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30日、仏国美声貴公子&ラテン多国籍軍の浪速の某ホールでの千秋楽公演にオルガンとジャーマンで出動。バブル期に贅を尽くして建てられたホールの響きは古楽器にも圧倒的に素晴らしい!(メンバーから何故日本にはこんなに素晴らしいホールが沢山あるのか?と不思議がられておりましたが・・・) ただ最近この素晴らしい音響のホールでの古楽器公演が少ないのが残念。
今日も主役の歌手に負けじと喝采を受けたのが熱いヴァイオリンとヴィオラ・ダモーレのソロを披露したアレッサンドロ氏。今回の公演は彼の卓越した演奏を聴くだけでも皆さん満腹になられたのでは?
現代でも滅多に聴く機会が無いヴィオラ・ダモーレ(実は昭和初期の我が国第1次古楽器ブームでは主役だったのですが・・・) 弦の数がやたらと多い楽器なのでどんな風に調弦するのか覗くと調律師の天敵(笑)スマートフォン内蔵チューナー(結構精度が高くスグレモノなのですが)を使い共鳴弦はスティックで弾きながらと中々厄介な調弦の様子。しかしその艶っぽい音色に結構ハマってしまいました。今回の彼らの衝撃の演奏を聴き逃した方は多いはず・・・、次回の来日(果たしてすぐに来てくれるのか?)には是非お聴き逃しなく!
28日、16年前の阪神大震災で倒壊・建替えとなった神戸の大ホールでのモツレク公演にオルガンで出動。ここは18年前のLa Petite Bande日本初公演(ハイドンの天地創造でした)をお手伝いした思い出深い舞台(しかしその時のギャラは踏み倒されたままという苦い思い出が・・・)。モツレクと言えば業界では「オルガンは間違えないと聴こえない」と言われるほどオケと合唱の分厚い音にオルガンが掻き消されてしまう曲として有名、今回はさらに200人の大合唱団とフル編成のオケ、2000席の大ホールという難題が加わり全く聴こえないのでは?と久々にオルガンの音量増加用の秘密兵器を投入。(何とかオルガン聴こえた様子)
27日、朝からチェンバロ宅配便として京都へ。いつもはいたるところに溢れかえる古都の観光客もこの猛暑で人影少なし。午後から連日のモツレクリハで大阪へ。まずは会場の某オケ練習場の近所にある御贔屓の洋食屋で特大ビフカツとエビフライの昼定食(安価で美味!)のランチ。東京なら行列間違い無しの「出来る」お店ながら気楽に入れるのが関西の素晴らしいところかも。(時間を外せばすぐに座れる様子)
モツレクのリハの合間に外に出ると練習場のビル内では浴衣姿の無名(?)演歌歌手のキャンペーンもありクラ・バンジョー・チンドンという編成の楽隊が賑やかに演奏。 モーツァルトと演歌が同じビルで同居するところがナニワの街の逞しさでは・・・。
25日、朝名古屋入りするとバケツを引っくり返したような豪雨が何度も襲来。道路は見る間にプール状態でいたるところで車が立ち往生し大渋滞。(夜も三重の高速土砂崩れで通行止で往生しました) しかし折角名古屋に来たならばと雨にも負けず御贔屓の卸売市場の場内食堂で驚きのCP(750円!)のネタ豊富な海鮮丼でランチ。
今日は名古屋の大ホールでのピアノリサイタルにゲスト出演の美声貴公子率いるラテンアンサンブルのためにジャーマンで出動。連日熱演のアレッサンドロ氏、今日はダモーレの出番は無くヴァイオリンのみながら相変わらず圧倒的なテクニックのヴィヴァルディを披露。まだお聴きで無い方是非その見事な弓裁きをご覧あれ。
しかし久々に話好き冗談ばかりのラテン人達と御一緒になりハラハラするも中々楽しいツァーとなっております。(こんな陽気な連中は久々かも・・・)
23日、仏国カウンターテナーの貴公子が自己のグループを従え再び来日。今回はオールヴィヴァルディプログラム。実力派揃いの仏伊西などラテン系多国籍軍の陽気なアンサンブルの中にパリ在住の中村葉子さんがCem・Orで参加(約10年振りの再会でした)。
今回の公演、美しくも完璧な美声で魅了する貴公子の歌声が主役ながら(ご婦人方のファン多し!)、前回同様躍動感溢れる演奏で主役と存分に張りあったヴァイオリンのAlessandroTampieri が凄かった!(今はラルベッジャータには参加していないとか)今回はヴィオラ・ダモーレの演奏でも大活躍。古楽ファンでもあまり聴く機会が無いヴィオラ・ダモーレが存分に味わえる絶好の機会では!その艶やかな音色は結構ハマりますゾ。28日の名古屋、30日の大阪公演是非お聴き逃しなく!
