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2007年7月

2007年7月31日 (火)

ブルージュ2次予選結果発表

ブルージュ2次予選結果発表
先程速報でお届けしたブルージュチェンバロ・フォルテピアノコンクールの2次予選の結果です。チェンバロでは11人中、本選出場は5人、日本人は松岡友子(ミラノ在住)、山本ますみ(ロンドン在住)の二人、他はカナダ、イタリア、ベルギー各1人。村上暁美、脇田英里子の両氏は残念ながら本選に進めず。フォルテピアノでは、8人中ロシアが2人、イタリア、ポーランド各1人の4人が本選出場。日本人の重岡まい、丹野めぐみの両氏は残念ながら本選出場出来ず。今回はチェンバロ部門では12年振りの日本人本選出場の快挙です。本選の結果は1日の深夜(日本では2日の朝9時頃?)判明の予定。速報をご期待下さい。

ブルージュコンクール佳境へ

12 30日、朝のコンサートはフランスのフランソワーズ・ランジュレー女史の初期フランス物という珍しいプログラム。北欧の見慣れぬ楽器を使用しての演奏。毎度ながら審査員が客席最前列に勢揃い。もしかするとコンクールよりもプレッシャーがあるかも?

25 コンサートの後すぐに第2次予選開始。審査員も食事もそこそこに審査開始となる。さすが1日で出場者全員が聴けるとあって客席は満員の熱気に。

213 チェンバロ部門と同時進行でフォルテピアノの予選も進行。こちらは調律が中々大変な様子。ベテラン製作家Pマクナルティ氏は楽器調律と運送でフル回転。長年培ってきた技なのか鍵盤を押さずに調律するという驚きの秘儀を披露。

8_3 こちらは雨の中(!)石畳のデコボコを気にせず1人で近くの会場までフォルテピアノを運ぶマクナルティ氏。階段上げもあるのに「何とかなるでしょ」と気楽に現場へ向い、「誰か手を貸して!」とその場で助手を調達。ご年配でも10代の若者でも重いフォルテピアノを簡単に持ってくれるのが羨ましい!

35  夜はスカルラッティの歌曲コンサート。通奏低音にチェンバロとクリストフォリ式ピアノ2台を含む多彩な楽器が登場。まだ数が少ないクリストフォリピアノをスカルラッティのアンサンブルに大胆に取り入れてしまう貪欲さに感心。

2007年7月30日 (月)

ベルギーのオルガン製作家訪問

3329日、今日は朝からコンクール2次予選のリハーサルということで知人の練習を少し見学。友人に審査員役になってもらい本番同様に進行し演奏中の緊張感を予習するというユニークなリハに感心。

40 夕方からブリュッセル郊外の歴史的な街Leuvenの郊外の村にある私のポジティフオルガンの製作家エティンヌ・ドゥベジュ氏の工房を訪問。売れっ子の製作家ながら実は合唱団で歌うプロの歌手でもあるので結構忙しい様子。(日本でも歌うオルガン技術者が近所にいたような・・・)

61 これは近日ベルギーの教会に納品予定の中規模のパイプオルガン。歌手として豊富な舞台経験がコンサート用のポジティフオルガンのアイデアに生かされている様子。毎回新しいアイデアを盛り込んだ設計に感心。雑談の中でベルギーのラプティットバンドの中国公演のために現地にポジティフオルガンを空輸したのだが、手違いで何と全公演楽器が到着しなかったとの事。(笑) ご馳走になったディナーではお互いの舞台での裏話の交換会となる。

79 美しいLeuvenの街での楽しいディナーの後、最終の電車でブルージュへ移動。寝てしまい終点まで行くともう大西洋まで出てしまうので(汗)、眠いのを無理やり我慢して何とか深夜宿舎へ帰還。

2007年7月29日 (日)

ブルージュ一次予選結果速報

Photo_2 ブルージュコンクールの一次予選結果速報です。チェンバロ部門11人通過、日本人は松岡友子(ミラノ在)、村上暁美(ケルン在)、脇田英里子(バーゼル在)、山本ますみ(ロンドン在)、の4人で国別では最多。フォルテピアノ部門は9人通過の中、ロシアの4人が最多で日本人は重岡まい(ブリュッセル在)、丹野めぐみ(オランダ在)、の2人でした。今回も日本人の2次進出が多くて楽しみです。2次予選は30日に開催予定。

2007年7月28日 (土)

ブルージュ楽器展示会も盛況

Photoブルージュの音楽祭の楽しみはコンクールだけでなく、ヨーロッパ中から100台を超えるチェンバロ・フォルテピアノが一堂に集まるのも魅力のひとつ。早速展示会場で楽器を探索。例年ユニークな楽器が登場し楽しいのですが、今年は結構おとなし目なのかビックリするような楽器は少ない様子。

134 各メーカーの力作が集まる中目立つのも大変か?これはマーブル模様に風景画の凝った作品。

22 こちらも凝った風景画のイタリアン。外装も豪華。

52 新作に混じって貴重なオリジナル楽器も参加。このチェンバロはコレッスというフレンチだとの説明だが本当か? 他に6オクターブの19世紀初頭のフォルテピアノや19世紀半ばのピアノなどが展示。

141 中にはこんな不思議な絵のチェンバロもありました。バロック時代のつもりなのか?

163 これが一番ユニークか?巨大なリュートチェンバロ?には驚き!ちょっとチェンバロとはかけ離れているタッチと音色でしたが。

88 これも縦型のラウテンベルグ。日本の部屋には入らない?

