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28日、東京で雑用を済ませてから西へ移動。富士山相変わらず見応えあり!晴天の東名道を快調に走行。途中愛知県のPAで休憩中に先日のツァーの楽器運搬でご一緒だったF氏と偶然遭遇しビックリ。「オケ楽器の運搬で奈良へ向ってます」との事。お互い日本全国駆けずり回っている身、高速での移動ばかりでまるで路上生活者かも!
名古屋から先日開通の新名神を使用。結構暖かな日ながら鈴鹿越えの山中は結構雪が残っている様子。冬場はやっぱり名神と同程度に雪の心配があるかも?距離は相当節約になるようですが・・・。
夕方大阪で打ち合わせ&楽器の試奏。6年前にドイツからやってきたチェンバロと久々にご対面。冬場の乾燥で少しご機嫌が悪い様子ながら調子はまあまあ、この6年間で弦は1本しか切れていないと聞きそのタフさに脱帽。
27日、2日連続の明日館、今日はシーベ・ヘンストラ チェンバロリサイタル。 前半はミーントーン(Es/Gis)調律のイタリアンチェンバロでスウェーリンクから始まりブル・フレスコバルディ・ストラーチェなど17世紀プログラム。ミーントーンでいつも論議を呼ぶフレスコバルディの「百のパルティータ」、黒鍵の細工なしのノーマルなミーントーンで演奏するもほとんど違和感なし、演奏家の演奏次第で黒鍵の破綻はほとんど感じさせない様に出来る様子。ノリノリのストラーチェのチャコーナも圧巻でした。
後半最初はまだイタリアンチェンバロでフローベルガー、途中からバッハ/リーマン調律のジャーマンでリッターとバッハを演奏。注目のバッハ/リーマン調律、聴きなれた他の古典調律よりもまろやかな響きを醸し出すようで結構使い易そうな調律法か? 晴天ながら寒い日中から舞台は凄まじい乾燥!25%以下という厳しい環境でのチェンバロの聴き比べは結構調律師にとってツライ!(楽器が割れなかっただけでもめっけモンかも?)
コンサート終了後今日も近所の中華で打ち上げ。昨日の辛口の現代音楽ノリから一転、今日は和気藹々とした甘口の古楽ノリか? 久々に師匠と再会の弟子達も皆コンサートが無事終了したのでホッとした様子。
26日、今日は今年初めての池袋明日館でのコンサート。講堂横の工事も何とか4月には完成との事。大分外観は出来上がってきてました。
いつもの明日館講堂ではなく、銀杏の間で「大井浩明フォルテピアノリサイタル」。練習魔の演奏家の要望で珍しく昼過ぎから会場でリハ開始。天井も低く狭い空間ながら古い洋館の漆喰壁のお蔭か(実はこれが重要!)フォルテピアノが艶っぽく聴こえるのがありがたい!
明日館と平行して目白スタジオでは明日リサイタルのシーベ・ヘンストラ氏がチェンバロ2台を使ってのリハーサル。いつもどうやって弾くのか論争の種となるフレスコバルディの「百のパルティータ」、シーベ氏はノーマルなEs/Gisのミーントーンで弾いてましたね。例のミーントーンの破綻する箇所をどうやって処理するのかは聞いてのお楽しみ!明日19時からの明日館講堂でのシーベ・ヘンストラ チェンバロリサイタル お聴き逃しなく!
大井氏の今回のリサイタル、急に決まったので面倒だとばかりに「チラシ無し」「前売チケット無し」「メールでのご案内のみ」と大胆な宣伝方法を採用。今日会場で初めて気が付いてみると「会場掲示板に貼るチラシが無い!」 仕方が無いので印刷ミスのチケット原紙をチラシ代わりに貼り付け。何とも妙な案内掲示でした。
大井氏のモーツァルトプログラムのリサイタル。「宣伝もロクにしてないのであんまり来ないよ」との予想で準備していると、何故か大勢のお客様の来場でビックリ。遅れ客は会場に入れず外で聴く羽目に。それでも洋館の音響の良さのお蔭で姿は見えずとも迫力あるフォルテピアノの音色を聴けた様子。珍しく暗譜の大井氏、モーツァルトの後期ソナタを約2時間タップリと披露。途中でフォルテピアノのための委嘱作(安野太郎氏作曲)の世界初演もあり。
大井氏のコンサート、モーツァルトファンと現代音楽マニアが入り混じった不思議な客層か。終演後現代音楽専門家(作曲家多数)を引き連れて近所の中華レストランで打ち上げ。大井氏の場合、リサイタルよりも打ち上げの方が面白いとの噂あるほど(失礼!)毒舌混じりの怪気炎が炸裂。お得意の特殊分野声帯模写も飛び出し楽しい一時に。(高橋ユージ氏は誰でも判るのですが古楽評論家の安田和信氏の物真似なんて誰が判るの?) 現代音楽の方々とモーツァルトについて語るのも不思議な雰囲気、曲や演奏に対する厳しいツッコミも「仲良し倶楽部」的な古楽界とは大違いで面白い!打ち上げが終わる頃豪雨になっておりびしょ濡れで帰宅。楽器積込みで濡れなくて良かった!またしても晴れ男の面目躍如か。 P・S・ さる情報では大井氏お得意の特殊業界声帯模写のご本人がコンサートに来ていたとの事(本当?) お二人の会話是非聞きたかったなあ(その時お得意の声帯模写で話せるのかな?)