22日、日本で最初にチェンバロを持っていたのは誰?という疑問にまたひとつ新たな証言が参入。今までは昭和16年のエタ・ハーリッヒ= シュナイダー女史の来日時に持ち込んだミュンヘンのMaendler Schramのチェンバロ(Neupertの楽器だったという資料が結構出回ってますが間違い)か、大倉財閥の御主人が持っていたチェンバロ(購入時期はまだ不明)かと思っていましたが、今回昭和九年の音楽雑誌の中のあらゑびす氏(昭和初期の音楽評論の大家ながら皆さんには銭型平次の著者というべきか)の「まだ見ぬ樂器の魅力」というコラムの中で、「ハープシコードは某國大使夫人が一台持って居ると言ふことである~」 との記述を最近発見。これがもしかすると日本で最初のチェンバロかも・・・。先日ご紹介した昭和七年の大阪でのオーストリアから来日したチェンバロ入りグループの公演は、海外から持ち込んだチェンバロかもしくは某國大使夫人所有の楽器をお借りしたのかも・・・と想像は膨らむばかり。この某國ってどこ?
第2回 2011年8月2日(火)
自由学園明日館 Room1925 19時開始
(18時頃から蓄音器を鳴らしておりますので早めにお越しいただいても結構です)
出演 梅岡 俊彦(音盤解説)
料金: 2000円(当日精算)
蓄音器: 英国EMG社MarkⅨ(1930年)
主催・連絡先 目白古楽ネットワーク
共催: 自由学園明日館 重要文化財 明日館 HP
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-31-3
20日、少し四国関西をかすめただけで台風は南へ向かい東京はそれ程影響出ずに一安心。(東名はずっと通行止だったようですが・・・) 今日はスタジオで8月4日の洋館でのコンサートに出動予定のワルターモデルのフォルテピアノの御機嫌伺い。梅雨時でも猛暑でもエアコン除湿機フル回転と完璧な箱入り娘状態で楽器は御機嫌麗しい様子。今回の公演はモーツァルトとベートーヴェンの聴き比べ、前回同様コンサート前後にお客様によるフォルテピアノ試奏タイムも設けております。乞うご期待!