217 よく見るとへんな装飾を発見。作者に聞くとサンスクリット語だとか。不思議なおまじないのお蔭かこの楽器はコンクール本選で大活躍でした。

8 ブルージュはコンクール、楽器展示会の他に連日沢山開催のコンサートも楽しみのひとつ。今日は朝11時半からイギリスのフォルテピアノ奏者リンダ・ニコルソンがフェリーニというクリストフォリアクションで5オクターブ弱の音域を持つ珍しいモデルの楽器でリサイタル。現在バーゼル音楽院所有という楽器で今回特別に借用出来たとの事。予想外に太く安定した音色で多彩なニュアンスが出せる楽器に驚きました。リンダの完璧なテクニックにも感嘆。

228 深夜22時半開演のリサイタルは、前回のコンクールの優勝者のフランスのBenjamin Alard(まだ弱冠22歳!)のゴールドベルグ変奏曲。コンクールでのブッチギリの優勝からさらに成長した演奏にこれまた驚嘆。何とろうそくの明かりのみの幻想的な会場で、曲間を空けずに速射砲のように連続して繰り出される演奏は迫力満点!審査員が勢揃いする中新しい時代の到来を告げる雄たけびのようなエキサイティングなコンサートでした。

ブルージュコンクール観戦開始

31 27日、今日からブルージュのチェンバロ、フォルテピアノのコンクールを観戦。相変わらず日本人が一番多い様子。参加者の内訳はチェンバロ部門71人中日本人12人で最多、次にロシアの8人、フランスの6人。フォルテピアノ部門は41人中日本人が最多の9人、アメリカ6人、フランス・ロシアが4人。日本人は最多ながら過去30人もの参加の年もあったので少々寂しいか。今年は予選のチェンバロの楽器の準備に混乱があったようで、何と公式練習の開始に予定されていたドイツの楽器が到着しなかったので慌てて違う楽器を準備したとか(しばらく来なかったとの事、日本ではありえない・・・)結局代理で使われたチェンバロも急遽公式楽器になった様子。ところがその楽器非常に弾きにくい重いタッチだったようで皆困ったとの事。毎回予選ではあまり弾きやすい楽器が出てこないのが不思議。

57 夜はチェンバロ界の至宝ドイツの製作家スコブロネック氏作の2台のチェンバロデュオ。半年前に開かれたスコブロネック氏80歳のお祝いパーティー(アントレに渡邊順生氏の記事掲載してました)を彷彿させる特別なコンサートとなったようで、審査員全員が審査後の22時半開演という深夜に元気に来場。(この後ほとんどのコンサートに審査員が来ていたのには驚きましたが・・・) Ketil HaugsandとLudger Remy両氏の演奏で、ルルー、バルバストル、Fクープラン、バッハの息子達のデュオやソロ曲を披露。持ち込んだ自分の楽器の他、相手の楽器でソロ演奏など楽しい趣向で盛況のうちに終了。同じ製作家の楽器でも弾き手が変わるとこれほど音色が変わるのかと驚嘆。

2007年7月27日 (金)

ブルージュに無事到着

8 こちらまだ26日、アムスでの列車への乗り継ぎが上手く行き明るい内に(もう夜遅いのですが)ブルージュに無事到着。ブルージュは夜10時なのにまだ外は明るい。少し雨模様ながら涼しく快適です。さて、今年のコンクールはどんなドラマを見せてくれるか楽しみです。

2007年7月26日 (木)

ユーロ高い!

ユーロ高い!
26日、朝から成田空港で出発待ち。相変わらずユーロが高い!1ユーロ171.17円でした。こりゃ貧乏旅行になりそう。では行ってきます。

2007年7月25日 (水)

横浜みなとみらい

1_37 25日、横浜みなとみらい小ホールで地元の女性合唱団コール・モモのコンサート。私はポジティフオルガンでの参加。古今東西の多彩な曲を衣装や音響効果、照明など練りに練った演出で中々楽しい演奏会。(その分段取りの打ち合わせに手間取りましたが・・・) 隣の大ホールでは100円(1ドル)という超お徳なパイプオルガンのコンサートとか。オルガン調律でどら氏が朝から活躍されていた様子。

7_18こちらのコンサート、ゲストのリュート奏者永田斉子さんを交えてのルネサンス舞曲や、ガムラン風の曲など民族音楽、果ては日本民謡まで驚くほど幅広い選曲。オルガンの出番が終わった後は急いで帰宅、全然出来ていない旅行準備で一苦労。夜成田に移動。大手のホテルのネット予約の「極安」の部屋を予約するも、何故かツインの結構広い部屋へご案内。「「得をした!」と喜ぶもエレベーター横の深夜でもウルサイ「問題部屋」だった!道理で安いはずだ。安いので文句も言えないし・・・。

2007年7月24日 (火)

夏晴れの信州路を行く

1_36 24日、早朝神戸を出発。爽やかな夏晴れの信州路を東へ向かう。ご贔屓の休憩場所の諏訪湖SAからの景色もいつにも増して美しい!ここ一週間連日のポジティフオルガンの調律で無理な姿勢での作業が続きどうも腰が悲鳴を上げている様子。最近治療に行ったばかりなのに念のため一週間も空けずに再び鍼灸院へ。過去海外旅行で腰を痛め帰国後しばらくギックリ腰で動けなかった痛い経験もあるので用心!用心! 夕方から久々の目白で旅行の準備。

2007年7月23日 (月)

通彫子さんのチェンバロ

2_16 23日、まもなく一周忌を迎えるチェンバロ奏者通彫子さんの神戸のお宅を訪問。まだまだ突然の悲報が昨日のように思えます。愛用のチェンバロを久々に調整・調律。幸いご家族の熱心な管理のお蔭か、まだ通さんが毎日弾いているように思えるほど調子は良好で一安心。

 

  

