日本古楽界の源流を探る(20)
1日、昭和初期の日本での古楽ブームを検証するシリーズ、今日はレコード音楽雑誌「Disques」昭和10年(1935年)11月号を紹介。巻頭特集は「ラヴェル」。この年まだラヴェルは生存中で同時代の「現代音楽作曲家」として扱われていた様子。
次にランドフスカ夫人によるスカルラツティのソナータ集の紹介。初めて見るランドフスカ女史の写真に写る楽器が一瞬ヒストリカルに見えたものの(もしかして昨日申したクープラン用に作られた楽器では?と興奮したのですが)詳しく検証するとこれはいつもの彼女のモダンチェンバロでした。(残念) 紹介文では今までこの作曲家の作品を聴く機会が無かったものの、ランドフスカ女史が「ゴールドベルグ変奏曲」「クウプランのクラヴサン曲集」に次いで世に送り出した録音と言う事で大注目盤という扱いの様子。次の特集もバロック物で、高木東六氏による「バッハのピアノ平均率」の解説。「バッハが後世に残した最大なる貢献を挙げよと問はれたなら、わたしは速座に「平均率洋琴曲」であると答へるに躊躇しない~」との熱い紹介から始まる解説ながら、「この曲は元々クラヴィコードのために作曲されたもので~」と云う部分は素晴らしいものの、「二段の鍵盤を有するクラヴィコード~」という文章が出てくる処を見るとどうもクラヴィア(チェンバロ)とクラヴィコードを混同しておられる様子。(まあ日本では誰も本当の楽器を見た事が無いので無理は無いのですが・・・)
巻末の消息欄(情報コーナーか?)を見ると「新響十一月公演はバッハ祭」との予告が。曲目は「組曲第三番」「ニ短調ピアノ協奏曲」「カンタータ五一番」「提琴協奏曲第二ホ長調」「ブランデンブルグ協奏曲第五番」と中々盛り沢山のプログラム。やはり生誕二五〇年でバッハブームは盛り上がっていたのでは。
« 日本古楽界の源流を探る(19) | トップページ | オーディオと古楽 »
「チェンバロ」カテゴリの記事
- ニュルンベルグ ゲルマン国立博物館(2024.12.03)
- 大トラブル!(2024.12.03)
- 老舗劇場公演(2024.12.01)
- パリ楽器博物館訪問(2024.11.30)
- パリ博物館骨董屋巡り(2024.11.30)
コメント