スカルラッティの調律
9日、昨日より神戸にて慌しい1日。今日は先日素晴らしい演奏を聴かせて頂いたファディーニ女史のリサイタルの調律のお話など。女史のスタジオでの練習当初はフォルテピアノは1/8PCで準備、練習を隣の部屋で聞いておりましたが、曲中で濁る和音の響きで止まってしまう事がしばしば、何か違和感がある様子。早速翌日にもう少し緩やかな割り振りの調律にしてみるもやはり少しでも響きの濁りを感じるとその部分をチェック。最後には1/12PC(要するに平均律ですな)にしてみると濁りでの立ち往生はなし。どうも女史のスカルラッティ演奏はハーモニーの変化によって演奏の色彩感を出すのではなく、ある程度均等な調性の中で様々な演奏ニュアンスで色彩感を作っていく様子。そこで本番は平均律で調律。当日休憩中に早速お客様より「今日の調律法は何?」との問い合わせあり。いつもとの違いをお感じになったのかも?リサイタルのアンコールでの「サプライス演奏(笑)」となったチェンバロでのスカルラッティ演奏も実は同様に実験済み。最初1/6ヴァロッティに始まり、次に1/8、最後本番では実はこれまた平均律。チェンバロでは1/8でも何とかセーフかも?という感触でしたが、次に同じ楽器でリサイタル予定のヴレンナ氏が平均律を希望だったので、ここは思い切って「伝統的イタリア調律法」かもしれない(本当か?)平均律でトライ。(判った方いましたか?)今回は調律についてイタリアの至宝を材料に贅沢な実験が出来て大満足。
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