1_35 これが通彫子さん愛用だったイギリスのミラン・ミジナ作のタスカンモデル。豊かな音量とダイナミックな音色が素晴らしい楽器です。

Photo_167 こちらは昨日ドイツから到着したお弟子さんの楽器。先生の楽器を忠実にコピーした外観はまるで双子のよう。こちらも豊かな音量の楽器でした。

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昼から大阪センチュリー交響楽団とフロイデ合唱団の「メサイア」公演。練習場からの楽器の運び出しのひとコマ。この巨大なケースは何とチェンバロ専用の運送ケース。チェンバロの脚をつけたままでも運送可能なケースとの事ですが、 あまりに巨大なためホールへ運びこめないとか。

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トラックに苦労して積み込んでも、ホールでは中身だけ取り出して手運びで搬入。あまりにジャストサイズのケースのため出し入れが結構大変な様子。

5_14 舞台への搬入は他のカラケースを台車代わりに使って最後はやはり人力作戦。もしかして普通より厄介な運び方では?

6_18 メサイア公演、いよいよ本番。まもなく25周年という大阪のシンフォニーホールの相変わらず素晴らしい音響に感心。リハの前にホールの名物ステマネだったM氏と久々に遭遇。過去の面白い体験談を興味深く拝聴。やはり関西が誇るトップホールでは様々なエピソードが山積みでした。

2007年7月22日 (日)

美しき師匠愛

7_17 22日、ドイツから到着のチェンバロを神戸の個人宅へお届け。一年間前に急逝された通彫子先生がお持ちだったチェンバロと全く同じデザインを別の製作家に特注されたとの事。師匠を偲ぶ思いに感動いたしました。(私が長年先生の楽器を面倒見ていましたので、昨日新しい楽器を木箱から取り出した時、あまりに見覚えのあるデザインだったので驚きましたが・・・) チェンバロ専用のお部屋を準備との事で3mもある高い天井の豊かな音響が素晴らしい!

2_15 昼からメサイア公演のリハ3日目。様々なテクニックで合唱団やオケの集中力を引き出す外山氏の老練な指揮に感心。若葉マークのチェンバロ奏者も健闘の様子。

2007年7月21日 (土)

大阪南から北までウロウロ

12_9 21日、今日は朝から大阪へ。ちょうど四天王寺の縁日の日なので仕事前の早朝6時過ぎから天王寺のお寺の境内に並ぶ露店の骨董屋を散策。まだ早朝でほとんどの店が開いていない中、僅かながらレコードを置いている店にマニアが群がって掘出物を発掘。LPや45回転のシングル盤(懐かしい!)マニアに混じってSPレコード(昔の蓄音機で掛けるヤツですね)のマニアも出没の様子。

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実は蓄音機&SPレコードのマニアである私も掘出物発掘に参戦。今日の収穫はイタリア民謡(オーソレミヨ・サンタルチヤ)を唄った盤。歌手は環女史との表記、実は三浦環の初期の録音(約80年前?)という貴重なレコードを入手。同行したSP収集の先輩O氏によると、このような露天市の骨董屋は曲者が多く、値段のつけ方も中々油断ならないそうな。同じ盤を買おうとしても一見素人風には3000円、マニア風には2000円、常連には1000円と値段もマチマチ。朝一番はやはり高く(他のマニアに取られたくない本命盤だと多少高くて買わざるを得ない)その日の売上、天候、仕入れ値、店主のその時のご機嫌(?)など様々な理由で値段はコロコロ変わるとか。今日は幸い環女史の貴重盤は常連O氏のお蔭で1000円でゲット。(東京の某専門店なら数倍かも)

15_6 骨董屋を冷やかしていると中には変なモノも。一見カリンバ風の楽器かも?という珍品は蚕の繭から糸を紡ぎ出す機械とか。

Cem_2 骨董市を冷やかした後は、ドイツから関西新空港に到着のチェンバロの引取。ドイツらしい頑丈に梱包された木箱を慎重に解体、ビニールに包まれた真新しいチェンバロを車に積み込み、残った木箱を細かく裁断。(この作業に結構手間取りましたが・・・)

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楽器を無事受け取り後、南大阪に折角来たので地元の名物料理で昼食をとの事で堺の老舗蕎麦屋へ。このお店、普通の蕎麦の概念を覆すような変わりダネ。ムッチリとした柔らかい歯応えの蒸したて(!)の温かいセイロ蕎麦を、熱湯のような甘辛い濃いダシとトジ卵を混ぜた汁に葱とワサビを少し入れて食べるという何とも不思議な蕎麦。お江戸の「粋」な蕎麦とは全く違う価値観の味覚でちょっとショックを受けますゾ。同行O氏は「まるですき焼き食べてるみたい・・・」との事。地元の常連で結構繁盛してます。

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午後からは昨日に続き大阪センチュリー交響楽団の「メサイア」公演のリハーサル2日目。

2007年7月20日 (金)

大阪でメサイア公演リハ初日

1_34 20日、今日は大阪センチュリー交響楽団練習場でメサイア公演のリハーサル初日。私のオルガンと共にオケ所有のチェンバロも登場との事で、珍しく他の調律師との共同作業となる。チェンバロ担当のA氏とはもう30年近くのお付き合いなので非常にやり易くありがたい。待機時間には若葉マークの調律師Sさんも交えて業界雑談話。

3_26 今回の公演のOr奏者は御馴染み東京からのNさん、Cem奏者は指揮者の推薦の名古屋の方との事で初めてお会いする新人Oさん。ところがOさんとの最初のご対面で「梅岡さんじゃないですか!ご無沙汰です」との元気なご挨拶。はて?存じ上げないお顔と思っていましたら、何と中学・高校時代にピアノ調律で頻繁にお伺いしていたお宅のお嬢様。(すっかり大人の雰囲気で判りませんでした) 今やピアニストとして活動中、今回は特に指揮者の強い推薦でチェンバロに初挑戦との事。初々しい演奏が楽しみです。