25日、久々に東京に戻りスタジオで出番間近のフォルテピアノのご機嫌伺い。厳しい乾燥の時期ながら幸い調律もほとんど崩れず元気な様子で一安心。(毎日リハーサルで酷使されていたんですがね) 昼からいよいよ明日に迫った大井浩明フォルテピアノリサイタル(池袋明日館・銀杏の間・19時開演)のリハーサル。大井氏依頼の「フォルテピアノのための委嘱作」の打ち合わせで作曲家お二人がスタジオ来訪。現代物ピアニストから古楽器へ参入という異色の経歴の大井氏、リサイタル毎に古楽器のための新曲を作曲家に委嘱しているとの事。明日は安野太郎氏の新作を披露の予定。フォルテピアノを初めて見たという作曲家がイメージした音の世界とモーツァルトとの聴き比べが楽しみか。フォルテピアノで演奏するモーツァルトも難しいが、複雑なフレーズが多い現代曲の初演も苦労多い様子。
24日、早朝ホテルを出ると周辺は雪で真っ白!深夜に相当降った様子。ホールへ向う前に半田でお気に入りの赤レンガの「カブトビール工場跡」を訪問。いつかはコンサートをやってみたい歴史的建物なのですが・・・。雪が残る中長久手のホールへ。雪の渋滞を覚悟するも車はかえって少なく予想より早く会場到着。夜中に冷え切った楽器を暖めるためリハ5時間前に搬入することが出来て助かった!
今回のオランダバッハ協会の「ヨハネ受難曲」公演、開演前に指揮者とオルガニストが丁寧に曲目解説するというお客様にとっては嬉しいサービスあり。ただこのお蔭で調律時間が大幅に削られこちらは大苦戦の模様。
来日直後から4日連続で大曲の公演というハードなスケジュールのはずがさすが歴戦のツワモノのメンバー達。今日も元気に会場入り。短時間で要所を手早く確認しながらサウンドチェック。もう練習は不要という様子で本番でも安定感ある演奏を披露。人数が少ない分各人の演奏の負担が大きいと思うのですが皆タフだなあ。
リハのひとコマ。チェンバロがシーベ氏ではない!客席でサウンドチェックに行ったシーベ氏の代わりにオーボエ奏者がすかさず通奏低音のフォローに。これが結構弾けてました!
終演後、ヨハネ公演のチェンバロ・オルガンと関西で使っていたチェンバロの計3台を車に積み込み(満載で後ろが見えない!)、急いで東京へ。関西は雪の様子ながら東は幸い雪は無し、深夜無事東京に帰還。
23日、朝から神戸市室内合奏団のリハーサルでチェンバロを提供。86歳になられたばかりの音楽監督G・ボッセ氏相変わらずエネルギッシュな指揮でお元気の様子。フルトヴェングラーなどの巨匠が活躍していた黄金期のドイツ音楽界を知る方と現在ご一緒出来るとはもうありがたいの一言。
リハ終了後、翌日の仕事のため名古屋へ移動。雨から雪に変わる寒い日中、名神高速を東へ移動。琵琶湖の畔で休憩すると比叡山に雪雲が!雲の下のあたりにチェンバロ製作家H氏の工房がありましたね。
今日から滋賀県の草津と三重県の亀山を結ぶ「新名神高速」が開通との事で早速利用する事に。今までの名神のようには琵琶湖沿いに北上し米原からまた南下するような大回りではなく、信楽などを通り鈴鹿山脈を真っ直ぐ縦貫するので名古屋までは約50kmも距離の節約になる模様。
15時開通との事で近くのパーキングで時間まで待機、15時直後に勇んで開通直後の新名神へ向うも何と「開通マニア」が大量に押し寄せたのか分岐から大渋滞でビックリ!真新しい道路を気持ち良く疾走するという夢は叶わず・・・。思いの他曲がりの少ない走りやすそうな路線ながらやはり鈴鹿の山中を通過するので雪には弱そうな感じ。
開通直後の反対車線はまだ車の影は全く無し。しばらくすると先導のパトカーがゆっくりと走行。下り車線は車も少なくゆったりと走れそうな様子。上り車線は相変わらずの大渋滞のまま亀山へ。距離は短くなったものの今日は思いの他時間が掛かってしまう。一体関西と名古屋の間はどの位早くなったのか興味深々! 夕方知多半島のチェンバロ製作家K氏の工房訪問。明日コンサートをお願いするチェンバロを引き渡し。名古屋も雪がちらつく厳しい寒さか。
22日、昼に兵庫県芸術文化センターへ、楽器搬入前に近所の饂飩屋で名物のカレーうどんの昼食。「大盛」と注文すると「ウチの大盛は多いですよ・・・」と親切な警告あり。「大丈夫です」と言うも少々不安が・・・。案の定大盛カレーうどんは「カレーの海の中に大量の麺が隠れている状態」(笑) 関西のサービスは中途半端が無くて「これで参ったか?」という豪快さが凄い!