17日、つい先日発売となったランドフスカの仏蘭西在住中に録音されたバッハの録音CDをやっと入手。(復刻の監督は現代の仏蘭西クラヴサン界の鬼才Skip Sempe!) このCD,全盛期のランドフスカの演奏も聴き応え充分ながらおまけDVDの数百枚の写真が凄い!特注したモダン仕様のプレイエルチェンバロが有名なクラヴサンの女王様が実はルッカースのチェンバロやヴァージナル、他にもイタリアンや17世紀のクラヴィコードなど多数のオリジナル楽器のコレクターだったという事実には皆さん驚かれるのでは・・・。(女王様は決してオリジナルのチェンバロが嫌いではなかった様子) 欧州各地での女王様没後50年(2009年)の大展覧会などの盛り上がりを見逃した身としては今回のCDの充実した資料は家宝級の資料か。何よりも現代仏蘭西でトップのクラヴサン奏者たるセンペ氏がランドフスカ研究を牽引しているという事実は現代日本チェンバロ史研究に携わる身としては心強い限り。逆に女王様在位の1930年代の極東の国での異常なランドフスカ(およびチェンバロ)ブームには本国の方が驚くのでは? (女王様の巴里でのゴールドベルヒ變奏曲初演の場に日本人が3人も駆け付けていたそうな)
16日、先日まで日本最初のチェンバロ演奏は昭和12年の神戸在住のスイス人ネレ・フランク氏の大阪でのラヂオ放送と演奏會だと思っておりましたが、また新たな資料を発見。フランク氏より遡る事5年の昭和7年3月10日、大阪朝日會館 での「シュナイダートリオ 大演奏會」 出演は ア・トール・ヴィティーング ホフーシェール(クラヴィチェンバロ(ハァプシコード)・ピアノ) レムヤ・ヴァシツッ(ヴァイオリン) ヴォルフガング・シュナイダー(セロ) というオーストリアの3人組。解説では「欧州室内楽の権威として世界的にその名を知らるる「シュナイダートリオ」の来朝を●へ、ここに大演奏會を開きます。三氏いずれも墺太利が生んだ名樂人、その精通に於いては今更言わずもがな。特に珍しいクラヴィチェンバロ(ハァプシコード)の演奏など好樂家にとっては逃すべからざる好機と存じます。切にご来場を待つ」とあります。写真を見るとランドフスカのプレイエルモデルではなく鍵盤横が真直ぐな一見ヒストリカル風のチェンバロの姿が。(写真は伯林の楽器博物館にあった似た楽器ですが) この演奏会が日本初のチェンバロ入り演奏会だったのか? 大阪以外に東京でも演奏会があったのではと推測するのですが・・・。
別の資料では、昭和2年のラヂオ放送記録に、7月26日放送 バルナー(Cembalo)「椿姫」より 30日放送 バルナー(Cembalo)「トロヴァトーレ」 という記述を発見。この時代レコード演奏だったという可能性も捨てきれませんが生演奏だったのではと思うのですが・・・。こちらが日本最初のチェンバロの公開演奏だった? しかしこのバルナーという方、コンサートで来日した演奏家なのか日本在住の外人演奏家だったのか・・・。またどんな楽器だったのか・・・。 この2つの件、もし詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非ご一報ください。まだまだ日本のチェンバロ事始めの謎は深まるばかり。
15日、昨夜の蓄音器コンサート、古楽界の御開祖様ドルメッチ翁のクラヴィコード演奏が技巧に走らず(走れず?)楽譜にも自由奔放な(過ぎる?)演奏に皆驚かれた様子。同時代の古楽界のもう一人のスターであるランドフスカ女史の聴く者を圧倒するような演奏との違いを実感されたのでは。(画期的なクラヴィコード演奏のバッハ四十八協會のレコード発売が第1回で頓挫したのもこんな理由かも) しかしコンサートでピアノに負けないような音量と表現力を備えるためにチェンバロに大胆な改造を推し進めた「現場主義派」の女王様に比べて、一般愛好家の関心を得られなくても頑なにオーセンティックなスタイルに拘った「原理主義派」のドルメッチ翁の姿勢こそ実は現在の古楽の源流だったのでは? もし彼がもっと技巧派であればきっと現代古楽復興の歴史は変わっていたはず・・・、また技巧派の後継ぎ長男ルドルフ・ドルメッチの早世が無ければヒストリカルチェンバロの初代スターは阿蘭陀人ではなく英国人だったかも・・・。蓄音器から流れる古き演奏を聴きながら古楽界創世記に想いを馳せた一時。しかし昨夜のレコードで大受けだったのは何故かチャーリー・パーカーのSavoy盤、ドルメッチを聴きに行ったらCパーカーに感動!となった次第。次回の蓄音器コンサートではどんな珍盤で受けようか今から思案中。