6_17 今回の指揮の外山氏と緊張気味にマエストロの指示を待つステマネのY氏。両者の身長差が凄すぎます!全国に長身のオケステマネが多いのは何故?先日の金沢の録音の際も長身のスタッフに囲まれ、「小柄な梅岡さん」と呼ばれていました・・・。

10_12 リハーサル初日は順調に進行。心配したチェンバロとオルガンのピッチのズレも2人の調律師のコンビネーションの良さのお蔭かほぼピッタリの様子。

2007年7月19日 (木)

軽井沢に新サロン登場

19_5 19日、早朝東京を出発し軽井沢へ。相変わらず濃い霧で前が見えず山道を慎重に運転。意外に軽井沢は近いのか2時間で到着。

14_10 軽井沢駅から徒歩10分ほどの静かな木立の中の別荘地帯に目指すお宅が・・・。人も車も通らない素晴らしい環境が羨ましい。

15_5 オルガニストの和田純子さんがプロデュースされた新しいサロン「Villa Cecilia」。この7月21日から毎週土曜日の14時半開演で「夏のバロックコンサートシリーズ」を開催との事。

16_8 サロンの外見は少し大きな別荘建築に見えるも内部は驚くべき構造になっていた!

9_12 天井は3階の高さか?コンクリートのしっかりした内壁、音響を良く考えた形状、ほとんど温度変化がない密閉された空間、まるでヨーロッパの古い教会のよう!残響7秒という豊かな響きは日本では味わえない贅沢さかも。今日はポジティフオルガンの調律でお伺いするも、あまりの音響の良さにオルガンのモーターノイズがどうしても気になってしまうとの事でモーター周辺を防音したり、オルガンの位置を変えたりとしばらく奮闘するも最後にやっと解決。豊かな残響の中でもオルガンの音色がクリアに聴こえるのには驚きました。

6_16 ゆったりとした客席にも特注の木の椅子が。(製作が間に合わず少しだけでしたが) オーナーのコダワリを各所に感じる素晴らしい空間のサロンでした。7月21日からのコンサートシリーズには、野々下由香里、桐山建志、三宮正満など実力者が次々出演との事。料金は2000円(限定50席) お問い合わせはヴィラ・セシリア Tel&Fax 0267-41-4075  cecilia.organo@docomo.ne.jp まで 他にワークショップも開催。

7_16 昼に急いで東京に戻り、午後から川口リリアホールで渡辺克也(Ob)リサイタル。(Cem水永牧子) ヴィヴァルディ・バッハ・テレマンのOb協奏曲を一夜で演奏するという豪華なプログラム。曲間のお話でたまたま(?)お客で聴きに来ていたOb奏者の三宮正満氏の名前が演奏家から連呼され本人が客席でビックリとの余興もあり。隣接の大ホールでは季節柄自民党の大会があり官房長官が来訪との事でホールは護衛で溢れかえっていましたが、目つきの悪さで誰がSPかとはすぐに判明出来ました(笑)。深夜またもや西へ移動。

2007年7月18日 (水)

明日館横の工事は続く

4_17 18日、朝からフォルテピアノを明日館へ搬入。講堂横の工事現場は解体は終了、現在は地面を掘り返している状態。講堂で昼にリハーサルするも中々工事の騒音や振動が凄まじい。

14_9 明日館講堂の前の小さな池は賑やかな工事にも関わらず浮き草の中をのんびりメダカが遊泳中。大きな蛙もいたはずだが今日は姿を見せず。子孫のオタマジャクシもメダカに混じって泳いでいたのかも・・・。

18_3 今日は東京芸大在学の羽賀美歩さんのフォルテピアノリサイタル。ピアノから転向して初めて(?)のコンサートということで緊張気味に始まるも、演奏が進むうちに楽器にタッチがフィットしてきたのか次第にフォルテピアノらしいクリアで多彩な音色に変化してきた様子。やはり修羅場をくぐる事で成長するものですね。

21_2 ソロ演奏でCPEバッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを演奏、最後にVnとVcを交えて躍動感溢れるベートーヴェンのピアノ三重奏曲を披露。まもなく開催のブルージュのコンクールに臨むには良い準備になったのでは?今日の演奏を聴いているとコンクールの成果が楽しみです。

2007年7月17日 (火)

地震多発!

Photo_166 17日、ここ数日大型台風の被害に加えて新潟でのまたもや強い地震と天災が連続の様子。神戸で震災に遭遇した身としては、新潟の数年で2回目という震災被害はちょっと驚き、これからは一度強烈な地震が来たからと安心出来ないのか?被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。昨日の午前中の中越地震も凄かったですが、夜の京都府沖が震源ながら北海道から東北・関東など広範囲に大きく揺れた地震も異様な揺れ方で心配かも。

午前中からまもなく開催のブルージュのコンクール参加予定のHさんのスタジオリハ。予選の楽器の予想から練習の段取りまで初挑戦の若手奏者に色々過去のコンクールの情報をお伝えするも、初めてとあって中々準備が大変な様子。コンクールの舞台裏は結構アバウトな運営で「出たとこ勝負」との一面もあり結構タフさが必要なのですが。夕方はこれまたまもなく公演のオルガンのリハ。隙間をぬって自分の体のメンテナンスのため鍼治療へ。幸い腰の調子も良く一安心。

2007年7月16日 (月)

