたが・・・)。名人揃いだった昭和の凄さを伝える噺家がまた一人姿を消した事に。ちょうど今四天王として談志と同時期に活躍した柳朝の伝記を読んでいたところだったので(文中にも談志の事が度々出てきておりましたし)其の偶然にも驚いた次第。談志師匠の高座はたった一度神奈川県の奥のホールまで遠路遥々聴きに行った事があるのみながら、その勝手気まま(な振りをしていただけ?)でアクの強い舞台パフォーマンスは今だに忘れられない体験。個人的には師匠の高座と共に(実はそれ以上に)昭和の寄席全盛期への様々なリスペクト(それがもう芸となっておりましたが)への憧れを持っていた次第。今日はあちこちで「談志が死んだ」というお馴染みの回文が飛び交っていることでしょう。合掌。
22日、初台でのチェンバロリサイタルに奏者の楽器を携え出動。今日のチェンバロはMr.Eizo Horiが30年前に作ったフレンチモデル、生涯200台以上も製作した彼の作品の中ではこの楽器は今だにリサイタル等で活躍している現役最古参の楽器なのでは? そのシャープでダイナミックな音色は海外の著名メーカーに決して引けを取らない堂々の鳴りっぷり(私は彼の多くの楽器の中でも一二を争う程お気に入りなのですが) やはりこの音色は30年という年月に熟成していった賜物なんでしょうねえ。しかし例年並みの気温となってきたのでいよいよ乾燥が始まりだした様子。加湿器の準備はお済みですか?
21日、ドッグ入りしていた車が修理を終え無事帰還(楽器運搬には使えない(笑)代車とも今日でやっとオサラバだ!)。サービスで洗車してくれたお陰で外観は新車のようにピカピカ、タイヤも交換したてでピカピカ、いや運転してても気分良いもんです。しかし余りにも急がした為かまだ車から塗料の匂いが・・・(運転していると違う意味で少しハイになってしまったかも・・・) 今日はウッドカプセルと金属カプセルの2種類のフォルテピアノの御機嫌伺い。かのモーツァルトの時代はまだウッドカプセルの楽器が主流だったはずで、後の時代の発明である金属カプセルのフォルテピアノは実はモーツァルト演奏にはマッチしないのでは・・・と思うのですがいかがなもんでしょうか?ただウッドカプセルの調整の難しさは金属カプセルの比では無いのですが・・・。現代の製作家は皆さんモーツァルト時代のフォルテピアノでも扱い易い金属カプセルを使うようですがオリジナリティを追及するならやはりウッドカプセルを使用すべきでは・・・。
19日、ドイツの楽器製作家から先日送られてきたCD、1788年頃のオリジナルのタンゲンテンフリューゲルを使ってのモーツァルトのヴァイオリンと鍵盤楽器のソナタ集が収録。この録音で使われたタンゲンテンフリューゲル、実は彼がブレーメンの街の片隅で眠っていたところを最近偶然発見したとの事。少し修理された跡があるもののオリジナルに近い状態で残っていた貴重な楽器で、丁寧な修復を経て最近演奏可能な状態になったとの事。小さな木片で弦を突き上げる構造のタンゲンテンフリューゲルはフォルテピアノに比べると軽快ながらやや単調な表情の音色だと思っていたものの、この録音を聴くと意外にダイナミックレンジの幅もあり堂々たる迫力と多彩な表現力にはビックリ。モーツァルト作品との相性も抜群で、修復した友人は「これこそモーツァルトが弾いたというMozartsche Flügel Forte Piano だったかも・・・」と夢のある推測をしておりました。彼は東欧の古城から見つけ出した「リストが弾いた(かもしれない)1830年代のベーゼンドルファー」なども所有しており羨ましい限り。(まだヨーロッパでは本当の意味での「お宝楽器」を発掘出来るんですね) ただこのCD、出し惜しみのせいか肝心の楽器の写真が無くその貴重な姿を拝見する事が出来ないのが残念。是非実物を弾いてみたいものです。
17日、代々木のホールでのCD発売記念公演にジャーマンで出動。楽器搬入前にホール目の前の御贔屓の饂飩屋でランチをと出向くも大行列、時間を外せば大丈夫ではと楽器搬入後に再度出陣するもランチタイムを過ぎてもまだ大行列・・・。讃岐風の本格的打ちたてシコシコ饂飩を出す店となるとやはり人気は絶えない様子。しかしこのお店のお陰でここは個人的に仕事で訪れたいホールの順位でかなり上位です(笑)。今日の公演、息の合ったカウンターテナー、リコーダー、チェンバロの絶妙のアンサンブルを堪能出来た2時間ながらやはり自由奔放なNaoki氏のチェンバロに圧倒されっ放し・・・。CDには素晴らしい弦楽アンサンブルも加わり中々良い出来となっております。ウチの楽器も参加しておりますので是非お聴きください!