今日はオランダバッハ協会のJ・S・バッハ「ヨハネ受難曲1724年初演バージョン」。大所帯のオケを見慣れた目からはあまりにもシンプルな編成か。歌手は9人、器楽はヴァイオリン(Vダモーレも)2人、ヴィオラ、チェロ、コンバス、ガンバ、オーボエ2人(管楽器はこの2人のみ)、テオルボ、オルガン、チェンバロ、そして指揮者という最小編成でのヨハネ演奏。
コンパクトな編成ながらオルガン、コンバス、チェロを台上に上げたり合唱を前後に振り分けたりと盛り沢山の工夫でバランス良い配列。来日前にオランダでツァーをしていたというだけあってアンサンブルは充分仕上がっている様子。お蔭で来日初日の公演,19時開演なのにリハは17時から少しだけしかやらないという余裕の練習振り。長丁場の曲ながら要所のチェックのみでサクサクとサウンドチェックが進行。場数を踏んでいる百戦錬磨のグループといった様子で頼もしい限り。
それでも2台のチェンバロ・オルガンの調律はたった25分を頂けたのみ。プレトークや弦楽器の調弦などで予想通り鍵盤楽器2台の調律は「余ったらやってもいいよ」というハードさ。 コンサートは小編成で作り上げる濃密なアンサンブルの世界を堪能!今まで良く聴いて来た「分厚い」ヨハネと違って原色ながらカラフルでニュアンスに富んだバッハの世界を体験出来て大満足。このオケ、明日は厚木での公演とか・・・。その後名古屋、最後はまた東京と東西を休み無く走り回るハードな旅芸人状態とか。タフな連中でしたね。
21日、昨日久々に雪の心配無しとの事で中央道で神戸へ。途中の諏訪湖は見事に湖面が凍結(今年も無事御神渡りもあったようですね)。
神戸へ移動の前に某「オランダ」の「バッハ」演奏団体の関西公演のためにオルガン・チェンバロを指定の調律に変更準備。そういえばオルガンは先日のバッハ調律講座のためにミーントーン、バッハ・リーマン調律、ヴェルクマイスターと3種類の調律を仕込んだまま、幸いピッチは変更無しでOKとの事でオランダ勢のリクエストの調律(3つの1/6PC,6つの1/12PC、3つの純正)と3種類の代表的な古典調律との違いをじっくり検証しながら調律。驚いた事にバッハ・リーマン調律と今回のオランダ勢のリクエストの調律は各音ともピッチの変更は少なく全体の傾向も驚くほど似ている。 どちらも1/12PCや1/6PCと純正の配列による味付けの違い程度、実際のコンサートでは黙っていれば違いはそれほど判らないのでは? さすがにミーントーンやヴェルクマイスターとは違いは歴然。 どうやら最近のオランダ勢(ヨーロッパ全体?)は、アンサンブル(もしくはバッハの演奏だったからか?)では純正5度をあまり重視せず、全体になだらかな調律法を好む傾向になっている様子。そういえば先日のベルギーのフルートのマエストロのコンサートでも、最初はヴァロッティの指定ながら途中で曲に合わせてもっとなだらかな響きに修正をしてましたね。
相変わらずどんな曲でもヴァロッティ調律にすれば安心と思っているのはもしかして極東の島国だけなのかも?
21日は大阪へ。まずは久々に老舗楽譜屋Sを訪問。昔に比べると音楽書の数が減少気味か? 東京では入手困難と言われていたケレタートの調律本(上下)が新品で2セットも店頭に並んでいてビックリ。(長年店頭で眠っていたのかも?) 午後はフランス製のグランドピアノの調律。日本製の工業生産品的なピアノに比べると音色やタッチ、メカニックがすべて人間臭く個性的。調律のピン味が何故かクラヴサンのようにグニャグニャなのもフランス風なのかも? (日本製の方が調律はずっと楽ですがね)
20日、まもなく始まるコンサートツァーで指定された調律法をチェックすると日本で主流の1/6PC 系の古典調律では無い様子。なるほど、ヨーロッパでももっと平均律に近い調律法が勢力を伸ばしているのかも。左の五度圏は今度2月27日の明日館でのシーベ・ヘンストラ チェンバロリサイタルで使うバッハ・リーマン調律のデータ、興味のある方は一度お試しあれ。バッハが使ったかどうかは別として結構どの曲にも使える優れた調律法か。以前モダン楽器の某ヨーロッパの室内オケのツァーでこのバッハ・リーマン調律を使いましたが(もちろんチェンバロ奏者の強いリクエスト)誰も最後まで気が付かなかった(違和感が無かった?)様子。今度のヘンストラ氏の演奏で是非最近話題のバッハの響きをご体験あれ!
朝から昨日に続きスタジオの楽器の調整・調律。一旦乾燥でダメージを受けるとすぐには戻らない様子。チェンバロはご機嫌直ったようだがフォルテピアノはまだ少し不機嫌か? ストラスブール在住の大井浩明氏がフォルテピアノのリハーサルでスタジオ来訪。今年は日本では2月の東京でのモーツァルトリサイタル(2月26日明日館)、5月の京都でのベートーヴェンシリーズ全13回とフォルテピアノでの活動が目立つ様子。まずは2月のモーツァルト中々聴き応えあるようですゾ!