スカルラッティ声楽コンサート

27_6 16日、スカルラッティ音楽祭、今日はセルジョ・バレストラッチ指揮のアンサンブルで スカルラッティのカンタータや歌劇などからの世俗声楽曲コンサート。開演前にはロビーにて音楽学者で発起人でもある山田高誌氏の作品解説も開催。イタリア在住組を交えての充実したメンバーでの快活なスカルラッティ演奏。ミラノ在住のVnの益田弥生さんとは数年振りの再会か。

19_4 歌手陣は田村麻子、懸田奈緒子、櫻田智子、穴澤ゆう子、櫻田亮。後半は凝った衣装も登場しコンサート形式ながら充実した歌劇の演奏を披露。珍しいスカルラッティの歌曲のプログラムと言う事で台風通過後というのにほぼ満員の入りとなる。

32_5コンサートの舞台裏は実にイタリア的なテンポで進行。開演直前に突然舞台裏に来られたホールの館長の激励がエラク長引き、歌手達が中々舞台に出れない!先に着席していた器楽組はもうチューニングも終わり舞台で歌手の出番をずっと待つ羽目に。後半も演奏と共に歌手は客席後ろから舞台へ登場のはずが、指揮者が「歌手からのGOサインが無ければ僕は舞台に出ないゾ」とのお言葉、打ち合わせでは逆に指揮者の合図で歌手が出る筈だったのですが・・・。いたるところアバウトな進行に「ここはイタリアにいるのかも?」との錯覚を覚える。確かにここはイタリア文化を紹介する施設でしたね。

2007年7月15日 (日)

大阪は台風の影響無し

1_33 15日、心配していた台風も深夜に関西を通過したようで朝お日様が照っているのにビックリ。強運の晴れ男は台風にも勝ってしまったか? 今日は朝からムラマツリサイタルホール新大阪(長い名前!昔の大阪の音友ホールですね)でモーツァルト室内管弦楽団のコンサート。(Cemは秋山裕子) オールハイドンというプログラムでチェンバロが全編で活躍。サロンコンサートという事で休憩時にワインサービスあり。お酒が入って少々ご機嫌になったお客様の中には隣のウィーンの老舗高級ピアノメーカーのショールームに冷やかしで入られる方も。大概の方は「小さくてもベンツ1台分」との高額な値段に驚かれるとか。確かに国産Y社の3倍はするかも・・・国産が安いのか舶来製が高いのか・・・。風は強いが回復したお天気の中、満員のお客様でコンサートは盛況のうちに終了。

Photo_165 終演後楽器を積み込む頃には蝉も鳴く夏の陽気に見事に変身。夕方大阪を出発し台風を追っかけるように東京へ移動。幸い台風の逃げ足の方が速くキレイな夕焼けをバックに快適なドライブで東上、深夜無事東京着。

2007年7月14日 (土)

梅雨は辛いよ・・・

Photo_164 14日、神戸で「最近チェンバロの調子が悪いので往診お願い」とのお宅を2件続いて訪問。梅雨真っ盛りで湿気を吸い込んだチェンバロは少々ご機嫌斜めの様子。1台はコダワリの穴無しチューニングピンを使用なので弦の張替えは結構面倒。油断するとすぐに空回りするので用心しながらの弦交換。

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もう1台は湿気と関係なくピンズルのトラブルなので弦交換も無く比較的簡単に処置終了。皆さん私の助言を実行しチェンバロのために湿度温度の管理を徹底されているお蔭かあまり重症のトラブルにはなっていない様子で一安心。明日は大阪でコンサートの予定だが台風の影響が心配。久々に当日中止決定があるかも・・・。

2007年7月13日 (金)

歌姫のミラクルヴォイス!

32_3 金沢でのCD録音は無事終了。今回の録音で一番驚いたのは森さんのミラクルヴォイス!もうこの世のモノとは思えない美しき「天使の歌声」。録音の休憩時に歌姫が歩きながら練習される歌声をたった50cmの至近距離で聞けましたが、もうすっかり「悩殺」されました。

43_1 美しい歌声と共に完璧な音程にも感心。聞くとここ半年今回の録音予定の曲を存分にコンサートで歌い込んで準備したとの事。道理で録音のファーストテイクから一発OKと言いたくなる万全の仕上がり。伴奏陣も負けじと「熱い」演奏で歌姫をバックアップ。CDの仕上がりが楽しみです。(11月に発売予定とか)

金沢はミッキーで盛り上がる?

1_32 13日、まだ金沢です。この春からアンサンブル金沢の岩城氏に続く新しい音楽監督にユニークなキャラの井上道義氏が就任。就任記念のポスターもやはりちょっと風変わりで面白い。台風襲来の気配を感じながら神戸に移動の予定。

2007年7月12日 (木)

金沢録音3日目

2_13 12日、金沢での録音3日目。今日も曲によってチェンバロとポジティフオルガンが交互に出動。歌手の喉の調子を見ながら次の録音曲を決定するので相変わらず賞味期限の長い調律で準備。

Photo_163 次に演奏する曲が直前まで決まらないのでハープや打楽器などの参加曲が少ない奏者はお声が掛かるまで我慢強く待機。あまり長時間喉を酷使出来ない歌手の録音はやはり進行具合が独特な様子。

2007年7月11日 (水)

金沢録音2日目

4_16 11日、今日も金沢で録音セッション。開始前に念入りにマイクチェックをする録音エンジニアのS氏と歌手になって歌うプロデューサーのN氏。

2_12 「ハイポーズ」と申し上げると華やかなソプラノ歌手を全身で表現するN氏。この優秀な録音コンビのプロフェッショナルな仕事振りにはいつも感心。手際が良いので録音の進行が早い!