14日、震災復興支援コンサート第2段は蓄音器で聴くドルメッチのクラヴィコード特集。1921年建築の洋館で1930年の蓄音器を使い1930年前後のSPレコードを聴くという贅沢三つ揃えのレコードコンサート。 ランドフスカ(日本で最初に発売されたチェンバロ演奏盤)、ドルメッチ親子(クラヴィコードとヴァージナルでのバッハ)、ボドキー(クラヴィコード)、シャンピオン(チェンバロ)など20世紀初頭の古楽器復興の原点というべき演奏を披露。皆さん初めて聴く古楽界の開祖たるドルメッチの演奏のアクの強さ(素人臭さ?)には度肝を抜かれた様子。同じ曲ならどちらに軍配が上がるか比べてちょうだい!と特別ゲストの筒井氏がクラヴィコードの生演奏でドルメッチと競演というコーナーもお楽しみいただけたのでは。本編が終わると余興タイムとなり(実はこちらが本命かも・・・)声楽盤(ジーリやスペルビア)やジャズ(CパーカーやBホリディ)、そして戦前の我が国人気コミックグループ(あきれたぼういず)まで広範囲のジャンルのレコードを蓄音器で演奏。欧米の最高級のサロンで鳴らすような極上の音響にも助けられ(やはり90年前の洋館の響きは素晴らしい!)我が蓄音器の絶好調の鳴りっぷりを皆さん堪能されたのでは・・・。次回の蓄音器コンサートは8月2日(日)同じく明日館で「チェンバロ奏者はランドフスカだけじゃない!昭和初期の日本で知られていたチェンバロ奏者達」と言う企画でのレコードコンサートを開催の予定。是非お聴きください!
13日、明日に迫った明日館での蓄音器コンサート、やっとプログラム決定しました。今回の主役である古楽器復興の開祖「アーノルド・ドルメッチ」のクラヴィコード演奏を始め同時代の他の奏者のクラヴィコード、ランドフスカなどのチェンバロ演奏など盛り沢山、その上クラヴィコードの生演奏(ドルメッチと同じ曲を聴き比べ!)までご用意しております。是非貴重な歴史的演奏をお聴き逃し無く!(この公演は震災復興支援に協力しております)
ところで日本で最初のチェンバロ演奏は昭和12年の大阪でのラヂオ出演とコンサート(神戸在住のスイス人レネ・フランク氏と京都在住の中瀬古和子嬢がチェンバロ演奏)ではと申し上げておりましたが、何とそれから遡る事5年、日本での第1次古楽ブームに火が付く直前の昭和7年にオーストリアのグループ(Vn+Vc+Cem)がチェンバロを持参して大阪(朝日會館)でコンサートを開催していたという新事実を文献から発見いたしました!明日の明日館での蓄音器コンサートでその資料を初公開の予定。驚きの新事実を直にお確かめあれ!
12日、 「東日本震災復興支援コンサートwith明日館」シリーズ第1回。今日はモーツァルト旅行用クラヴィコードとルイ・デュルケンのフォルテピアノの2台を並べての贅沢なラインナップ。コンサート前後に試奏OKと申し上げると熱心な方は早くからお越しいただき2台を存分に弾き比べ。小型ながら豪快な鳴りっぷりのクラヴィコードと切れ味鋭いシュタイン系のフォルテピアノの鳴りの違いを皆さん堪能されたのでは・・・。(やはり90年前の洋館の音響は最高!) 公演後は悪乗りした調律師と演奏家が共謀し「初期ワルターのような手動ダンパーをOFFにしたままの状態」や「シュタインのようなバックチェック無しの状態」がどんなタッチや音色になるものかを実験演奏。近いうちに初期シュタインのメカ仕様で演奏会を開催しようと画策中。(まだ誰もやっていないのでは?) 乞うご期待!
この震災復興支援コンサート、明後日14日はアーノルド・ドルメッチのクラヴィコード演奏を中心に昭和初期の古楽器演奏の珍しいSP盤の蓄音器コンサート開催です。筒井一貴氏のクラヴィコード生演奏もあり。(ドルメッチと聴き比べ?) お聴き逃し無く!