午後から工具や部品を調達に池袋へ。電気屋やハンズを巡るも中々目指す工具は見つけられず(オルガン用の特殊工具だったのですが)。 ついでに古本&中古レコードの販売会を冷やかし。古いレコードの販売コーナーで高名な医師でもありオルガニストでもあったシュバイツァーのバッハ演奏のSPレコードを発見。故郷ストラスブールの歴史的オルガンの再評価という偉業に敬意を表して7枚組を購入。(重いです!) 夜は西武線沿線楽器技術者組合(そんなのあるのか?)のお仲間「ふいご屋」氏と久々に寄り合い。お互いが参加した西南北のオルフェオの報告からBlogでは言えない怖い業界話まで存分に情報交換。先日のヨーロッパオルガン巡りのお話は羨ましい限り。
18日、朝からスタジオでコンサートから戻った楽器の調整・調律。厳しい乾燥で悲鳴を上げていた楽器はすぐにはご機嫌は戻らない様子。しばらくスタジオの快適な環境に慣らしてから調律するもチェンバロの中には「プッツン」と断弦で不機嫌を表明の楽器もあり、調律も音色も中々ご機嫌を直すのが大変! 昼は以前から気になっていた地元で評判のトンカツ屋へ。駅から遠いヘンピな路地裏のお店ながら(通りがかりで発見するのは無理!)開店と同時に行列が出来るようで、11時半到着で着席に30分待ちの大人気。大将が手際良く揚げるトンカツはボリューム満点(何と定食が600円!)、揚げたてを食べていただけるように細心の注意を払うお店の姿勢が素晴らしい!コリャ不便な場所で大行列出来るもんだと改めて納得。午後からスタジオでリサイタル直前の演奏家の練習。海外在住の方なので色々な情報交換で練習時間を削ってしまい申し訳無い!(それほどお話が面白いのですが・・・)
17日、3月とまだ先の公演で使う楽器の会場下見。新宿周辺は何やら物々しい警備と思えば今日は東京マラソン。去年はちょうど都心でのコンサートと重なり苦労した思い出あり(周辺の大迷惑考えずの強行開催に都民の怒りを代弁した冷雨が降ってましたね)、今年はギリギリ警備区域の外を通過で被害無し(天気は絶好のマラソン日和か)。
下見が必要だったのは代々木の某ホール。7階舞台まで搬入EVが無くいつもお客様用で楽器搬入。225cmの小型チェンバロは以前ギリギリでEVにそのまま入った経験あるも今回のフォルテピアノは230cmと少しノッポ。長いチェンバロは斜めにして何とか入るものの、フォルテピアノは重い上にチェンバロのように立てるのは苦手の形状。もしEVに入らなければ7階までクレーン吊り上げか(フルコンの現代ピアノはいつも吊っているそうですが)、EV内で斜めにする専用台車を製作するしか方法が無いかも? もうこれは現物を持って来て試すしか仕方が無いとホールにお願いしてフォルテピアノを実際EV内に入れてみると・・・
もう1cmの隙間も無いキワドイ状態で何とか楽器はEVに無事入った!これは絶対現物でやってみないと判らなかったかも?7階吊り上げショーを開催せずに済んだと一安心。
冷や汗物の下見から帰還のフォルテピアノを試奏のため作曲家安野太郎氏がスタジオ来訪。今度2月26日開催の池袋明日館大井浩明フォルテピアノリサイタルで演奏予定の「フォルテピアノ独奏のための委嘱新作」を作曲中との事。モーツァルトの後期ソナタばかりのプログラムの中で21世紀のフォルテピアノ作品はどのように響くのか興味深々!
16日、今日は早朝から2班に分かれて出動。まずは鎌倉へフォルテピアノを搬入。会場ではスタインウェイのフルコンを調律中。現代の巨大ピアノとフォルテピアノとの音量差を改めて実感。現代ピアノの後にフォルテピアノを聴くとお客様は物足りないかも・・・。本番はフォルテピアノが先で良かった!今日はピアノ調律師の方と仲良く調律時間を分け合い丁寧に準備するも、冬の晴天時の異常乾燥で楽器は悲鳴を揚げる寸前。
昼のコンサートは佐藤俊介(Vn)リサイタル。共演は菊池洋子。前半のモーツァルトとベートーヴェンでフォルテピアノ、後半のラヴェルとフランクでスタインウェイを使用、ピッチが違うので2台のヴァイオリンを弾き分けとの事。ヨーロッパではオリジナルのフォルテピアノでの共演も経験済みとの2人のコンビネーションは抜群!佐藤氏は日本でバロックスタイルの演奏初挑戦との事ながら今後が楽しみなデュオの誕生か。
終了後日本橋のコンサートへ急いで移動。こちらは合唱団の合同コンサート。チェンバロも入ったアンサンブルと2つの合唱団が共演。初めて体験のホールは何故か暖房が入ると湿度が上昇の様子、チェンバロにはありがたい!。合唱の伴奏ピアノとしてこちらのコンサートはベーゼンドルファーのインペリアルが登場。計らずも1日でスタインウェイとベーゼンドルファーの2大銘器と共演出来た次第。
15日、夜明け前に神戸出発、きれいな朝焼けを見ながら大阪の南河内方面へ向う。葡萄畑が広がるノドカな山間は聖徳太子ゆかりの地で有名ながら天皇陵があちこち点在しているのはさすが長い歴史を誇る土地柄か。
このノドカな郊外にある某芸大に早朝からチェンバロ調律。学生オペラの発表会ということで歌手・器楽陣・裏方皆さん気合が入っている様子。昨日の某音大はベテランスタッフにしっかり統率されている優等生多し(スムーズだが言われるままかも)、今日の某芸大はすべて学生の自主運営で手探り状態の進行ながらこれが実戦的な教育なのかも・・・。教育スタイルの違いを垣間見れる面白い対比でした。
今日はチェンバロの調律時間は充分確保していただき多少楽かも。(何しろゲネではたった10分しか調律時間いただけなかったもんで) 本番終了後河内から名阪国道を通って東京へ移動。奈良の山中は今日も雪模様。今年はまだまだ厳しい寒さが続くのかも?
