神戸の震災から13年
17日、1995年1月17日の阪神淡路大震災から早13年。改めて多くの犠牲者の皆様のご冥福をお祈りいたします。
関西のニュースではさすがに追悼記事が多いものの、東京ではもはや13年前の事はほとんど扱われていないようです。この13年に次々と大きな災害(各地の地震・鉄道事故・津波など・・・)が発生し阪神大震災もそのひとつとしか思えなくなってしまったのでしょうが、大都市直撃の災害としては特筆すべき事例だったと思っております。やはりこの痛ましい災害を今後の教訓としていただきたいと切に願っております。
今回もこの震災の体験者が語る「震災と楽器について」などのお話をいたします。(写真は被災直後の工房として借りていた一軒屋の惨状です) 13年前の震災時、神戸市東灘区の自宅と工房が大きな被害を受けた体験者としての経験が少しでもお役に立てればと思っております。
もし大きな地震に遭遇した場合、直後はまずは身の安全の確保でしょうか。建物の倒壊などの危険が無いかの確認が最優先。火元の確認も重要、ただ相当時間が経った後にも火事が起こる可能性もあり用心が必要。震災直後の火事は消防車は来ないので江戸時代の火事のように逃げる事しか出来ないかもです。震災後しばらくは皆パニック状態、警察も消防も病院もほとんど機能しないと思った方が良いでしょう。こんな場合やはりラジオからの情報が頼りになりました。携帯やメールは神戸の際はほとんど駄目だったようです。また救援部隊や食料が届くのは1~2日掛かるので自分用の非常食は3日分は必要か。まずは安全な場所に避難する事が優先でしょうが、大切な楽器がしばらく放置しても安全かを確認出来れば安心でしょうか。(そんな余裕無いかもしれませんが) パニック状態の中無理やりチェンバロなどを避難されようとしてると、極寒の時期など暖を取るためにマキにされかねない興奮状態なのでご注意を。私もあまりの寒さに全壊した家の破片をお断りして焚き木として燃やし皆で暖を取った覚えがあります。非常時には大切な楽器と言っても通用しないでしょう。避難する場合混乱が収まるまで少し様子を見た方が良いでしょうね。またあまり知られてませんが神戸では実は地震直後から「火事場泥棒」が相当横行したようでした。皆カギも掛けず(掛けられない?)逃げ出している訳ですから盗み放題だった様子。最低限の財産の確保は必要でしょうか。地震後数日(?)経って周辺が冷静さを取り戻した後にやっと楽器の避難などの処置を検討出来るかと思います。車が動かせても自宅まで近づけるかが問題でしょうし、郊外に移動するのも幹線道路は閉鎖されているのでしばらくは荷物の移動が困難かもしれません。しばらくは自宅で電気などライフライン無しの状態です。電気が止まりエアコンなど暖房・冷房が使えない状態で長期間維持するのは大変かもしれませんが、温度・湿度の変化が楽器の中にあまり伝わらない状態、やはりカバーや毛布で楽器を包み保護するのがベターです。後はライフラインが戻りある程度楽器の管理が出来る状態に戻るまで一時期避難先を確保出来れば安心でしょうか。(実はこれが困難なのではと思いますが)
神戸の私の家では電気は1週間、電話は2週間、水道は1ヶ月、ガスは2ヶ月ストップしてましたので、通常の生活に戻るまで相当長い時間が掛かりました。それでも自宅マンションは倒壊を免れましたし、楽器の保管場所だった工房は全壊ながら幸い瓦礫の下からチェンバロを掘り起こし奇跡の救出が出来ましたし、その後楽器の保管出来る場所もすぐに見つかりチェンバロ・ポジティフオルガン共に無事でした。(チェンバロに一部キズが入ったり脚が壊れたりしましたが) ただ2台のグランドピアノは別の保管場所だったビルが倒壊し救えませんでした。私も地震直後は避難で精一杯でして楽器の行方などはしばらく確認出来る状態ではなかったです。結果的にピアノ以外の楽器は救出出来たのは本当に幸運でした。
日頃のチェンバロなどの地震対策は去年のBlogをご覧下さい。
天災というものはいつ来ると予想出来るものでは無いのですが、もし遭遇した場合でも過去の教訓を生かし少しでも被害が防げればと切に思っております。私の体験が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
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