最後に復興支援のためにコンサートに参加頂いた方及びカンパを頂いた方に感謝!(収益は明日館を通じて義捐金として寄付させていただきます)
11日、明日に迫った震災復興支援のためのフォルテピアノコンサート。最初はライト建築の大正時代の重要文化財の洋館で支援活動のコンサートを開催しようと言う事で始まったこの企画。第1回はモーツァルト時代のフォルテピアノとクラヴィコード(もちろん複製ですが)を使いましょうと簡単に企画はまとまったのですが、準備していくうちに「モーツァルト時代に忠実なメカニックのフォルテピアノは実は現在ほとんど無いのでは?」という話になりウチウチではエラク盛り上がって来ております。若きモーツァルトが絶賛したピアノとして有名な「シュタイン」モデル。このピアノの特徴は「木製カプセル」「膝レバーはダンパーのみ」「バックチェック無し」など結構最近のコピー楽器にも無いような独特の装備とタッチ。この「若きモーツァルトが魅せられた」タッチと音色を今回出来るだけ復元してみようと画策しております。それがどんなモノなのかは是非皆さん自らお試しいただけます(試奏タイムをコンサートの前後にご用意しております) モーツァルトが旅行用として愛用していたシュタインのクラヴィコード(複製)の軽く華やかな音色も必聴ですぞ!
9日、東京もついに梅雨明けとか。先日よりまもなく開催の震災復興支援コンサートのための準備で色々興味深い資料に遭遇。第1回の蓄音器コンサートの主役のアーノルド・ドルメッチ(やはりこの人が古楽復興のキーパーソンでしょう)を調べていると1939年にフォルテピアノでベートーヴェンの月光を録音しているとの記述を発見。フォルテピアノの録音ではもしかするとこの録音が最古になるのでは・・・。1900年前後にもうフォルテピアノを製造したと思える記述もありましたし彼がフォルテピアノ研究では最先端をいっていた可能性が大きいですね。これも今後の研究テーマです。他にも20世紀前半の古楽復興運動の初期の頃、リュート奏者が不足しており仕方なく(!)ラウテンクラヴィーア(リュートチェンバロ)で代用していたとの記述も発見。20世紀前半にラウテンクラヴィーアが結構出回っていたようですね。(一体どんな楽器だったのでしょうか・・・) これだから古楽復興の歴史探訪はやめられない・・・。
8日、来週火曜に迫った明日館でのフォルテピアノコンサート、今回登場するのはモーツァルト時代で代表的なシュタインモデル。この時代のピアノは機能も驚くほどシンプル、まだペダルは無い上にダンパーも膝操作ではなく手で作動というものがあったりと(演奏中にON/OFFが出来ない!)、殆んどタッチによって音色変化をしなければならない構造でした。(今回提供する楽器は膝レバーはダンパーのみ)
またモーツァルト時代のピアノのもうひとつ大きな特徴はハンマーが鍵盤に木製カプセルでジョイントされている事。現在出回っているこの時代のフォルテピアノはほとんどモーツァルト没後の発明である金属カプセルを使用しておりオリジナルのタッチとは少々違うようです。どの位違うかは今回特別に設けた試奏コーナーで是非お確かめあれ!
またモーツァルト時代の他の特徴としてはハンマーのバックチェックが無い楽器が結構あった事でしょうか。バックチェックが無ければ連打がしにくかったり強打すると2度打ちしたりとタッチに相当制限が出るのですが当時の演奏家はどんな弾き方をしていかのか興味あるところです。今回の楽器はバックチェックを装着しているのですが、特別にバックチェックを外した状態での演奏を少し披露していただく予定です。もちろん試奏時にそのモーツァルト使用の状態での試奏もOK!。(予想以上に弾きにくいですぞ) 演奏家には今度バックチェック無しでリサイタルをやればとけしかけているので近日中にモーツァルト仕様での演奏を聴いていただけるかも・・・。
7日、七夕。来週の蓄音器コンサートのための下調べをしていると今回の主役のドルメッチについて興味深い資料を発見。先日まで現代のグループによって穴無しナチュラルトランペットや肩掛けチェロ「スパラ」、バスドヴィオロンなど21世紀スタイルの古楽器(?)を駆使した演奏を堪能させてもらったブランデンブルグ協奏曲、その最初の全曲録音(1929年)にはドルメッチ一家の長男ルドルフがチェンバロで参加していたとの事。ただしチェンバロが活躍する5番のみWギーゼキングがピアノで演奏したそうな。
この興味深い録音はまだ聴いた事が無くいずれ実物を入手してみたいもの。(日本では当時発売中止とかで入手困難?) 実はピアノ演奏のブラ5というのは最近ではほとんど聴けないのでは?私は幸いウィーンの巨匠Demusのピアノでの演奏を数年前に聴いた事がありましたが現代の古楽ファンから見るとどうも異端な演奏に聴こえてしまいました・・・。 そう言えば戦前のブランデン録音ブーム(本当にそういうブームがあったのですよ!)の中で昭和8年のコルトー指揮のブラ5の録音への日本の雑誌での評で「この演奏は大変素晴らしいが出来ればランドフスカにチェンバロで弾いてほしかった・・・」とのコメントがありました。天下のコルトーに「バッハならピアノよりチェンバロで弾け!」と注文をつけるとは我が国の戦前の評論家のチェンバロ好きは相当なものだった様子。この辺の戦前日本での古楽ブームを蓄音器コンサートでは存分に検証する予定ですので是非お越しあれ!