14日、今日は大阪の某音大の学生オペラのチェンバロ調律。先日と違って静かなホールでタップリと時間を掛けて調律。何しろ前に使ったのはいつだったか舞台スタッフも忘れていた程!どうも楽器は秋から冬眠していた様子。
オケピットが低いためチェンバロは舞台端の台の上に設置。何しろ台が高く狭いので少々怖い!
夜は神戸元町の一番お気に入りの中華料理屋へ。久々に地元の味を堪能するためにお任せコースを注文。まずは盛り沢山の前菜。
ここまでで実は8皿登場。もうお腹はほぼ満タンながらあっさりコクのある中華ソバは食べやすくついに完食!東の中華なら濃い味なのでこれほどの量を食べるともうギブアップでしょうね。神戸のあっさり上品な味は幾らでも入ります。やはり長年馴染んだ神戸の中華の味覚は素晴らしい!
このお店、観光客で賑わう南京町ではなく、少し離れた路地裏にあり、店の真ん前は何故か昔は逆さクラゲとも呼ばれた特殊施設(笑)。食事中に窓が開き部屋の入替作業が丸見えというのも他に無いサーヴィスか? 本日はさながら西洋甘菓子贈呈儀式で盛況なのかも・・・。
12日、今日は早朝からピンチヒッターで大阪の某芸大でチェンバロの調律。朝すぐに調律してくださいと言われてもチェンバロはまだまだ冷え切っていて調律出来る状態では無いのですが・・・。学校所有のドイツ製チェンバロの豪華なジャーマン装飾が素晴らしい!ジャーマン特有の手裏剣マークの装飾も立派!
昼の再調律まで待機との事で広い校内を散策していると「日本の蓄音機とレコード展」というマニアには嬉しい展示会を発見。早速拝見すると戦前の貴重な蓄音機やSP音盤を多数展示。そういえばこの芸大は世界有数の蓄音機コレクションをお持ちでしたね。戦前の国産のテープ録音再生機などの稀少な機器など興味深いモノ多数あり。
会場内では多数のSP音盤をリクエスト出来るコーナーあり。早速若かりし淡谷のり子が歌うスペイン歌曲を拝聴。上野出身の正統派の歌唱(意外でしょ!)は中々聴き応えあり。多分入場者がほとんど居ない(失礼!)展示会でいきなり乱入、淡谷のり子を聞かせろとか、あきれたぼういず(戦前活躍のコミックグループ)の音盤を見せろとか騒ぎましてゴメンナサイ!(お蔭で良い時間つぶしになりました)
午後からのゲネプロのため再調律の予定ながら練習が長引きチェンバロ調律で頂けた時間はたった10分!、それもすぐ隣でハープの調律、学生オケの準備、管楽器組の音出し、歌手の声出し、その他大勢の学生の賑やかな会話などとの共演だ! おまけに暖房のお蔭で大幅なピッチ上げというオマケまでアリ!「弦よ切れないで!」「学生諸君!お願いだから静かにして!」と念じながら騒音の中何とか調律終了。今日は学生による「コシ・ファン・トゥッテ」。昨日の奥深いバッハ音律の世界から一転、即興的不均等平均律や自己中心的絶対音感などが登場した様子。学生達のモーツァルトは中々ショッパイ味かも。頑張れ若葉マーク諸君!(中には将来期待の才能もいましたよ!)
11日,池袋「SPACE・1F」でのオルガン研究会例会に楽器提供で参加。演奏・解説は桒形亜樹子さん。古典調律体験シリーズとして今日のお題は「20・21世紀のバッハ調律」。様々な時代のバッハ調律を聴き比べと言う事でポジティフオルガンに「バッハ/リーマン調律(2004/5)」「1/4ミーントーン」「ヴェルクマイスターⅢ(1691)」、チェンバロに「バッハ/ケルナー(1975)」「平均律」と欲張って5種類も調律。まず前半は「バッハの曲はミーントーンで結構弾けるんです」という意外な説を桒形さんが実際の演奏で実証。確かにバッハの周辺にはまだミーントーンオルガンが多数あったはず。バッハ自身もミーントーンとの接点が多かったのではと演奏を聴いて納得。
後半、まずはバッハ調律の20世紀代表としてケルナー調律を解説。王冠の紋章に調律法が隠されているという説には当初ビックリでしたが、1/5PCというヴェルクマイスターⅢ(1/4PC)と、ヴァロッティやヤング(1/6PC)の中間という収まりの良さで一時期は話題だったのですが今や殆ど使われなくなったのでは?桒形さんは結構好きで今でも使っていますとの事。
最後に今だに海外のネット上で真偽の激論が続く21世紀代表のリーマン調律が登場。バッハが平均律第1巻の自筆譜に自ら書き込んだ不思議なグルグル文様から解読されたという話題の新説は、バッハ関連とは関係なく意外に融通の利く優れものの調律法か。私も何度もコンサートで使いましたがモダン楽器相手でも結構違和感が無い!(その時の奏者はリチャード・エガー氏) 謎のグルグル文様はバッハが同時代の別の作曲家の楽譜の表紙に描かれた文様に影響されたのでは?という新説の登場に少々興奮! F・Suppig が1722年に出版の楽譜にある文様と比較すると確かに影響があったのでは?と確信出来るほど似てました。(どちらが先かがまだ確定していないようですが) 「影響を受けたバッハが表紙の余白に後からグルグル文様を書き込んだようでしょ」との大胆な推測が面白い!
