2010春 欧州楽器探訪レポート その3 「バッハチェンバロ」
21日、2010春 欧州楽器探訪レポート・その3は「バッハチェンバロ」。ちょうどベルリンの楽器博物館で「バッハチェンバロ」をメインとした企画展を準備中で特別に開催前にその展示楽器を拝見。チューリンゲンの製作家・ハラスの作と思われるバッハ所有のチェンバロとして有名なこの無骨な楽器。
現在は残念ながら弦は外され演奏不可能な状態、しかも何度も改造されたようで外装も最初の面影は全く無く一見無残な状態か。それでも16fの弦が張られていた形跡あり。(一時期はこれも後世の改造だと言われてましたが果たしてどうなのか) 博物館はどうも最初から16fがあったと推測しているようですが。
この楽器が近代チェンバロ復興運動でいかに影響を与えたかを検証するのが今回の企画の趣旨の様子。モダンチェンバロといわれる20世紀前半のチェンバロは皆16fを装着しているのもこの楽器の影響が大きかったのでは。(チェンバロ復興運動の最初は16f無しの18世紀モデルの復元もあった様子ですが)
何よりも驚いたのがヒルトリカルチェンバロ復興の元祖スコブロネック氏の記念すべき第1号のチェンバロ(1953/4年作)がこのバッハチェンバロのコピーだった!中央の御馴染み手裏剣マークを見ればその手本が判るというもの。1号機にもちゃんと16fが付いておりました。
初期(ランドフスカ以前)のモダンチェンバロはまだ脚ペダルや鉄骨が無く比較的バッハチェンバロの面影を残しているのも興味深い。
展示されていた16fチェンバロの中でこれには笑いました。「カラヤンチェンバロ」 20世紀のカリスマ指揮者愛用のチェンバロはナンとアンプスピーカー内臓、各レジスター専用のボリュームつまみが装着のハイテク楽器でした。これもカラヤンサーカス?
16fチェンバロが多くの方に知れ渡ったのは何と言ってもこのプレイエルのランドフスカモデル。沢山の脚ペダル、鉄骨で補強された強靭なボディーなどはヒストリカルからは程遠い存在と思っていたものの、その源流がバッハチェンバロだったというのも今回の旅の大きな収穫。そのモダンチェンバロの歴史は明日特集の予定。
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