6_15 録音セッションは順調に進行。今日は前半ポジティフオルガン、後半チェンバロと2台共出動。録音時には冷房が止まるので2台の楽器に賞味期限の長い調律を提供するのが中々厄介。

16_7 夕方には録音終了。夜は恒例の加賀食文化研究及び海産物鮮度比較研究及び北陸地酒研究のために香林坊のご贔屓のお店へ。相変わらずのハイレベルの海の幸と酒を堪能。満員を予想するも意外に空席あり。金沢駅周辺が再開発で飲食店が増え香林坊が少し寂しくなっている様子。

2007年7月10日 (火)

金沢でCD録音

5_12 10日、早朝神戸出発金沢へ。早く到着したので(予定通り?)北陸の新鮮な魚が並ぶ近江町市場へ寄り道。開店前の活気ある雰囲気が楽しい。市場の一部が改装中ということで早朝から開いている魚料理の店が少なく朝食代わりは揚げたてのコロッケ(旨い!) 

12_8  今日は石川県立音楽堂で人気ソプラノ歌手森麻季さんのCD録音(共演は金聖響指揮&アンサンブル金沢 Or・Cem奏者は辰巳美納子さん)。当日まで録音の曲順や編成が決まっておらず、まあ現場でノドの調子を見て音を出しながら決めましょうといういかにも歌手が主役らしい進行。テスト録音で曲が変わる度にポジティフオルガンとチェンバロを交換するなど最初は慌しいものの、途中で「今日はオルガンに決定!」との事でチェンバロはお役御免。曲が決まるまで結構手間取るも一旦録音が始まると、森さんの「完璧な歌唱」で順調に録音セッションは進行。器楽の録音では考えられない短時間で初日のセッションは終了。

2007年7月 9日 (月)

スカルラッティの調律

7_15 9日、昨日より神戸にて慌しい1日。今日は先日素晴らしい演奏を聴かせて頂いたファディーニ女史のリサイタルの調律のお話など。女史のスタジオでの練習当初はフォルテピアノは1/8PCで準備、練習を隣の部屋で聞いておりましたが、曲中で濁る和音の響きで止まってしまう事がしばしば、何か違和感がある様子。早速翌日にもう少し緩やかな割り振りの調律にしてみるもやはり少しでも響きの濁りを感じるとその部分をチェック。最後には1/12PC(要するに平均律ですな)にしてみると濁りでの立ち往生はなし。どうも女史のスカルラッティ演奏はハーモニーの変化によって演奏の色彩感を出すのではなく、ある程度均等な調性の中で様々な演奏ニュアンスで色彩感を作っていく様子。そこで本番は平均律で調律。当日休憩中に早速お客様より「今日の調律法は何?」との問い合わせあり。いつもとの違いをお感じになったのかも?リサイタルのアンコールでの「サプライス演奏(笑)」となったチェンバロでのスカルラッティ演奏も実は同様に実験済み。最初1/6ヴァロッティに始まり、次に1/8、最後本番では実はこれまた平均律。チェンバロでは1/8でも何とかセーフかも?という感触でしたが、次に同じ楽器でリサイタル予定のヴレンナ氏が平均律を希望だったので、ここは思い切って「伝統的イタリア調律法」かもしれない(本当か?)平均律でトライ。(判った方いましたか?)今回は調律についてイタリアの至宝を材料に贅沢な実験が出来て大満足。

2007年7月 8日 (日)

神戸帰還

8日、朝神戸着。早朝義母永眠の一報あり。前夜楽器を積替えほぼ徹夜で神戸に向かうも臨終の場に間に合わず。家族として長年の深き愛情に感謝。

2007年7月 7日 (土)

スカルラッティ降臨?

Photo_161 7年7月7日、今日は何か起こりそうな日かも?朝から飛行機を見学に所沢へ。(そんな訳はない) 所沢ミューズ大ホールでの牧野成史氏指揮の所沢バッハアカデミー「ロ短調ミサ」公演でポジティフオルガン出動。

2_10 車に積んでいるだけで暑くなってしまうこの時期、オルガンが舞台でどう変化するかを読むのは結構難しい!ホールの照明や空調を観察しながら慎重にピッチを設定。今回は本番直前の調律終了後、第2走者にバトンタッチして急いでイタリア文化会館へ移動。後での連絡ではオルガンは本番最後まで上手く安定していたとの事。

2_11 夕方からいよいよイタリアの至宝エミリア・ファディーニ女史のフォルテピアノリサイタル。実は直前に体調を崩したとの事でお疲れの上大変ご機嫌が悪かった! どんな演奏になるかと心配しながら開演。客席は少々寂しいながら客筋の濃さは先日のオランダの老マエストロのトッパンホールに負けない様子。プログラムは日本ではほとんど聴く機会がないパラディエス(何と生誕300年!)から始まり、途中から今回の目玉D・スカルラッティの名曲をフォルテピアノで演奏。女史曰くスカルラッティの演奏には合っているとのウィーンアクションの楽器から紡ぎ出される音色とフレーズは、やはり作曲家の生れた国の人間でないと出せない上品で熱情的なラテン気質全開か。休憩時にはもう客席で皆興奮状態。演奏した事でご機嫌が直った(?)女史は元気を取り戻し後半へ。とても80歳近いお年と思えないパワーでスカルラッティの難曲を次々に演奏。本編終了で熱狂の拍手が続く中、こっそり私のお願いで実現したチェンバロ演奏をアンコールで披露。(そのためだけにチェンバロを持ち込んでいました)いきなりの超絶技巧のチェンバロ演奏を披露で度肝を抜かれた観客からまたもや途切れない拍手が続く。「私はもう1曲弾かないといけないの?」「もちろんですとも!」というやり取りもあり私の強引な「オネダリ」が功を奏したのか結局3曲もチェンバロ演奏を披露!フォルテピアノも素晴らしかったですがチェンバロも優劣つけ難いほど素晴らしかった!それよりもいきなりフォルテピアノからチェンバロへチェンジ出来る(それも難曲を)事が信じがたい!これはもう777の魔法でスカルラッティが降臨したのかも?いや伝説に残るリサイタル(になるであろう!)に立ち会えた事はもう幸運の一言でした。興奮冷めやらずの状態でスタジオに戻り楽器の積み替え。深夜諸事情により西へ移動。