ミーントーンとバッハ/リーマン調律をコンサートで体験したい方は、2月27日池袋明日館でのシーベ・ヘンストラ チェンバロリサイタルをお聴き逃しなく!
10日、昨夜の大雪でさぞかし街中は真っ白では?と明け方恐る恐る外を確認するともう雪は殆ど無い!拍子抜けして文京のホールへ。今日は地元合唱団の「マタイ受難曲」。主催者に「雪収まって良かったですね」と申し上げると「イヤ、ウチは雪降って客足が減った方が良かったんですがね」「???」「実はチケット売りすぎて皆さん来ちゃうと席足りないんです。雪もっと降って欲しかった・・・」との贅沢なお話。(2000席の大ホールなのですがね) 昼本番との事で今日も9時にチェンバロ・オルガン搬入、10時音出しとタイトなスケジュール。またしても調律無しでリハ突入へ。幸い下準備が上手く行きピッチも読み通り2台が揃った様子。本番前調律しているとベテランOb奏者Sさんから「オルガンのピッチが本番で無茶苦茶な時が多いけど何故?」との厳しい質問あり。どうも長年の恨みが蓄積している様子。「オルガンはピッチの変化が激しいんですよ」「今日は安定してるよね」「私は変化を読んで調律してます」「いつもは吹けない程高くなるよ」「変化が読めない調律師がするとそうなります」「アッ、すぐに2~3人の顔を思い出したゾ」。一体誰の顔が浮かんだのか聞きたかったなあ・・・。長丁場のマタイ受難曲も無事終演。スタジオに戻り楽器を降ろす前に先日車のプチ改造で可能になったオルガン+チェンバロ2台の計3台の積込み実験。近々3台持って関西へという予定が2件もあり実験成功で一安心。後は雪が心配か?
9日午後から横浜リリスホールでCem奏者・水永牧子さんが参加する「アクア・トリニティ」のデビューコンサート。チェンバロ・ヴァイオリンとチェロの丁々発止の掛け合いが素晴らしい!バロック物も良し(3人でのヴィヴァルディ四季はアレンジに感心!ラモーのクラヴサンコンセールやラ・フォリアは迫力満点!) 、近現代物もチェンバロの音色が効果的(「ゴッドファーザー」「黒いオルフェ」など映画音楽の編曲物も面白かったがピアソラ作品が一番スリリング!)、今後の活動が楽しみなトリオの登場か。ご機嫌で楽器を積込み外に出ると横浜南部はミゾレ雨で少し白い程度。帰宅途中は雨、羽田空港では小雨、予報のわりに大した事がない雪だったと思いながら高速を走行中、ご近所のお仲間から「明日はどうしてますか?」との緊急連絡あり。「どうしました?」「雪タイヤの車が無くて困ってるんですけど・・・」「今雨でしょ、心配性だなあ、こちらの予備の車をそちらへ回しますよ」「ありがたい!」との会話あり。高速で都心に入ると何と横浜と違い相当の積雪でビックリ。私も明日の仕事大丈夫か?
9日、朝から明後日11日に開催の日本オルガン研究会2月例会の準備。今回は「バッハの音律再発見? 不等分と12平均のはざまで」というタイトルで、ポジティフオルガンとチェンバロ(フレンチ2段)を使って最近話題のバッハ調律を様々な代表的な調律法と解説付きで聴き比べという企画。演奏・解説は桒形亜樹子さん。2台の楽器でなるべく沢山の調律法を聴き比べ出来るようにと、チェンバロは下鍵盤と上鍵盤で違う調律(1/5PCと1/12PCがこんなに違うなんて!)、ポジティフオルガンはミーントーンとバッハ調律を違うストップに(もうカプラーは絶対使えない)。明日はオルガンは別のコンサートに出動の予定、今日桒形さんの練習の後に再調律です・・・。あまりに組合せが複雑で朝一番うっかりミーントーンのピッチを半音間違えて調律。オルガンで良かったものの、チェンバロなら楽器がゴネて弦がプッツンだったかも・・・。 バッハ調律とミーントーンの聴き比べが出来るコンサート、2月27日明日館でのシーベ・ヘンストラ チェンバロリサイタル もお聴き逃しなく! ヨーロッパで活躍中のチェンバロ奏者が奏でるバッハの響きに興味深々。彼は自己HPの冒頭にバッハ調律のコメントをアップしているほど入れ込んでますね。バッハの自筆譜から発見されたと話題のバッハ調律、レクチャーとコンサートの2連チャンです。乞うご期待!