6日、先日の来日ツァーでは斬新な楽器編成とツワモノのソリスト陣を配し多くの話題を提供したLa Petite Bande、各方面の反応を伺っているとやはり話題のトップは「穴無しナチュラルトランペット」の演奏か。「噂通り凄かった」「凄いのは判るけどミズも多かった」「あれじゃ普通の方が良いと思った」など皆さんの評価はバラバラだった様子。実はこの名手も公演によって少しづつコンディションが違っていたようで、初日名古屋はメンバーによると「ほぼ完璧」(この日だけ私は不参加なので未聴)、その後少し不安定な演奏が続き(「疲れているのでは?」との事、それでも凄い演奏でしたが・・・)、最後にまた調子を取り戻した様子。(その公演は正月にTVで見れますぞ) 少し前までは穴有りナチュラルトランペットでも本番中に大崩れしてしまう演奏が多かっただけに(それがイヤでシギス親方はブランデンの2回目の録音はホルンで代用してましたね)、この穴無し楽器をマウスピースだけで自在に操る稀代の名手の登場はやはり古楽界にとって大きな衝撃では?
5日、まもなくスタートする東日本大震災復興支援コンサートwith明日館、専用HPとは別にWeb上でチラシも見て頂けるようになりました!
「フォルテピアノを聴く!見る!触る!」 3台のフォルテピアノを使った連続3回シリーズ チラシはこちら
「日本最初の古楽ブームを検証する」 ~SPレコードと蓄音器で味わう昭和初期の古楽演奏~ 蓄音器コンサートシリーズ チラシはこちら
1921年(大正10年)世界的な建築家F・L・ライト氏により建てられた自由学園の校舎「明日館」は関東大震災や戦争時の空襲からも被害を免れた筑90年という貴重な歴史的建造物です。今回のコンサートシリーズはいつもの講堂ではなく創設当初女学校の校舎だった本館で開催いたします。フォルテピアノや蓄音器がどんな音色で聴こえるか乞うご期待!