2007年7月 6日 (金)

イタリアの大御所&新鋭

Photo_160 6日、午前中から目白スタジオでファディーニ女史のフォルテピアノのレッスン。その後のランチタイムに初めて女史とゆっくり雑談。ちょうどレッスン受講生の方がコンクール直前と言う事で、パリのクラヴサンコンクールの審査員だったとか、ブルージュのコンクールにはダントーネの応援で行ったわよとか興味深いお話を沢山拝聴。午後は女史のリサイタルの練習。いつも丁寧なタッチの練習から始められる姿に感心。夕方、スカルラッティ音楽祭の2番目のコンサート(マンドリン&チェンバロDUO)に出演のラッファエーレ・ヴレンナ氏が成田到着後すぐに目白スタジオ来訪。ファディーニ女史の孫弟子にあたるとかで早速両者の挨拶で一気にスタジオが賑やかに。

6_14 明日のファディーニ女史のリサイタルのために楽器を会場に搬入。13日のコンサートの下見に来たヴレンナ氏が設置されたばかりのフォルテピアノを早速いたずら弾き。フォルテピアノはほとんど弾いた事が無いと言いながら本職顔負けの音色を奏でるのは何故?やはりイタリアの新鋭奏者は鍵盤の基礎テクニックが段違いかも・・・。(後ろに何故チェンバロの姿があるのかな?)

10_11 「遊んでないで自分がコンサートで使うチェンバロをチェックして」とお願いすると今度はスコブロネックのイタリアンでフレスコバルディから18世紀フレンチまで幅広いレパートリーをいつまでも暗譜でスラスラ弾くのにビックリ!日本では無名ながら相当「デキル」チェンバロ奏者の様子。これまた13日のコンサートが楽しみかも?

2007年7月 5日 (木)

フォルテピアノvsチェンバロ対決?

Fp 5日、午前中、横浜のお宅で古いピアノの調律。以前に良いピアノが欲しいとのお客様の要望で、修復された戦前のヤマハのアップライトをご紹介、相当年月は経っているものの(何しろ60歳以上の年齢だ)、張りのある音色と迫力ある低音は今のピアノでは絶対出せない魅力かも・・・。製作当時はピアノ1台で一軒家が買えた程の高級品だったはず。(今の10倍以上か) 当然響板をはじめ材料も贅沢だったのでしょうね。「本当に良い買物だった」とのお言葉はご紹介した者にとっては嬉しい限り!

午後から今日もファディーニ女史がスタジオ来訪。ご高齢ながら疲れも見せずに熱心にフォルテピアノ練習。スカルラッティの難易度の高い曲をフォルテピアノで多彩な表情をつけて軽々と演奏する姿に感嘆!

Cem_1 練習最後に秘密(?)の「アンコール用のチェンバロ演奏も練習したい」との事でスタジオで楽器2台を同時に練習。(興味深い事に同じ曲を2台で弾き比べたりされてました) 本場イタリアの大御所によるチェンバロとフォルテピアノでの演奏を聴いていますと、スカルラッティの曲にはチェンバロ、ピアノ、フォルテピアノのどの楽器が一番合うのかという永遠の大問題の答えが少し見えてきたような気が・・・(解答は7日のリサイタルで判るかも?) でも先日のオランダの老マエストロといい、このイタリアの老マエストリーナといいベテランの演奏家はどうしてこんなに高度な「楽器を鳴らす」技をお持ちなのか? 80歳近くなると自然にその奥義が掴めるのか? 

2007年7月 4日 (水)

ブルージュのコンクール

Photo_159 4日、昨日レクチャーで使ったフォルテピアノをスタジオで再調整。梅雨時は楽器を外に持ち出すとタップリ水分を吸い込んで戻ってくるのでコンディションを維持するのが中々難しい。スタジオも除湿器2台体制でこまめに湿度調整。フォルテピアノの次の出番は、スカルラッティ音楽祭7月7日のエミリア・ファディーニ女史のリサイタル、チェンバロではなくフォルテピアノによるスカルラッティ演奏というユニークな内容ながら、内緒ですがアンコールにチェンバロも登場するかも?(私個人的にはどちらも聴きたい!) 鍵盤楽器奏者やイタリア・スペイン音楽のファンは今度のミラノの至宝ファディーニ女史のリサイタルを絶対お聴き逃しなく!

最近ヨーロッパ在住の方から「今度のブルージュ音楽祭でお会いしましょう」とのメールが多し。もうすぐ開催ですね。今年は3年に1回のチェンバロ・フォルテピアノの年。コンクール予選ではどんな楽器が出てくるのか?(毎回酷い楽器が結構多いのですよ・・・)、展示楽器で面白い楽器はあるのか?(結構笑える楽器も出てきます)、日本人が久々にチェンバロ部門で本選出場出来るか?(ここ10数年誰も本選突破していない・・・)、など様々な話題があるのですが。 今年の日本人のコンクール参加者はチェンバロは13人(いつもより少なめですね)、フォルテピアノは9人(これは例年より少し多い?)。さて、今年は誰が活躍するのでしょうかね。

2007年7月 3日 (火)