8日。今日は「リリア」(こちらは川口だ)と間違えそうな名前の横浜栄区「リリス」ホールでリハーサル。横浜は小さなホールが多く前に来た事があるかは名前だけでは思い出せない事多し。今日のホールは初体験(多分・・・)。300席の中々音響の良いホール、室内楽には最適の様子。明日デビューコンサートという凄腕人気美女トリオ「アクア・トリニティ」、コンサート前日からホールで念入りのリハーサル。礒絵里子(Vn)、水谷川優子(Vc)、水永牧子(Cem)の3人のシャープな演奏でバロックから近現代モノまで幅広いジャンルを披露の予定。明日の本番が楽しみ。ホールからの帰りに近々予定の「瞬間移動の術」の練習を兼ねて移動予定コースを下見走行。当日首都高の渋滞が無いことを祈るばかり。スタジオに戻ると昨夜美味しく頂いた「干し蛸」の焼いた香りが今だに部屋に充満。磯の香り高き楽器になってしまった様子。
7日、早朝から鍼治療で八王子へ。予約で一杯の中、無理を言って早朝7時台に治療をお願いする事に。早朝の目白は雪で銀世界、八王子はさぞかし雪深かろうと覚悟するも、意外にも都心よりも雪が無く拍子抜け。治療の後新座に回りチェンバロ工房を訪問。不足していたチェンバロの部品を分けていただく。相変わらずお忙しいそうで何より。
午後より昨日に引き続きチェンバロの修理。しばらく弾かずに放置されていたという楽器も、2日掛けて丁寧にご機嫌を伺って調整していくと大分鳴りが戻って来たので一安心。夜にやっと作業終了。オーナーからお礼にと珍しいお土産をプレゼント。瀬戸内の某島名産で美味しいと評判の「干し蛸」、「炙ると酒の肴に最高ですよ」との事。ありがたし。
5日、今日は夕方から文京のホールでリハーサル。楽器搬入まで近所の神保町をウロウロ。以前から山口の銘酒「獺祭」の看板が気になっていた酒屋を訪問。東京では入手困難な「獺祭」を豊富に揃えている中々「出来る酒屋」。早速2本も購入。発泡にごり酒の一升瓶は初体験か。(シャンパンのように爆発する酒なので開ける際が非常に危険)
次に音楽書専門のK書店を冷やかすと、先日絶版で入手困難とKさんが嘆いていたケレタートの調律本上下二巻を発見。すぐに購入。やはりこの店は専門だけあって品揃えが素晴らしい!(値段も素晴らしい場合もありますが・・・) 戦前の山葉(今のヤマハですね)発行のミニ音楽全書を発見するも5000円と高額で購入を断念。当時の音楽事情が判る興味深い内容だったのですが・・・。
今日のリハはオルガンとチェンバロを提供して地元合唱団による「マタイ受難曲」。器楽陣はモダン楽器ながら御馴染みの古楽器系のメンバーを含む混成オケの様子。最初18時リハ開始と伺うも搬入時間は不明との事。直前に「搬入時間も18時でした」との連絡あり。確かに長丁場の曲なので少しでも長く練習したいとの気持ちは判るんですが寒い冬場に調律時間が無いのは厳しい!(まして楽器を暖める時間も無いし・・・) 結局またもやスタジオで変化を読んで調律、搬入後は調律無しでいきなりリハに突入。最初はまあ何とか寄り添っていたチェンバロとオルガンのピッチも、会場の暖房がきつく最後にはオルガンはウィーンフィル、チェンバロはN響と共演出来るピッチになっていた・・・。オケの皆さんは「しょうがないよね」と言っていただけたのですがね。調律師にとってはこんな条件は辛いなあ!
4日、まだ雪が残る寒い東京、明け方の冷え込みで道が凍結しまだまだ歩くだけでも危ない様子。(慌てて雪靴購入するも遅かったか?) 先日の素晴らしかったバルトルド・クイケン氏のリサイタル、4年前にも同じCemのエヴァルト君の伴奏で聴いたなあとブルージュ音楽祭の古い写真を引っ張り出してみました。エヴァルト君の地元ブルージュでのコンサートだったのでチェンバロは多分自分の楽器?この時はオールCPEバッハのプログラム。ベルギー人がイタリア製のフレンチモデルでドイツ音楽を演奏か・・・(ヤヤコシイぞ!) バルトの長年の僚友ロベール爺さんの大らかな演奏と違い、切れ味鋭いエヴァルト君の演奏にはビックリでした。(今回彼の演奏は結構落ち着いていましたね)
これは今度3月に来日予定のヒロ・クロサキ&リンダ・ニコルソン両氏のコンサート。お二人とも日本は久々ということで楽しみ。ヒロ&リンダは西宮での最終公演の後、大阪・豊中のノワ・アコルデで公開レッスン、その後親友のトラベルソ奏者中村忠氏と一緒に大分県でコンサートも予定との事。(この時リンダは何とチェンバロを弾く予定、いったいどんな演奏なのか楽しみ!)
