日本古楽界の源流を探る(15)
4日、昭和初期の日本での古楽ブームを検証するシリーズ、今日は昭和初期にレコード情報雑誌として「Disques」誌と共に日本音楽界に大きな影響を与えた「レコード音楽」誌昭和8年(1933年)1月号を紹介。今まで紹介してきたライバル「Disques」誌とほぼ同じスタイルながらページ数も多く内容充実の月刊誌。
巻頭記事はこの時代の音楽評論の第一人者あらえびす氏によるシューマンの紹介。あらえびす氏はこの時期はDisques誌よりもこちらに執筆が多かった様子。海外レコード新譜紹介を見るとライバル誌よりもバロック作品に対しては少々醒めた論調で、ランドフスカの英吉利組曲と幻想曲の盤の評でもあまり持ち上げていないのが興味深い。(「ランドフスカはこの古楽器に魂を吹込むことに於ては當代第一人者で、下手なピアノよりは余程面白い」という評価はしているが2誌の古楽への入れ込みの差は歴然か) 他にもコルトー指揮のブランデン3番でも「指揮者としては大した人ではないように思ふ」とバッサリ、全体的に結構辛口の論調。日本盤紹介ではライバル「Disques」誌のクラシック&ポピュラーのみと違い流行歌から落語(有名な「金語楼の兵隊」もこの年でした)まで広範囲なジャンルを評論付きで紹介。また海外旅行記など様々なエッセイも掲載。情報満載で中々読み応えのある月刊誌でした。
この号で最も興味深い記事は「バッハ四十八協會第1回レコード」の紹介。ドルメッチの録音風景(?)の写真は初めて見る貴重なモノ。(楽器は4オクターブの小型クラヴィコードに見えるのですが) 「概にレコードされたものは少なくはない。然し原曲の通りクラヴィコードで吹込演奏されたのは今回が初めてである」とここでは当時起こりつつあるクラヴィコードブームを感じさせる熱い紹介から始まり6ページもの詳しい解説あり。日本でのクラヴィコード元年はこの昭和8年あたりでは?
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