ファディーニ女史 IN 昭和音大

Photo_158 3日、この4月に厚木から新百合ヶ丘へ移転した昭和音大へ午前中からフォルテピアノの搬入。今日は長年この音大で楽器メンテナンスを担当の宮崎氏とご一緒。私は持ち込みのフォルテピアノ、宮崎氏は学校のチェンバロとスタインウェイフルコンと2人で合計3台の楽器を準備。ピアノからチェンバロ、19世紀ピアノまで何でも扱う宮崎氏の器用さと研究熱心さに感心。

3_25 新校舎を早速案内していただくと、年季の入ったモダンチェンバロも現役で活躍の様子。革のツメの交換に苦労したとのお話。今時我々でもやらない面倒な作業なのに・・・。

4_15 私も修理をお手伝いした約100年前のプレイエルのグランドピアノ。製造番号が判らず困っていたのですが、運送時に脚を外した跡から正規の製造番号を私が発見。無事正確な年代が確定出来ました。透かし彫りの譜面台が素晴らしい!(この学校、他にも素晴らしいコレクションをお持ちの様子)

7_14 今日は昭和音大の学生向けにファディーニ女史の「鍵盤史について」のレクチャーコンサート。先日のイタリア文化会館でのスカルラッティについての講座と違い、本日はバッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなど幅広い時代の曲をチェンバロとフォルテピアノの演奏付きで解説。女史の古典派の作品のフォルテピアノ演奏の素晴らしさに驚嘆!広範囲な時代の演奏スタイルを予想以上の丁重な解説をしたために大幅な時間超過(さすがイタリア人)、最後に2人の学生のモダンピアノによるスカルラッティ演奏の公開レッスン。これまた幅広い演奏理論を交えて細部まで指導のため予定を大幅に遅れてやっと終了。若葉マークのピアニスト達にはどこまで理解出来たか不安ながら実にレベルの高いレクチャーでした。未公開だったのがつくづく残念!

2007年7月 2日 (月)

幸せな盗み聴き

Photo_157 2日、昨日のファディーニ女史の素晴らしい講義&レッスンの興奮醒めぬままスタジオで楽器のご機嫌伺い。先日オランダの老マエストロがリサイタルで自らミーントーンに調律したイタリアン、昨日はスカルラッティの演奏という事で18世紀の古典調律に調律し直したのだが、私が調律してもすぐに黒鍵がミーントーンに戻ってしまう・・・。老マエストロの調律はご本人同様に強靭な生命力なのかも? 夕方ファディーニ女史がリサイタルで使うフォルテピアノの練習でスタジオ来訪。疲れも見せずに熱心に練習開始。隣の部屋で女史のフォルテピアノの音色を盗み聴きしていると、さすがにご自分で出したい音のイメージが明確で、すぐに楽器を自分の好みの音色に染めてしまう技に驚嘆しました。音色というものは楽器から自然に出るものでは無く、演奏家が自ら作り出すものだと改めて納得。そういえば先日私が不在の時スタジオにイタリアンチェンバロの練習に来られた際、「外国ではその土地で作られた楽器が一番安心と思っていたが、この楽器は外国製なのに日本で良い状態で驚いた」とおっしゃっていたそうな。これまた嬉しいお言葉です。 明日女史は17時から新百合ヶ丘の昭和音大で公開講座との事。チェンバロ・フォルテピアノ・モダンピアノと3台も並べてどんなお話が出てくるか今から楽しみです。

2007年7月 1日 (日)

伊チェンバロ界の至宝ファディーニ女史来日!

13_7 1日、夜中に関西より戻り早朝よりチェンバロ搬入。今日からイタリア文化会館でスカルラッティ音楽祭開幕!初日は渡邊順生氏によるスカルラッティ周辺の楽器解説からスタート。スコブロネックの18世紀イタリアン(g3を備えるスカルラッティ音域の楽器)と久保田工房のクリストフォリピアノ(正式にはクリストフォリアクションを搭載のイタリアンチェンバロという長ったらしい名前ですが)の2台の楽器とCDによるクリストフォリモデルのピアノ(オリジナルと複製)の聴き比べなど盛り沢山の内容。

3_24 渡邊氏手作り(?)のアクション解説パネル。これは判りやすい! いつもお話が脱線して時間超過気味のため(今日もハリウッド映画の中の楽器演奏シーンの説明などは寄り道かも)、携帯電話のアラームで時間を確認するという荒業で時間調整。(突然舞台で鳴り響く携帯に驚きましたが)

22_2 2番手にはイタリア音楽界の至宝、エミリア・ファディーニ女史がスカルラッティとフラメンコ音楽の関係についてという大変興味深い内容の講義。初めてのアジア訪問、それも前夜広島からの移動というお疲れのはずが元気一杯、今まで触れた事の無いスカルラッティの深層を丁寧に解説。

24_2解説の中での短い演奏のチェンバロの音色にもビックリ!スカルラッティの解釈といい、その良く通る温かな音色といいさすがイタリアが誇る至宝と感嘆しました! 7日のファディーニ女史のリサイタルはフォルテピアノでのスカルラッティ演奏ですが、凄い演奏が期待出来ます。先日のオランダの老マエストロにも劣らないイタリアの至芸を堪能出来るかも!

28_5 後半はチェンバロとフォルテピアノの公開レッスン。さすがスカルラッティの大御所のアドバイスは的確かつ刺激的な内容で素晴らしい!

34_4 クリストフォリピアノというスカルラッティに縁のある楽器へのアプローチも明快で説得力あり!ここまでくれば是非ファディーニ女史によるチェンバロやフォルテピアノでのスカルラッティを聴きたいところ。今日の公開講座なども参加者が意外に少ないのが残念!(チェンバロ奏者達どうした!) 今回を逃すとイタリアの至宝の珠玉の演奏も聴けませんぞ!スカルラッティを愛する方は是非お聴き逃し無く!

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