これはP・ドンブレヒト指揮ⅡFONDAMENTOのコンサートでの4台のチェンバロ協奏曲の本番直前風景。この時のソリストは先日来日のE.Demeyere, 最近何度も来日のG.Penson, 長年ベルギーで活躍の三和睦子、そして今度2月27日池袋でリサイタルを予定のSiebe Henstraと中々豪華メンバー。 職業柄いったい4台のチェンバロをどうやって調律するのか興味深々でしたが、奏者が自己責任で面倒みるといった方式でしたね。本番前に各自チョコチョコッと簡単に調律手直ししていただけ、それでもコンサートでは調律はあまり崩れておらずヨーロッパの環境を羨ましく思った次第。日本でもしこの方式を採用するといつまで経っても調律が終わらないかも?(他が終わる頃にはもう狂ってしまうのでは・・・)
3日。朝から名古屋のホールで楽器搬入との事で前夜に東京出発。またもやエコドライブで一般道ノンビリ旅のつもりが箱根で大雪に遭遇。雪道のスリップに気を使いながらソロソロと山越え。(この時は雪は箱根だけ) 少々クタビレながら明け方名古屋到着。今日は名古屋の創立42年という老舗合唱団「Cor Chorale」のコンサート。公演直前にメンバーの方が急逝されたとの事で急遽追悼コンサートに。
コンサート前半は合唱のみ、後半に去年から開催が続くモンテヴェルディの「オルフェオ」(抜粋)を演奏。器楽陣は九州からのメンバー、合唱は名古屋と言う事で事前の練習が充分出来なかった様子。楽器搬入後すぐに練習したいとの事で楽器のコンディションをチェックすると、昨日スタジオで6ヘルツもずらして調律したオルガンとチェンバロ、読み通りリハ時にはピッチが揃っていたので一安心。ゲネ前の調律は無しで練習開始。
今回のオルフェオの器楽陣はオルガン・チェンバロ・ハープを2人で分担、それにヴァイオリン+リコーダーだけとたった4人!先日の東京での大編成を競った南北オルフェオ公演とは一転して非常にコンパクトな編成。また追悼の意味を込めて故人が歌う予定だったオルフェオのパートはカット、何と主役のオルフェオ抜きで約1時間弱の演奏にするために大胆な再構成をしたとか。それでもシンプルながら結構聴き応えのあるオルフェオとなったのでは。
本番前、照明や演出などの確認をしながらの練習となりゲネが何と開演15分前まで続く。(昼本番でした) 結局2台の楽器の調律時間は開場後たった15分。中々タイトな仕事になった様子。(それでも意地で時間内に調律しましたが) 終演後名古屋から高速を飛ばして帰京、世田谷での別件リハーサルの楽器搬出時に何とか滑り込みセーフ。名古屋は雨だったのが東京は大雪だったのでビックリ。こんな日に雪国への出張ではなくて良かった!(ご近所の同業S氏、何とこんな日に東北へ向ったそうですが意外に東京周辺の方が雪多かったそうな・・・)
2日、昨夜の心地良い音色がまだ耳に残る中、朝から次の演奏会のための準備。オルガンは同じミーントーン調律ながらピッチ変更なので少々大変か。明日はイタリアンチェンバロとオルガンを同時に使う予定ながらスタジオでの下調律では6ヘルツも違うピッチでの仕込みに。このまま舞台に持ち込むとあら不思議?同じピッチになる!はず・・・なのですが。(読みが外れた場合が怖い!) 写真は昨日のホールでエレベーターに入らない機材を7階までクレーンで吊り上げた際の様子。このホール、搬入用EVが無いので毎回お客様用EVに無理やり楽器を捻じ込んで搬入、何とかチェンバロは入るものの、フルコンのピアノなどはやはりクレーンで吊るすそうな。今度フォルテピアノを持ち込む予定ながらEVに入るかが心配。
街を歩いていると駅前で豆まき会場の準備。明日は節分でしたね。お江戸の豆まきはどんなものか見てみたいものの、明日は名古屋出張で見れないのが残念!
1日、今日はバルトルド・クイケン氏のハクジュホールでのオール・バッハリサイタル。まずはチェンバロのE・デメイエル氏が早目にホール入り。「昼過ぎから練習したい!」との希望を昨日から聞いていたので、楽器搬入後すぐに調律開始(普通はもっと楽器が会場に慣れるまで待つのですが・・・)、まだまだ不安定な状態の中で何とか到着直前に仕上がりヤレヤレ。
マエストロは少し遅れて会場入り、早速リハーサル開始。オールバッハプログラム、それも多分長年に渡って数え切れない程演奏しているだろう超有名曲、ましてCD録音までしたレギュラーコンビとなればアッサリと合わせてオシマイとなるかと思いきや、意外に細かくチェックしながら丁寧なリハーサル。いつまでも光り輝く名人芸の裏側を垣間見れた思いでした。
会場に来る途中、初来日で演奏した教会の前を通って懐かしそうに「あれからもう20年も経つんだね」とマエストロは言っていたそうな。あの大興奮のコンサートからもうそんなに年月が経ってしまったのかと私も感慨深い気持ちに。当時神戸にいた私は、大阪のシンフォニーホールでのコンサートがクイケン初体験でした。(1700席なんていう大ホールでやったなんて!)
古楽ファンにとっては「古楽器との衝撃の出会い」から始まり「長年繰り返しレコードで(もちろんLPレコードですよ!)聴き続けた名演奏」を現在も昔に比べても遜色無い音色を日本で!生演奏で!聴けるというのはもう至福のひとときであったのでは? 私も調律師冥利に尽きる1日でありました! 今日の2人はまた9月の福岡古楽音楽祭で来日の予定。この時は何とクイケン3兄弟久々の日本での共演が実現するとか。5月にはシギスヴァルト率いる「ラプティットバンド」も来日するので、さながら2008年はクイケンイヤーの様相ですね。いつまでも素晴らしい演奏を聴かせてくれるマエストロ達に感謝!
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