16日、「ピアノの巨人の原点をオリジナル楽器で聴く」というリストイヤーの締め括りに相応しい(?)ユニークな公演に6オクターブのオリジナルフォルテピアノ・Johann Georg Grober (Insbruck 1820)で出動。11歳の少年リストがかのチェルニーに師事していた時代は正に今回のピアノのようなウィーン式を弾いていたはず・・・という事から前半師匠のチェルニーvs後半弟子リストというナントモ面白い組み合わせ。今日で3回目の出動となり重量物運送は大分慣れたものの、ちょっとした事ですぐにコンディションが変わる気分屋のオリジナル楽器の御機嫌取りには四苦八苦。それでも御歳190歳の老ピアノの魅力ある音色に改めて惚れ直した次第。
15日、明日明後日と注目コンサート2連チャン。まずは明日11月16日、重要文化財の洋館「自由学園明日館」で開催のオリジナルフォルテピアノ「Johann Georg Grober (Insbruck 1820) 」を使ってのリスト特集のコンサート。滅多に演奏されない初期のリスト作品をこれまた珍しい組み合わせの6オクターブのウィーン式フォルテピアノで奏者がどう料理するのかご注目あれ。このオリジナルピアノ、12月21日のコンサートにも登場が決定!
明後日17日は代々木でのCD発売記念のコンサート。雪降る過酷な環境の中での録音だったのですが素晴らしい出来映えのCDに仕上がったとか。 毎回エキサイティングなチェンバロ演奏を聴かせてくれるチューリッヒのNaoki氏、東京は今年最後の聴き納めでは?
14日、久々にスタジオに戻り楽器を入れ替えながら計6台もまとめて御機嫌伺いの1日(相変わらずスペースが無く1台づつしか見れないので大変)。まずは初のモダンピッチの出番を終えたワルターのフォルテピアノのピッチ戻し。大幅なピッチ上げでも予想以上に安定していたようで頼もしい限り。
まもなく出動の1段フレミッシュ。 このチェンバロがウチの貸出用第1号、もう20年以上活躍しております。一時期は関西で超売れっ子でした。
出番はしばらく無いもののカバーを他で使うために裸にされてしまったのでついでに(?)調律したチビイタリアン。やはり軽量小型はありがたい。
先日出番を終えた1段初期フレンチ。この楽器がウチでは一番の箱入り娘なのでは・・・。 (オランダの爺様のお気に入りなのですが)
Weiss氏とのゴールドベルヒ變奏曲ツァーを終えたジャーマン、今度はこちらのCD発売記念コンサートに出動の予定。久々にチューリッヒのNaoki氏がチェンバロで東京に登場します。
1820年製のオリジナルのフォルテピアノはこちらのリサイタルに登場予定。今年注目のリストの作品を6オクターブのウィーン式ピアノで演奏するという他では絶対聴けないプログラム、是非お聴き逃しなく!