3日、シギス親方率いる一座がナニワの老舗ホールで千秋楽。 24年前の親方兄弟の初来日のナニワ公演がこのホールでしたね(2人共憶えてなかったようですが・・・、当時ついに古楽の神様が来た!と周辺は大騒ぎでした) 今回改めてこの古楽最古参のグループと御一緒して、その一見ルーズなようで実は大きなうねりがあり艶っぽく品のある演奏に惚れ直した次第。ヴァイオリンとスパラを掛け持ちで大活躍の親方の演奏も絶好調だったのも嬉しい限り。
今日の演奏は某TV局が正月特番のため録画しておりましたので正月(3日早朝とか)にゆっくりお屠蘇を呑みながらTVで拝見出来るそうな。贅沢にも10台近いカメラを使った豪華な映像を是非ご覧あれ。穴無しナチュラルTpの超絶技巧の演奏や珍しいスパラ3台揃い踏み、椅子に乗せて演奏するバスドヴィオロン、もちろん今回の目玉、バンジャマン君のブラ5のチェンバロソロも存分にアップで見れますぞ!お楽しみに。
2日、シギス親方率いる「ちっちゃい楽団」東京最終公演。今日の会場は中々音響が素晴らしい!とメンバーが本番最初から御機嫌で演奏する中、前半最後のトリプルコンチェルト(今日だけのプログラムでした)でハプニング発生、何と親方のヴァイオリンがまさかの断弦。演奏が途中でストップし「何事!」と皆心配するも親方は慌てず騒がず(?)楽屋に引き上げ(メンバーはその間舞台上でフリーズしたまま・・・)新しい弦に張り替えて悠々と舞台に再登場。ガット弦をすぐに張り替えても使い物にならないはずと心配するもそこは歴戦のツワモノ、こんな時のためにちゃんと備えていたそうな。(しかしどうなる事やらとハラハラして親方を待ちましたが) ハプニングでテンションが上がったので後半ブラ5&3は上々の出来だったのでは。今日だけというOb奏者(見た事ある方でしたね)もブラ2で好演。いよいよ明日の大阪公演で千秋楽。西の皆さんお聴き逃し無く!
クラヴィコード愛好家及び製作家の皆さん。この写真は古楽復興の開祖というべきアーノルド・ドルメッチ氏(1858-1940)の1933年クラヴィコードでのバッハの初録音の風景との事です。誰かこの写真からこのクラヴィコードのモデルなどを推測出来る方はいませんか? このクラヴィコードによる画期的な演奏は7月14日の蓄音器コンサートで実際に聴いて頂けます。クラヴィコード愛好家垂涎の演奏をお聴き逃しなく!
1日、昨日発表した池袋明日館での東日本大震災復興支援コンサート、まずは3台の楽器が連続して登場するフォルテピアノコンサートの企画からスタートしますが、並行して昭和初期の我が国最初の古楽ブームを当時のレコードと資料で検証する「SPレコードと蓄音器で味わう昭和初期の古楽演奏」というレコードコンサートも開催することになりました。1921年建築の素晴らしい音響の洋館で、1930年の高級蓄音器(英国EMG社MarkⅨ)を使って1930年頃のSPレコードを聴いていただくという何とも贅沢なコンサートとなります。古楽ブームの源流を是非当時の音で味わってみてください!
第1回 2011年7月14日(木)19時開始
自由学園明日館 Room1925
蓄音器コンサート
〜ドルメッチのクラヴィコード演奏を特集〜
★今から約80年前、昭和8年(1933年)に古楽器復興の開祖A・ドルメッチがクラヴィコードによるバッハの半音階的幻想曲と平均律の演奏のレコード7枚組が日本でも発売され洋楽愛好家の間で大きな話題となりました。(音楽雑誌などでは特集が組まれレコード会社も宣伝に熱心だった様子) バッハの平均律の録音ではEフィッシャーのピアノ演奏が有名ですがその1年前にもう日本で古楽器による平均律が聴けたという事は余り知られていないでしょう。昭和8年にランドフスカのチェンバロと共にドルメッチのクラヴィコード演奏が日本で相当人気だったという事を実際にレコードを聴きながら検証いたします。雑誌などの資料も多数展示予定。レコードだけでなくクラヴィコードの生演奏も聴いて頂く予定。
特別ゲスト) クラヴィコード生演奏 筒井一貴氏
第2回 2011年8月2日(火)19時開始
自由学園明日館 Room1925
蓄音器コンサート
〜知られざるチェンバリストたち〜
★ 昭和初期のチェンバロの大スターと言えばランドフスカ女史、しかしその頃実は沢山のチェンバロ奏者が日本に紹介されていたようです。当時どんなチェンバロ奏者が人気だったかをレコードと多彩な資料で検証していきたいと思います。
出演: 梅岡 俊彦(音盤解説)
料金: 2000円 (収益は震災復興へ寄付させていただきます)
主催:目白古楽ネットワーク (梅岡)
共催:自由学園明日館
申し込み) Email umeoka-gakki@nifty.com
蓄音器コンサート HPはこちらをご覧ください。
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