写真を改めて眺めてみると今回は1段鍵盤の圧勝ですね(笑)
13日、ウチのワルターモデルのフォルテピアノがモダンオケとベートーベンのPfコンチェルトで初共演。太く硬質な音色のモダン楽器とフォルテピアノの相性を心配するも演奏家の工夫次第で何とか対抗出来る事が判り一安心。スケジュールの関係で本番当日初めての楽器を少し触っただけでいきなり本番というタイトな条件でも見事な演奏を披露したママさんフォルテピアノ奏者に拍手! ドイツから一時帰国の彼女とお仕事をしていると同じホールで半月後に公演を控えるフランスから一時帰国のOb奏者ともばったり遭遇。こちらの公演も日仏合同編成でバロックダンスを含むユニークな編成のアンサンブルが登場の予定とか。
10日、欧米で活躍する(今やジュリアードの教授とか)チェンバロ奏者Weiss氏の「ゴールドベルヒ變奏曲」ツァーは京都からスタート。「当日2時間のリハーサルで充分」との余裕満々の奏者、会場に到着し初対面のウチのジャーマンに向かうと指慣らしも無しでいきなりゴールドベルヒ變奏曲をノンストップ&暗譜で完璧に弾いてしまいその噂通りの剛腕振りに驚嘆。強靭ながらしなやかなタッチで奏でる艶っぽいバッハ演奏はやはり彼独自の世界か。(ウチのジャーマンが何と豪快に鳴ることか!) 明日の兵庫公演は早々と完売、東京公演は残席僅かとの事。実は今日の京都公演が一番席に余裕があったのですが・・・。どうしても彼のゴールドベルヒ變奏曲を聴きたい!と言う方はライブ録音のCDがお勧め!
9日、3月の震災で大きな被害を受けた福島県いわき市北部の学校でのミニコンサートにホール所有のチェンバロを携え参加。震災後楽器庫で全く弾かれずに眠っていた1段ジャーマンは約8カ月振りの出番となり御機嫌を心配するも、今日の弾き手(チューリッヒのNaoki氏)の抜群の楽器コントロールのお陰で豪快な鳴りが戻ってきたようでホッ。
学校訪問の合間に津波被害の大きかった海岸沿いの和食店で昼食。被害で店舗が激減している中建物を新装し元気に営業しているお店は結構繁盛している様子、まさかこんなに早くにいわきで美味しい海鮮丼が食べれるとは思いませんでした(魚の仕入れには苦労されているのでしょうが)
学校公演の後にNaoki氏がホールご自慢の16fチェンバロを初めて試奏。彼が弾く16fの凄まじい音色に皆ビックリでした。いつかは彼のリサイタルをいわきで聴きたいもんです。
5日、昨日に続きホール楽器のメンテナンス。約8カ月振りに楽器庫から外に出たチェンバロ達、震災では無傷だったはずが怖かったのか拗ねたのかまるで囁くような声でしか歌ってくれない・・・。しかし2日間掛けて一生懸命御機嫌を取っているうちに最後にやっと本来の豪快な歌声が戻ってきたようでホッ。
今朝は仕事前にいわき市内各所を車で散策、内陸部はかなり以前の生活が戻ってきているようで活気があるものの海岸地帯はまだまだ3月のままの所多し。
しかし御贔屓だった小名浜は被害甚大だった水族館が早くも夏に営業再開、大規模魚市場もまもなくリニュアルオープン、漁港の食堂も半分位は営業とかなり復興の兆しは出てきている様子。 しかし東北の復興はこれからが本格的となるはず、引き続き復興支援にご協力を!
4日、今日は福島県いわきでチェンバロのメンテナンス。これで昨日の神戸から今日のいわきへと16年を挟んだ両被災地を連続訪問。いわきの街は一見復興が進んでいるようながらまだまだ震災の傷跡は大きい様子。しかし東北なのでもう寒いはずと身構えるも西日本同様こちらも日中暖かな陽気で拍子抜け。
今日は長期休館を経てこの11月に待望の活動再開を果たしたこちらのホール所有のチェンバロ2台のメンテナンス。この楽器達は地下の楽器庫で震災に遭遇するも幸い隣にあるはずのフルコンのピアノが出ており台車に乗ったまま動きまわった程度で無事だったとか(もしピアノが隣にあれば押し潰されていたはず・・・)。 しかし直後に「ドア越しに遠目で見て潰れず倒れず何とか無事な様子だった」との報告を頂くも、その後約2カ月も立入禁止となり楽器の損傷を全く確認出来ず心配な日々が続くも、今日8ヶ月振りにやっと楽器の内部まで開けて損傷具合をチェックすると、2カ月も放置されていたにも関わらず地震の衝撃も殆んど無くその後も空調が効いた部屋で密封されていたお陰でダメージは全くと判り安心した次第。
最近のコメント